3列シートを備えたボルボの新しい電気自動車SUV「EX90」が初公開

ボルボが7名乗り3列シート仕様の新型BEVモデル「EX90」を発表。一充電での航続距離は最大600kmを実現。生産は2023年からアメリカで開始し、その後中国でも実施する予定

 スウェーデンのボルボ・カーズは2022年11月9日、7名乗り3列シート仕様の新型BEVモデルとなるEX90を発表した。

▲ボルボEX90 7名乗り3列シート仕様の新型BEVモデル。エクステリアは機能が形をつくる新しいスカンジナビアンデザインを採用したSUVスタイルで仕立てる

▲ボルボEX90 7名乗り3列シート仕様の新型BEVモデル。エクステリアは機能が形をつくる新しいスカンジナビアンデザインを採用したSUVスタイルで仕立てる

 

 ボルボは2030年までに電気自動車のみの販売を目指し、さらに2040年までにはC02などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするクライメート・ニュートラル(Climate neutral=気候中立)な企業になるという高い目標を設定している。その方向性を明示する電動フラッグシップSUVとして設定されたのが、今回発表されたEX90だ。

▲ボディサイズは全長5037×全幅2039×全高1747mm/ホイールベース2984mm、車重は2818kgに設定。エアロダイナミクスも重視し、空気抵抗係数(Cd値)は0.29を実現する

▲ボディサイズは全長5037×全幅2039×全高1747mm/ホイールベース2984mm、車重は2818kgに設定。エアロダイナミクスも重視し、空気抵抗係数(Cd値)は0.29を実現する

 

 エクステリアは機能が形をつくる新しいスカンジナビアンデザインを採用。SUVスタイルを基調に多用途でスタイリッシュなファミリーカーに仕立て、合わせてコアコンピューティングやコネクティビティ、電動化などの最先端技術と組み合わせて、安全性、効率、デザインを最適化する。新しいトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプやクローズドタイプのグリル、C字型のLEDコンビネーションランプとリアピラー後端左右に縦型に配したランプ、空力特性を考慮した独特な造形のアルミホイールなども目を引く部分だ。ボディサイズは全長5037×全幅2039×全高1747mmと既存のXC90に比べてロングかつワイドにアレンジし、一方でホイールベースは2984mmと同寸に設定している。

▲新しいトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプを配備

▲新しいトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプを配備

▲C字型のLEDコンビネーションランプとリアピラー後端左右に縦型に配したランプを装備

▲C字型のLEDコンビネーションランプとリアピラー後端左右に縦型に配したランプを装備

▲空力特性を考慮した新造形のアルミホイールを装着

▲空力特性を考慮した新造形のアルミホイールを装着

 

 最新のセンシングテクノロジーによって既存のボルボ車を上回る高い安全性を実現したことも、EX90の訴求点。高性能なカメラやレーダー、そしてLiDAR(ライダー)などの最新センサーを新設計のコアコンピューターに接続し、AI用のNVIDIA DRIVEプラットフォームXavierやOrinなどがボルボの社内製ソフトウェアを実行して、リアルタイムに360度ビューを作り出す。これが安全性を高める運転情報の提供や危険回避に役立てられ、車線変更時のステアリング操作のサポートや運転支援機能のパイロットアシストの信頼性および性能の向上を実現した。なお、EX90は将来の自動運転に対応するハードウェアを備えた最初のボルボ車というキャラクターも有し、コアコンピューターが新しいデータから常時学習するとともにアップデートを繰り返して、走行距離と時間を経るごとにより賢く、より安全なシステムへと進化するという。

▲最新のセンシングテクノロジーによって既存のボルボ車を上回る高い安全性を実現

▲最新のセンシングテクノロジーによって既存のボルボ車を上回る高い安全性を実現

 

