ステランティスは2021年3月18日(現地時間)、プジョー・ブランドのCセグメントに位置する新型ハッチバックモデルの「308」を発表した。
約8年ぶりの全面改良で第3世代に移行する新型308は、進化版のEMP2(Efficient Modular Platform 2)プラットフォームをベースに、魅惑的で個性あふれるハッチバックのスタイリングや、よりモダナイズされたi-Cockpitおよび新インフォテインメントシステムのi-Connect、半自動運転へのさらなるステップを図った最新世代の安全運転支援システム、そして2機種のプラグインハイブリッド(PHEV)を含む最新のパワーユニットを採用したことなどが特徴である。
まず基本プロポーションは、エアロダイナミクスを最大限に重視したうえで、プジョーのDNAを新しい形で引き継ぐダイナミックかつ官能的な5ドアハッチバック形状のスタイルを構築。ボディサイズは全長4367×全幅1852×全高1441mm/ホイールベース2675mmと、従来比で110mmほど長く、50mmほど幅広く、20mmほど低く、ホイールベースが55mm長いディメンションに仕立てた。
各部のアレンジにも徹底してこだわる。フロント部は本年2月に発表された新デザインのブランドエンブレムを中央に配したうえで、そこに向かって収束する新意匠のグリルや彫りの深いスリムなLEDヘッドランプ(GT/GTパックにはマトリクスLEDを採用)、ライオンのかぎ爪を模したデイタイムランニングライト、滑らかなラインを描くノーズおよびボンネットなどによって印象的なフェイスを演出。一方でサイドビューは、シンプルで滑らかな面構成を基調に、フロントホイールアーチとリアホイールアーチに張り出した2つのシャープな四角形を加えることで、力強く躍動感のあるキャラクターを表現する。そしてリアセクションは、伸びやかなルーフエンドにロングタイプのスポイラー、ライオンの爪痕を思わせるコンビネーションランプ、新ブランドエンブレムを中央に配してリアを横切る特徴的なキャラクターライン、安定感を強調する幅広のバンパーおよびディフューザーなどを組み込んでスポーティかつ個性的な後ろ姿を創出した。ボディカラーについては、オリーブグリーン、ヴァーティゴブルー、エリクサーレッド、パールホワイト、アイスホワイト、アルタンスグレー、ペルラネラブラックという計7色をラインアップしている。
内装するインテリアは、ドライビングエルゴノミクスを最適化するプジョーi-Cockpitをいっそう進化させたことが訴求点だ。新造形のステアリングホイールにはセンサーを内蔵し、運転支援機能の使用時にドライバーがステアリングを握る力を検知。また、ドライバーの目線の高さに配置したメータークラスターには、様々な情報を的確に表示する10インチのデジタルパネル(GTは3D表示)を採用する。一方、ダッシュボードは“high-vent”と称するアーキテクチャーで構成し、吹き出し口を乗員の頭上正面に配置することで快適性を向上。さらに、メータークラスターよりやや低めに10インチの高精細センタータッチスクリーンを組み込むことで、デザイン性と操作性を高次元で両立させた。そして、センター部にはバーチャルi-toggleと称するトグルスイッチを配備。それぞれのi-toggleは、エアコン設定や電話連絡、ラジオ局、アプリケーション起動などへのタッチセンサー式ショートカットキーの役割を担っている。
新意匠のセンターコンソールにも注目したい。運転席側のアーチ状の部分には操作系をまとめてレイアウトし、8速ATのモード(リバース/ニュートラル/ドライブ)と2つのボタン(パーキング/マニュアル)を瞬時に選択できる新しいシフトスイッチや、エンジンに応じて異なるモード(エレクトリック、ハイブリッド、エコ、ノーマル、スポーツ)が選択できるドライビングスタイルセレクターを配備する。また、前部にはワイヤレス充電のための専用スロットを、中央部には2つのUSB-Cソケットと2つのカップホルダーを、後部には34リットルの収納スペースとアームレストを装備した。キャビンスペース自体は、ホイールベースの延長によって、とくに後席の足もと空間を広げたことがトピック。ラゲッジスペースは後席使用時で412リットル(PHEVは361リットル)、後席シートバック可倒時で最大1323リットルの容量を確保した。
新インフォテインメントシステムのi-Connectに関しては、ミラーリング機能のワイヤレス化や、Bluetoothによって2台のスマートフォンの同時接続を可能にしたことが特徴である。また、10インチの高精細センタータッチスクリーンの表示では、容易にカスタマイズ可能な“ウィジェット”やショートカットを使ってのマルチウィンドウ化などを実施。さらに、高性能で効率的なTomTomコネクテッド・ナビゲーションを採用するi-Connect Advancedも設定した。
パワーユニットには、進化版の“PureTech”1.2リットル直列3気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジンの110ps仕様と130ps仕様、“BlueHDi”1.5リットル直列4気筒DOHC直噴ディーゼルターボエンジンの130ps仕様のほか、“PureTech”1.6リットル直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジンに電気モーター(81kW/320Nm)とリチウムイオンバッテリーを組み合わせるプラグインハイブリッドを新搭載する。1.6リットルエンジンは150ps/250Nm仕様と180ps/250Nm仕様の2機種を設定し、前ユニットが「ハイブリッド180」と称してシステム出力180ps/360Nmを、後ユニットが「ハイブリッド225」と称して同225ps/360Nmを発揮。組み合わせるトランスミッションは内燃機関モデルに改良版のEAT8(電子制御8速AT)と6速MTを、PHEVモデルにe-EAT8を採用し、いずれも前輪を駆動する。PHEVモデルでのEV走行可能距離(欧州WLTPモード)はハイブリッド180が60km、ハイブリッド225が59kmを実現した。
運転支援システム(ADAS)については、ロングレンジブラインドスポットモニター(75m)やリアトラフィックアラート、クリーニングノズルを内蔵した高精細180°リバースカメラ、4つのカメラによる360°パーキングアシスト、プロキシミティ・ハンズフリースタート、緊急通報“E-call+”などを新たに装備して、安全性能をいっそう向上させる。また、半自動運転のステップとしてDRIVE ASSIST 2.0 Pack(2021年末に発売予定)を用意。ストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシストを基本に、セミオートマチックレーンチェンジ(車速70km/h~180km/hに対応)、コーナーでの速度調整、道路標識からの予測速度推奨という3つの機能を追加した。
なお、新型308の欧州市場での発売は本年後半となる見込み。日本への導入も計画中で、発売時期や車両スペックなどは後日アナウンスする予定である。