トヨタ・セリカXX2800GT(1982年式) 新車時価格:5MT 232万2000円/4AT 240万6000円 試乗記
セリカXXのイメージが変わった。新型はシャープで筋肉質の男性的プロポーションに変身している。バリエーションのスター的な存在は、2800GTだろう。積んでいるのはソアラ譲りの2.8リッターツインカムユニット(5M-GEU型)である。
ハイスピードで疾走するXXの姿は、息をのむほど魅力的だ。ツインカムシックスが唸り、薄く低いノーズが空気の壁を切り裂く。XXのCd値は0.35。大人4名が乗れるキャビンを持つクルマでは、世界のトップに立つ。
インテリアもガラリと変わった。近ごろ、高めのアイポイントを持っているクルマが多いが、XXは低めだ。また、最近は広々としたコクピットが増えたが、セリカはやや囲まれる感じのレイアウトになっている。このコクピットに座るだけで、スポーツ心のあるドライバーの気分は高まるに違いない。
2800GTの走りは鮮烈だ。ソアラより65kg軽く、さらに空力性能が優れているセリカに5M-GEU型ユニットを組み合わせたのだ。いっそうパワフルになっている。ソアラ2800GTの速度制限装置を外したテスト車では、205km/hをマークし、ゼロヨンを15.9秒(2人乗り)で駆け抜けた、XXなら、さらにトップスピードは伸びるだろうし、ゼロヨンもあと0.3秒は短縮できるはずだ。
ところで、ソアラでは5000rpmを超えるあたりからパワーが少し低下し、トップエンドの伸びが落ちたが、セリカXXではそのクセが少し良くなっている。基本的に同じエンジンだが、車重差と、排ガス浄化システム変更の効果だろうか。
サスペンションはフロントがストラット、リアがセミトレーリングアームの4輪独立。ステアリングはパワーアシスト付きのラック&ピニオン式だ。足回りの最終仕上げは英国の名門、ロータスが担当したという。
コーナリング能力は優秀だ。ちょっと飛ばす程度なら、適度なアンダーステア傾向で、実に扱いが楽だ。そのうえ、シャープな切れ味が楽しめる。さらにスピードを上げていくと、アンダーステアの度合は強まるが、過度にはならない。フロントのグリップ力が残るうちに、リアがスライドしだす。バランスのとれたハンドリングだ。前後バランスもいい。
コントローラブルな性格は、2800GTを思い切って振り回せる、楽しいスポーツ車にした。ワインディングロードやサーキットで、フルに5M-GEU型のパワーを引き出しながら走っても、足回りは、そのパワーをしっかり支える能力があり、存分に愉快に駆け回らせてくれた。ブレーキ能力はソアラに勝っている。メーカーの「新しいセリカXXは、スポーツマインドをいっそう高めた」という説明は事実だった。XX2800GTは、ルックス同様、走りは男性的なスポーツ派に変身している。(カー・アンドドライバー:1981年9月号掲載)
2ndセリカXX(MA61/GA61型)は1981年7月に登場。スポーツマインドを鮮明にしたシャープなフォルムが話題を呼ぶ。トップモデルは2.8リッター直6ツインカム(170ps)の2800GT。2リッターシリーズも設定された。82年2月に2リッターターボ、8月に2リッターツインカム(160ps)の2000GTが登場。83年8月に一部改良を実施。市場ではGT系の5MT車が中心。オリジナル状態を維持したモデルが240万~400万円前後で取り引きされている。欠品パーツは多い。
グレード=2800GT
新車時価格=5MT 232万5000円/4AT 240万6000円
全長×全幅×全高=4660×1685×1315mm
ホイールベース=2615mm
車重=1235kg(MT/AT1250kg)
エンジン:2759cc直6DOHC12V(170ps/5600rpm 24.0kgm/4400rpm)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:セミトレーリングアーム
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=195/70HR14+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=5名