 インテリアに関しては、インパネ上部を水平基調にアレンジして前方視界を高めたうえで、Epic Games社の3Dツール「Unreal Engine」を用いた高品質グラフィックスのメータースクリーンおよびヘッドアップディスプレイを配備する。また、バーチカルマウントの14.5インチサイズのセンタースクリーンを採用し、インフォテインメントシステムとして最新のGoogleを搭載。Googleアシスタントによるハンズフリー支援やGoogleマップのナビゲーション、Google Playのお気に入りアプリなど、Googleのアプリやサービスを豊富に組み込み、合わせて5G接続やワイヤレスのApple CarPlayにも対応させた。さらに、ボルボ車で初採用となるドルビーアトモスを搭載。ヘッドレスト一体型スピーカーを組み合わせたBowers&Wilkinsのオーディオシステムや、スマートフォンが車両のキーとなるフォンキーテクノロジーなどの新機能も採用した。一方、キャビン空間自体は2/3/2名乗車の3列式シートで構成。シート表皮にはリサイクル素材を使用したテキスタイルを導入する。さらに、インテリア全体にもサステナブルな素材や責任ある方法で調達された天然素材を使用した。

▲インテリアはサステナブルな素材や責任ある方法で調達された天然素材を使用したうえで、スマートかつエレガントなデザインに仕立てる

▲インテリアはサステナブルな素材や責任ある方法で調達された天然素材を使用したうえで、スマートかつエレガントなデザインに仕立てる

▲Epic Games社の3Dツール「Unreal Engine」を用いた高品質グラフィックスのメータースクリーンを配備

▲Epic Games社の3Dツール「Unreal Engine」を用いた高品質グラフィックスのメータースクリーンを配備

▲バーチカルマウントの14.5インチサイズのセンタースクリーンを採用し、インフォテインメントシステムとして最新のGoogleを搭載する

▲バーチカルマウントの14.5インチサイズのセンタースクリーンを採用し、インフォテインメントシステムとして最新のGoogleを搭載する

▲専用チューニングのBowers&Wilkinsのオーディオシステムを採用

▲専用チューニングのBowers&Wilkinsのオーディオシステムを採用

▲シートレイアウトは2/3/2名乗車の3列式で構成。シート表皮にはリサイクル素材を使用したテキスタイルを取り入れる

▲シートレイアウトは2/3/2名乗車の3列式で構成。シート表皮にはリサイクル素材を使用したテキスタイルを取り入れる

 

 パワートレインについては、当初販売するモデルにシステム最高出力380kW/最大トルク910Nmを発生する2基の前後モーターと、容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。また、同300kW/770Nmを発生する仕様も設定するという。一充電あたりの航続可能距離はWLTPモードで590km~600kmを実現。充電に関しては、最大250kWの急速充電に対応し、バッテリー残量10%から80%までを30分以内で充電することが可能だ。また、ボルボ車で初めて双方向充電に必要なハードウェアを採用。車両に搭載したバッテリーを使用して、自宅や電気機器、さらに別の電動ボルボ車への電力供給が行える。一方、基本骨格は新開発のSPA2プラットフォームと、約15%の再生スチールや約25%の再生アルミニウム、そして48kgの再生プラスチックとバイオベース材料を使用した専用ボディで構成。1台あたりの再生プラスチックの使用比率は、これまでのボルボ車では最高レベルの総量当たり約15%を成し遂げたという。

▲パワートレインはシステム最高出力380kW/最大トルク910Nmを発生する2基の前後モーターと、容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。充電に関しては最大250kWの急速充電に対応し、バッテリー残量10%から80%までを30分以内でこなす

▲パワートレインはシステム最高出力380kW/最大トルク910Nmを発生する2基の前後モーターと、容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。充電に関しては最大250kWの急速充電に対応し、バッテリー残量10%から80%までを30分以内でこなす

▲フロントセクションに充電用ケーブルなどが収まるラゲッジルームを配備

▲フロントセクションに充電用ケーブルなどが収まるラゲッジルームを配備

▲基本骨格は新開発のSPA2プラットフォームと、約15%の再生スチールや約25%の再生アルミニウム、48kgの再生プラスチックとバイオベース材料を使用した専用ボディで構成

▲基本骨格は新開発のSPA2プラットフォームと、約15%の再生スチールや約25%の再生アルミニウム、48kgの再生プラスチックとバイオベース材料を使用した専用ボディで構成

 

 なお、EX90の生産は2023年からアメリカで開始し、その後中国でも実施する予定。また、ボルボはEX90 を皮切りに、毎年1台ずつ新しい電気自動車を発表すると予告している。

 

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