日産フェアレディZ300ZXツインターボ2by2 新車時価格:4AT 440万円(1989年式) 試乗記
フェアレディZは世界のスポーツカー史上に、大きくその名をとどめるクルマだ。4thモデルは、あらためてスポーツカーの原点を見つめ直し、高密度な走りの実力、ドライビングの楽しさを追求している。開発は「ポルシェ944ターボの走りの性能と、928のコンフォートを併せ持ったクルマ」をイメージして取り組んだという。
スタイリングは「Zの香り」を残しながら、新しいトレンドに見事に乗っている。先進的でダイナミック、しかも美しい。コクピットの仕上がりも最高である。広く快適でありながら、その中に適度なタイト感を巧みに織り込んでいる。大いに気に入った。
走りの性能は、格段にアップした。新世代の4輪マルチリンク式サスペンションとスーパーHICASという強力な武器を手に入れた新型は、圧倒的なスタビリティを実現した。高速での直進性、レーンチェンジや緊急回避での安定性、といった点ではポルシェを凌ぐレベルにまで達している。スタビリティの高さを実現しながら、実用域では軽快で、素直な身のこなしを楽しめる点も見事だ。乗り心地や快適性もハイレベルである。
かつてポルシェとの間にあった厚い壁は、かなり薄くなった。これまでは壁の向こうにあって見えなかった姿が、いまやハッキリ見え始めた。
ちょっぴり注文をつけたいのは、ツインターボエンジン(280ps/39.6kgm)である。確かにパワーが出ているのはわかる。パフォーマンスは驚くほどだ。全域で速い。しかし、フィーリングがあまりよくない。トップエンドでは、気持ちのいい伸びきり感がない。音質的にも心を騒がせる類のものではない。スポーツカーは「感動を呼ぶクルマ」である。フィーリング面でいっそうの磨き込みを望む。
ただしNAエンジン(230ps/27.8kgm)には合格点を付けていい。NAエンジンは2000~3500rpmといった常用域でのピックアップ感がとてもいい。
(カー・アンド・ドライバー 1989年9月26日号掲載)
4thフェアレディZ(Z32型)は、1989年7月から2000年9月まで11年間にわたり販売された。メインボディタイプは2シーターと2by2、エンジンは3リッター・V6DOHC24V、NAとツインターボがある。ルーフは2シーターの一部を除きTバールーフ標準。コンバーチブルは1992年に追加された。価格は比較的リーズナブル。走行3万kmのコンディション良好車で300万円が目安。注意ポイントはダッシュボード割れと、メカニズム全般。
グレード=300ZXツインターボ2by2(AT・1989年式)
新車時価格=4AT 440万円
寸法・重量=全長×全幅×全高4525×1800×1255mm ホイールベース2570mm 車重1570kg
エンジン=2960cc・V6DOHC24Vツインターボ(280ps/6400rpm 39.6kgm/3600rpm)
サスペンション=前後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/50R16+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
※4thモデル/生産期間:1989~2000年