NEW NEXT NIPPON NORIMONOというキャッチフレーズで登場したホンダNシリーズ。確かにいまの時代にしたら、これはNEW。そんなデザインで話題を呼んだのが、1st・N-ONEだ。
かつて1967年に発売されたホンダの軽自動車、N360へのオマージュが色濃く反映されているといわれたそのデザインは、当時を知っている方からは懐かしく、当時を知らない層には、新しいニューレトロモダン的なものとして映った。結果として幅広いユーザーの話題をさらったのだ。
もちろん見た目だけではなく、ワンメイクレースまで開催するほどの運動性能の高さも持っていたのも、かつてのN360との共通点だったのだろう。なんでも1.3リッターエンジンを搭載するコンパクトカー、フィットの上を行くことを目指して開発されたらしい。
というわけで、今回ご紹介するのは、そのN-ONEの2ndモデルなのだが、パッと見、ビックリするほど変わらないことに、まず驚かされる。
実際、アウターパネルの基本の造形は変えられていないのだ。ボンネット、フェンダー、ドア、サイドパネル、ルーフは旧型と同じ。もちろん、プラットフォームやエンジン、安全装備などの、一見わかりにくいところは最新のものに進化はしているのだが、これだけ外から見えるデザインの印象が変わらないと、正直なところ実はフルモデルチェンジではなく、まさかのマイナーチェンジだった!? という感覚でさえある。
ちなみに、今回のフルモデルチェンジの「デザインは変えない」という戦略は、ユーザーがN-ONEに求めているものを調査した結果、このデザインこそが求められていたものだったからだそうだ。
とはいえ、日本市場は見た目があまり変わらないと、売れるまでに時間を要するといわれているし、さらに軽自動車は1台当たりの所有期間が比較的長いということも合わせると、この英断は結構な決断だったのではないか……と思う。
もちろん、インテリアは変わっているので、室内に入れば進化は感じられる。初代はN360のモチーフを感じさせるものが散りばめられていたが、今回はパッケージング。N360の見た目よりも中は広いという、インテリア全体の雰囲気をメインに開発が進められたとのことだ。結果としてNシリーズの考え方、ホンダの「M・M思想」とも合うこととなり、より性格が際立ったともいえる。
ラインアップとしては、NAとターボ、それぞれFFと4WDがあり、NAのFFでも十分走る。昔ながらの雰囲気を味わうならば、これがベストチョイスかもしれない。しかし、このクルマの立ち位置を考えると、やはりターボモデルを推したいのも心情。
とくにRSの6MTモデルは、尖り具合が際立っている。インパネシフトのMTは想像以上に使いやすく、このままでもサーキットを走れるレベルでまとまっている。これを旧型に引き続きラインアップしてきた心意気には、ただただ敬意を表したい。
というわけで今回の結論。N-ONEのヒットの真相は「あえて変えなかったこと」にある。
■主要諸元(撮影車のスペック)
車名=N-ONE
グレード=オリジナル(FF)
価格=CVT 159万9400円
全長×全幅×全高=395×1475×1545mm
ホイールベース=2520mm
トレッド=フロント:1305×リア:1305mm 室
内 長×幅×高=050×1300×1195mm 最
低地上高=135mm
車重=840kg
エンジン=658cc直3DOHC12バルブ(レギュラー仕様)
型式=S07B型
最高出力=3kW(58ps)/7300rpm
最大トルク=65Nm(6.6kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=23.0km/リッター(燃料タンク容量27リッター)
(市街地/郊外/高速道路:19.5/24.3/24.0)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:車軸式
ブレーキ=フロント:ディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=155/65R14+カラードディッシュ
駆動方式=FF
乗車定員=4名
最小回転半径=4.5m
●N-ONEをホンダが提供するサブスクサービス「楽まる」で利用(3年間・月間走行距離1000km)する場合の月額料金は3万1255円(車両代や税金・諸費用・メンテナンス代などを含む金額)とメーカーはホームページで案内している 一般的なローンで購入するよりもやや安い支払い額で利用できる計算だ