スポーティな加速に興奮。SUVでスポーツ!

ホンダ・ヴェゼル・ツーリング・ホンダセンシング 試乗記

ヴェゼル01.JPGホンダ・ヴェゼル・ツーリング・ホンダセンシング 価格:7CVT 2903040

1.5リッターの直噴ターボ搭載

 ヴェゼルに新グレードのツーリングが登場した。ツーリングは、シリーズのフラッグシップ。ヴェゼル初となる1.5リッターの直噴ターボ(172ps22.4kgm)を、7速マニュアルモード付きCVTとの組み合わせで搭載した。内外装は、新しいボディ色や左右2本出しのテールパイプ、ブラウン色を基調としたインテリアなど、プレミアムなイメージを重視した仕上がりだ。

 エンジンとトランスミッションは、「日本市場への里帰り」が話題となったCR-V用(190ps24.5kgm)がベース。走りはじめると、動力性能の印象がかなり異なっていた。もちろん、CR-Vとヴェゼルとではボディサイズが大きく異なり、それに付随して車両重量はCR-Vのほうが重い。

 両車の印象は「ヴェゼルのほうが軽いので、加速力に優れている」というフレーズだけで終わるような違いではなかった。両車で大きく異なる点は、CVTの変速テイストだ。

 昨今は、無段変速を最大の特徴とするCVTでも、加速時にドライバーが受ける違和感を最小限に抑えるために、エンジン回転数と走行速度をリンクさせる調整が一般的。

 ところがCR-Vでは、ドライバーに対する「忖度」はあまりせず、理論上の最高効率を追求したかのように、「一定のエンジン回転数で、ガンガン変速を行っていく」という感覚が強かった。

 ところが、ヴェゼル・ツーリングは一転して、「変速はエンジン回転数の上昇を待ってから」という印象が強い。効率面を追求すれば、CR-Vの設定が「正しい」のかもしれない。だが、滑り感が抑えられたヴェゼルのほうが、ドライバーの感覚にマッチし、断然にスポーティ、という印象を持った。ヴェゼル02.JPGツーリングは1.5リッター直噴ターボ(172ps22.4kgm)を搭載したフラッグシップ 欧州仕様と共通の高剛性ボディやアジャイルハンドリングアシスト機構で走行性を追求

パフォーマンスは余裕たっぷり

「変速控えめ」のCVTの制御は、エンジンの特性をいっそう明確に味わわせてくれる効果を伴っていた。アクセルをわずかに踏み加えた際に1.5リッターが発するトルク感は、とくに2000rpm付近で「まるで最新のディーゼルエンジンのよう」に太い。22.4kgmの最大トルクは17005500rpmの幅広い領域で発揮する。

 アクセル操作で簡単にエンジン回転数の上下を許してしまう設定のCVTとの組み合わせだったら、特徴的なエンジンテイストは味わえなかっただろう。つまり、「ドライバーが受ける違和感を最小限に抑えるチューニングが施されたCVTがあって、初めて本来の実力が味わえるエンジン」という印象を強く受けた。

 パフォーマンスは、1.5リッターの排気量が信じられないほど余裕たっぷり。アクセルを踏み込むとシートバックに背中が押しつけられるほどの加速が味わえる。感覚的には自然吸気2リッターオーバー車と同等のスピードであり、静粛性も高い。

 JC08モード燃費は17.6km/リッター。指定燃料はレギュラーで、燃料タンク容量は従来モデルの40リッターから50リッターに拡大されている。

ヴェゼル03.JPG室内は上質 ジャズブラウンとブラックで構成した専用インテリア採用 遮音材の追加で静粛性を追求 ステアリングは各種コントロール機能付き本革巻き

足回りは固めのセッティング

 スポーティなハンドリング感覚を意識したというフットワークは全般にやや固めの設定。4050km/hという常用域でやや揺すられ感が強い点は、あと一歩抑えてもらいたいところ。だがスピードが上昇するほどフラット感が増す乗り味に、ボクは好感を抱いた。

 ツーリングは、各部が補強され、一部に専用部品を用いた欧州仕様と同等のボディ骨格が採用されている。高剛性ボディが、快適な乗り味を生み出す要因になっていることは間違いない。

 動力性能面では間違いなく、「シリーズ中で最もゆとりがある」ツーリングだが、そうした中でやや気になる点は、既存のRSグレードとキャラクターがかぶっているところだ。

 とくに、走行性能に定評があるハイブリッド仕様との関係は、価格面を考えても気になるポイントだ。

 価格がいっそう上昇してしまうことを前提に、さらにゴージャスな仕立てで「究極のヴェゼル」をアピールする戦略も面白いだろう。

ヴェゼル04.JPGシートはウルトラスエードとレザーのコンビ仕様 本革仕様はオプション(162000円) 乗り心地はスピードが上昇するほどフラットに変化 室内長1930mm

ヴェゼル05.JPG荷室フロアは低くフラット 64分割の後席はダイブダウン機構付き 荷室高は830mm

※次ページでスペックを紹介

ホンダ・ヴェゼル・ツーリング・ホンダセンシング主要諸元と主要装備

ヴェゼル06.JPG

グレード=ツーリング・ホンダセンシング
価格=7CVT 2903040
全長×全幅×全高=4340×1790×1605mm
ホイールベース=2610mm
トレッド=フロント1535×リア1540mm
最低地上高=170mm
車重=1360kg
エンジン=1496cc4DOHC16Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力=127kW172ps)/5500rpm
最大トルク=220Nm22.4kgm)/17005500rpm
JC08モード燃費=17.6㎞/リッター(燃料タンク容量50リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア・トレーリングアーム
ブレーキ=フロント・ベンチレーテッドディスク/リア・ディスク
タイヤ&ホイール=22550R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5
最小回転半径=5.5m
●主な燃費改善対策:直噴エンジン/アイドリングストップ/可変バルブタイミング/自動無段変速機/電動パワーステアリング
●主要装備:ホンダセンシング(プリクラッシュブレーキ+誤発進抑制機能+歩行者事故低減ステアリング+アダプティブクルーズコントロールなど)/パフォーマンスダンパー/パフォーマンスロッド/VGR(可変ステアリングギアレシオ)/アジャイルハンドリングアシスト/専用高剛性ボディ/EBD付きABSLEDヘッドランプ/フロントフォグランプ/テールゲートスポイラー/専用エクステリア(ブラック塗装ヘッドライトガーニッシュ+フロント・バンパーロワグリル)/RS仕様ボディロワガーニッシュ/ルーフレール/フラットアンダーカバー/2本出しエグゾーストエンド/エコアシスト/ETC車載器/マルチインフォメーションディスプレイ/パワースイッチ/オートAC/ホンダスマートキーシステム/本革巻きステアリング/コンビシート&専用インテリア/チルト&テレスコピックステアリング/パドルシフト/コンフォートビューパッケージ/18インチアルミ(グレー塗装)
●装着メーカーオプションHondaインターナビ183600
●ボディカラー:プレミアムクリスタルブルーメタリック(op59400円)
※価格とスペックは20193月現在

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