2022年11月24日、2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下、COTY)の「10ベストカー試乗会」が千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催され、10ベストにノミネートされた合計13モデルが集合し、審査員たちが「一気乗り」を行った。
今回のCOTYでは、10番目のモデルが同点で並んだため、11台が10ベストカーとして、最終投票を待つことになっているが、その10ベストカーに選出されたモデルをあらためて以下に挙げておこう。
全11モデルのうち、SUV/クロスオーバーに分類できるモデルが7台、5ドアHBが3モデル、スポーツカーが1台である。
パワートレーンで見るとBEVが3台、ハイブリッド/PHEVが7台を数える。内燃機関専用のスポーツカーはフェアレディZだけという事実が、このジャンルのビジネスに挑戦するメーカーの心意気を現しているようだ。
当日は天候に恵まれ、晴天の下で千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイにて行われた。試乗は1台につき1回2周(パイロンで通常のコースとは異なる2種類のレイアウトが設定される)、各々が確認したいクルマを次々に車両を乗り換えていく。1回の試乗時間は短いのもあり、同じクルマに複数回試乗することもできる。
この10ベストカー試乗会のメリットは、同じ環境で乗り比べができること。都内で乗った感触と、箱根などのワインディングで乗ったフィーリングを比較するのではなく、袖ヶ浦フォレストレースウェイという整備されたサーキット環境で乗った感触が比べられる。場所はともかくとして、同じタイミングで横ならび比較できる、いわば「一気乗り」できる機会はめったに無いため、距離は短くとも、サーキットであろうとも、投票前の最終確認としてはとても貴重な機会なのだ。
会場には開発に携わったチーフエンジニアや広報担当者が、選考委員たちの質問に丁寧に、適切に答えてくれる。
デビュー後の試乗で気になっていた点、袖ヶ浦の試乗で新たに気になった点など、その場ですぐに解決させることができ、それぞれのクルマに対する理解がぐんと深まるので。最終投票を前にして、選考委員にとっては11台の候補車に対する考え方を整理する絶好の機会だったといえる。
朝9時にスタートした試乗は、「乗って、話を聞いて」を繰り返していくと、あっという間に予定の午後3時を迎えていた。
最終投票は12月8日、横浜ランドマークホールで行われる。最終投票の模様は、YouTubeでライブ中継を予定。全国のクルマ好きが見守る中、今年の1台(本賞)のほか、部門賞が決まる場を見逃さない手はない。
モータージャーナリストであり、2022−2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の岡本幸一郎氏によるエッセイ。今回は日本カー・オブ・ザ・イヤーの選ばれ方について解説しています。