SUBARUアルシオーネVRターボ(1985年式) 新車時価格:5MT 225万円/3AT 231万5000円 試乗記
SUBARU(以下スバル)初のスペシャルティカー、アルシオーネがデビューした。
アルシオーネはいろいろと特徴があるクルマだ。何といっても最大のポイントは、印象的なルックスである。
薄くシャープなノーズは、まさに空気の壁を「切り裂く」イメージだ。フォルムは、文字どおりの「ウエッジ」である。リトラクタブル式のヘッドライトはノーズと巧みに一体化しており、なかなかいい仕上がりだ。
空力性能は、もちろんいい。車高の低いFFモデル(4WDモデルより40mm低い)のCd値は実に0.29である。試乗したのは主に4WDのVRターボで、こちらのCd値は0.31くらいだという。こちらも立派なデータだ。
インテリアも外観に劣らず斬新だ。インパネは、いわゆるコクピットタイプである。
メーターパネルと、ステアリングコラムの左右に突き出したウイング状のコントロールパネルは、ステアリングのチルト機構と連動する仕組みになっている。だから、ステアリングホイールの位置をどう動かしても、メーター類が見にくくなったり、スイッチが操作しにくくなる心配がない。なかなか具合がいい。
ガングリップタイプのシフトレバーや、逆L字型スポークのステアリングホイールなど各部の造形は個性的。何だか〝ショーカー〟に乗っているような気になってくる。
アルシオーネのエンジンは、1.8リッター水平対向4気筒ターボを積んでいる。最高出力は135ps/5600rpmで、最大トルクは20.0kgm/2800rpmを発生する。
4WDのVRターボの動力性能は、ターボ車として水準的だ。日常的なスタート、つまりパーシャルスロットルでの発進は、なかなか力強い。走り出してしまえば、あとはドライバーの意志のままに走ってくれる。
4WD機構は、パートタイム4WDである。だが、ATの場合、MP-Tと呼ぶ独特のトランスファーによって、フルタイム4WDと同様の使い方ができる。このプラスは大きい。
VRターボの足回りは、電子制御式フルエアスプリング方式を採用している。セッティングは、高速直進性を重視し、乗り心地もよくした、という。ただし操縦性は癖があり、残念だが良好とはいえない。スバルの新しいイメージリーダーとして、ブラッシュアップを期待したい。(カー・アンド・ドライバー:1985年7月26日号掲載)
1stアルシオーネ(AX-4/AX7型)は、SUBARU初のスペシャルティカーとして1985年1月に北米デビュー(車名はXTクーペ)。日本は5月発売。ラインアップは4WDのVRターボとFFのVSターボの2種。水平対向ユニットを筆頭にした独自のメカニズムと世界トップ級の空力性能がアピールポイント。1987年7月には2.7リッターボクサー6(150ps)を積む上級版のVXを追加した。現在は250万〜320万円前後でオリジナル車が取り引きされている。
グレード=VRターボ(1985年式)
新車時価格=5MT 225万円/3AT 231万5000円
全長×全幅×全高=4450×1690×1335mm
ホイールベース=2465mm
車重=1340kg(AT10kg増)
エンジン=1781cc水平対向4OHC8Vターボ(135ps/5600rpm 20.0kgm/2800rpm)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:セミトレーリングアーム
タイヤ&ホイール=185/70R13+スチール
駆動方式=4WD
乗車定員=4名