仏ルノーは2021年4月1日(現地時間)、全面改良したマルチパーパスビークルの新型カングーの予約受注を開始した。乗用モデルの車両価格は2万4900ユーロ(約325万円)~に設定し、販売開始は本年6月を予定。本国以外のマーケットでも、6月以降に順次市場デビューを果たす計画だ。
約14年ぶりのフルモデルチェンジで第3世代に移行するカングーは、歴代モデルで好評を博した効率的なパッケージングや親しみやすく上質なスタイリングを踏襲しながら、より機能的で居住性が高く、しかも最新の安全運転支援システムを鋭意組み込んだことが特徴である。
乗用モデルを中心に新型カングーの特性を見ていこう。
まずエクステリアは、従来の丸みを帯びたデザインから直線を基調とした彫刻的でエレガントなスタイリングへと刷新。水平ラインのボンネットや垂直基調のフロントエンド、ダイナミックなラインで仕立てたサイドビュー、シンプルかつスマートな造形のリアセクションなどによって、新世代のマルチパーパスビークルらしさを主張する。また、Cシェイプのヘッドランプとリアコンビネーショランプには最新のLEDテクノロジーを採用。工具を使わずにラッチを外すだけで配置が変更できる新しいルーフバーを設定したこともトピックだ。ボディサイズは全長4486×全幅1919×全高1838mm(ルーフレール装着車1893mm)に設定。従来モデルに比べて長さ、幅、高さともに拡大している。
パッケージングをいっそう進化させたことも新型カングーの訴求点だ。ボディの拡大によって室内寸法は広がり、合わせて後席には3名の乗員がきちっと座れる新形状のシートを装備。また、フロントドアは90度まで開き、スライド式の左右リアドアは開口幅615mmの広さを確保した。
コクピット部は水平基調に刷新したダッシュボードや多様な機能を配したステアリング、豊富な収納スペース、快適性と耐久性を高めた新設計のフロントシートなどを採用したことが特徴。また、8インチディスプレイを備えたルノー「EASY LINK」マルチメディアシステムを採用し、エンターテインメントおよびコネクティッド機能を強化した。
ラゲッジスペースは後席使用時でクラス最大級の775リットルの容量を確保。後席および助手席の可倒機構を活用すれば最大3500リットルの容量と長さ2700mmのスペースが現れる。リアゲートは上ヒンジ式が標準。日本で人気のフレンチドア(左右ヒンジ式)は商用モデルのバンに用意されており、日本仕様が設定される際はぜひこちらを導入してほしいところだ。
パワーユニットには新開発の1333cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジンの100ps仕様/130ps仕様と1461cc直列4気筒コモンレール式ディーゼルターボ“Blue dCi”エンジンの75ps仕様/95ps仕様/115ps仕様を設定。トランスミッションは6速MTが標準で、7速EDCがオプションで選択できる。2022年にはEVモデルを追加する予定だ。
先進運転支援システムに関しては、リアビューデジタルインテリアミラーを採用したほか、ストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロールやレーンキーピングアシスト、アクティブブラインドスポットモニター、パーキングアシスト、アクティブエマージェンシーブレーキなどを標準で装備。安全性や機能性を着実にレベルアップさせている。