トヨタ・プリウスAツーリングセレクション 試乗記
トヨタ・プリウスAツーリングセレクション(FF) 価格:THS 300万6270円
スマートなスタイリングに変身
新型の大きな変化ポイントはエクステリアデザインだ。前後ともライト回りを中心にイメージが変わった。従来モデルのスタイルは、いささか「過剰」だった。対して、新型は抑制をきかせた、おとなしい方向にシフトされている。全体にスッキリとしたイメージで、清潔感がある。
新型のボディサイズは全長×全幅×全高4575×1760×1470mm。従来モデル(4540×1760×1470mm)と比較して、全長が35mm長くなった。
外観以外の新型の大きな変更点は、全車がDCM(専用通信機)標準装備のコネクテッドカーになったことだ。プリウスとトヨタ・カスタマーセンターが通信でつながり、カーライフを24時間サポートしてくれる。オペレーターは、外出先での面倒なショップ探しなども行ってくれるし、その店舗をナビの目的地に設定してくれる。また、スマホからナビの目的地設定などができるのは便利だ。
コネクテッドサービスの利便性は実際に使ってみると強く実感できる。ディーラーに出かけ、体験してみることをお勧めする。
運転支援システム(トヨタセーフティセンス)の全車標準化も新型の魅力ポイントだ。
事故の多くは、いわゆる「うっかりミス」によって引き起こされるものだが、プリウスはその多くをカバーしてくれる。運転支援システムは年々高度になっているし、今後の発展も大いに期待できそうだが、高いレベルのシステムの標準装備はうれしい。
新型は洗練されたスタイリング 全車がDCM(専用通信機)を装備したコネクテッドカーに発展 トヨタセーフティセンス標準装備
走りは洗練、満足度が高い
試乗車はAツーリングセレクション。車両本体価格は300万6270円だが、ディーラーオプションを含めフル装備状態の試乗車は349万3000円(消費税込み)だった。
インテリアの質感は高い。試乗車のナビは9インチ仕様だったが、オプションのプリウスPHVと同じ11.6インチの縦型大型ディスプレイを選べば、キャビンの表情はガラリと変わる。新しい時代のクルマに乗っている感覚が強くなる。
パワートレーンやシャシーは従来型を引き継いでいる。ハイブリッド機構は1.8リッターエンジン(98ps/14.5kgm)とモーター(72ps/16.6kgm)で構成され、トランスミッションは電気式の無段変速だ。スペックは従来型と同じ。細部の調整や改良は行われているのだろうが、改良項目はカタログには書かれていない。あくまで細かな手直し程度のリファインなのだろう。
走り味と乗り味は満足感が高かった。
発進は滑らかで、同時に力強さも感じさせる。速いとか、パワフルというレベルではないが、ハイウェイをはじめとして一般路上で力不足を感じるシーンはまずない。速い流れにも、気負わずに追従していける。
室内は従来はホワイト仕上げだったステアリングとセンターセレクターとコンソールの加飾パネルをブラックで統一 オプションナビは写真の9インチと縦型11.6インチを設定
優れた燃費。乗り心地は優しい
100km/hのクルージングは快適だし、130km/hあたりまでなら快適性はキープされる。日本の高速道路にも、近々に120km/h区間が生まれるが、プリウスは余裕で対応できる。
うれしいのは、高速領域での動力性能に不足がないというだけでなく、静粛性面でもハイレベルな点だ。エンジンの遮音性はいいし、風音、ロードノイズもよく抑え込まれている。
乗り心地は、フラット感こそもうひとつといった印象はあるものの、全体に優しい乗り味であり、不整路面でも、不快な、あるいは低級なショックや音を引き出すことはない。なお、東京〜箱根間を往復した試乗時の燃費は22.4km/リッターをマークした。
最新のプリウスの実力は依然として一級品である。時代が求めるニーズを巧みにバランスさせたハイグレードなHB車の代表だ。
前席快適温熱機能付き合成皮革シート標準 乗り心地はソフト 室内長2110mm
荷室は広い 荷室容量は後席使用時502リッター 9.5インチゴルフバッグが4個積める 駆動用バッテリーは後席下に配置
次ページでスペックを紹介
トヨタ・プリウスAツーリングセレクション主要諸元と主要装備
グレード=Aツーリングセレクション(FF)
価格=THS 300万6270円
全長×全幅×全高=4575×1760×1470mm
ホイールベース=2700mm
トレッド=フロント1510×リア1520mm
車重=1390kg
エンジン=1797cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=72kW(98ps)/5200rpm
最大トルク=142Nm(14.5kgm)/3600rpm
モーター最高出力=53kW(72ps)
モーター最大トルク=163Nm(16.6kgm)
JC08モード燃費=37.2㎞/リッター(燃料タンク容量43リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア・ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=フロント・ベンチレーテッドディスク/リア・ディスク
タイヤ&ホイール=215/45R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
●主な燃費改善対策:可変バルブタイミング/アイドリングストップ/電動パワーステアリング/ハイブリッド/充電制御/電気式無段変速
●主要装備:トヨタセーフティセンス(衝突被害軽減ブレーキ+車線逸脱警報+オートマチックハイビーム+全車速対応レーダークルーズコントロール)/ブラインドスポットモニター/インテリジェントクリアランスソナー/ドライブスタートコントロール/ヒルスタートアシスト/LEDヘッドランプ/オートワイパー/本革巻きステアリング/エレクトロシフトマチック/スマートエントリー/ドライブモードスイッチ/カラーヘッドアップディスプレイ/グラフィックモニター/合成皮革シート/快適温熱シート/後席センターアームレスト/オートAC/エコ空調モードスイッチ/イルミネ-テッドエントリー/トノカバー/グリルシャッター/フロアアンダーカバー/DCM(専用通信機)
●装着メーカーオプション:ナビレディセット(バックカメラ+ステアリングスイッチ)4万3200円/アクセサリーコンセント4万3200円/おくだけ充電1万2960円/幾何学調ルーフフィルム5万4000円/ITSコネクト2万7000円
●ボディカラー:ブルーメタリック
※価格とスペックは2019年3月現在
※撮影協力●マースガーデンウッド御殿場