私が考える価値あるクルマの条件 by 竹岡圭「クルマは心が通う大切な存在。自分の感性に合うかどうかが大切」

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クルマ選びは恋人や伴侶といった、パートナー選びと似ている

 こういった職業をしていると本当によく聞かれます。それは「最近のオススメってどれですか?」というものなんですが、何を隠そうこれっていちばん困る質問だったりします。

 クルマの価値というものは、人それぞれ違うものですよね。見た目重視の人もいれば、走りや取り回しといった性能重視の人もいる。ボディサイズの好みも、デザインの好みも人それぞれでして、つまり恋人や伴侶といった、パートナー選びとものすごく似ていると思うんです。ようは自分の感性に合うかどうか?なんですよね。

 パートナーや恋人と違うのは、ライフステージによって、その時々のライススタイルや感性に合うものに、取り替えていっても誰かを裏切ることにはならない、誰も悲しませることがないということでしょうか(笑)。

 とはいえ、好みだけではダメで、ライフステージに合うものを選ばないと価値があるとは言えません。例えば、小さな子供がたくさんいる大家族なのに、2シーターのスポーツカーでは役に立たないですし、ご高齢の方を乗せるのに、よじ登るタイプのクロカン車や、地を這うようなスーパーカーもNGです。

 とまぁこんな感じで、これまで基本的には移動の手段として考えられてきたのですが、最近はPHEVやEVが台頭してきまして移動の道具以上の価値観が加わってきました。それは動く充電池としての役割です。

レクサスNX

 

アウトドアや非常時に「電源車」として使えるBEV&PHEV

 有事の際の電源車として役立つのはもちろん、レジャーのキャンプシーンなどで家電製品を使うための電源車として考えれば、アウトドアをより手軽に楽しむことができます。またV2H機能を備えたものならば、昼間は太陽光発電などで電気を貯めておいて、夜間は家の電力源として使うなんていうこともできますよね。

アウトランダー

 余った電力は、売電価格は下がったとはいえ、売ることだってできます。これまでお金が掛かる一辺倒だったクルマから、お金が生み出せるようになると思えば、かなり革新だと思います。

 

 私は一辺倒EV推進派というわけではありませんが、モーターを搭載しているからこその走りの楽しさや、最新鋭デバイスとの相性の良さから来る安全性の高さというのは存在すると思っています。そしてそれは内燃機関を持たないEVであっても、クルマはやはり心を通わせられる特別なアイテムだと思うのです。

サクラ

eK EV

 心を通わせられるものには愛がつけられるというのは、私の持論なのですが、クルマには「愛車」と愛がつけられます。「愛妻、愛犬、愛馬etc…」みんな愛がつけられますが、愛パソコンとか、愛スマホとかは言いません。クルマは機械ではありますけれど、心を通わせられる類まれな貴重なアイテムだと思うんですよね。だからこそ、大切な相棒として、その時々のライフステージに合わせた価値ある1台を選んでいただきたいです。

竹岡圭 プロフィール

たけおかけい/各種メディアやリアルイベントで、多方面からクルマとかーライフにアプローチ。一方で官公庁や道路会社などの委員なども務める。レースやラリーにもドライバー/監督として積極参戦。AJAJ副会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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雑誌『CAR and DRIVER』連動記事

私が考える「価値あるクルマ」の条件

本誌執筆陣9名のジャーナリストが考える「価値あるクルマ」とは?

CAR and DRIVER (2023年1月号 - No.842)のご紹介

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