魅力たっぷり新世代e-POWER。エクストレイルは次世代SUVの理想型だが、現在オーダーストップ中…

日産エクストレイル 価格/319万8800〜504万6800円 試乗記

新型エクストレイルは上質で快適な「アウトドアも楽しめるSUV」を目指して開発。パワーユニットは新世代e-POWER。世界初の可変圧縮比エンジン(VCターボ)とモーターの組み合わせ。新4WDシステムのe-4ORCEは緻密な統合制御で走りと快適性をリファイン

新型エクストレイルは上質で快適な「アウトドアも楽しめるSUV」を目指して開発。パワーユニットは新世代e-POWER。世界初の可変圧縮比エンジン(VCターボ)とモーターの組み合わせ。新4WDシステムのe-4ORCEは緻密な統合制御で走りと快適性をリファイン

新型は「攻めのモデルチェンジ」で魅力アップ!

 エクストレイルは2000年に初代が登場。一貫して日産のビジネスを牽引してきた。最新4代目は、「攻め」に転じた。
 エクステリアは初代/2代目のボクシーさと3代目のアーバンさを巧みに融合した印象。しかもひと目でエクストレイルとわかるデザインにまとめた。「懐かしいのに新しい」という不思議なイメージだ。一見大柄に見えるが、ボディサイズは全長×全幅×全高4660×1840×1720mm。旧型とほぼ同等で、日本でも扱いやすい設定にまとめている。

 インテリアは乗用車テイストを高めた。ノート/アリア/サクラとの共通性を感じる水平基調のクリーンなインパネが目を引く。作りは上質で、「ブリッジセンターコンソール」がSUVらしい堅牢で守られた空間を演出する。居住性もリファイン。後席はパッケージング最適化と薄型シートの採用でヘッドルーム/ひざ回りスペースを拡大。加えて広いドア開口やスライド機構(+20mmの260mm)で利便性に優れる。

リア

エンジン

世界初の「可変圧縮比エンジン」を採用したe-POWER搭載

 新型の価値は、実は見えない部分にある。現在の日産が持つ最先端技術をすべて盛り込んだメカニズムだ。パワートレーンは次世代e-POWERを搭載。可変圧縮比エンジン(1.5リッター・VCターボ:144ps/250Nm)と前後の高出力モーター(フロント:204ps/330Nm、リア:136ps/195Nm)を組み合わせた。

 e-POWERはエンジンで発電、モーターで走るシリーズハイブリッド。バッテリー残量が多いときは、加速時もほぼエンジンは掛からず、エンジンが始動しても低回転で効率よく発電するため存在をほぼ感じない。アクセル開度が大きいシーンでは大排気量並みのトルクと伸びの良さを実感する。e-POWERはエンジンと駆動系に機械的なつながりはないのだが、エクストレイルのそれはそこにつながりがあると錯覚してしまうくらいリニアで自然なフィーリングだ。素晴らしい。

 フットワーク系も一新された。プラットフォームはルノー/日産/三菱アライアンスで共同開発された「CMF-CD」。サスペンションやステアリング系も新開発。これに加えて、前後のモーターとブレーキを用いて4輪の駆動力を綿密に最適制御するe-4ORCEを導入した。e-4ORCEは、「意のままの走り」と「フラットで快適な乗り心地」を高次元で両立させる新技術である。

 走りは車体、サスペンション、ステアリング系まで、すべてにおいて剛性の高さを実感。そのうえで直結感が高く正確無比な操舵フィール、舵角一定で狙ったとおりに曲がる一体感、そして外乱に影響されない優れた直進性が楽しめる。クロスオーバーSUVであることを忘れるくらいだ。速度を上げてもアンダーもオーバーも出さず、オンザレールで何事もなく走る。体感的には「自分の運転が上手くなった」と錯覚する。

 新型は、内外装に加えて、走りも大きく進化した。一気にクラストップの総合力を備えている。あまりの人気の高さから一時オーダーストップになってしまったのも納得である。

走り

インパネ

日産エクストレイル主要諸元

真正面

グレード=G-e-4ROCE
価格=449万9000円
全長×全幅×全高=4660×1840×1720mm
ホイールベース=2705mm
トレッド=フロント:1585/リア:1590mm
最低地上高=185mm
車重=1880kg
エンジン=1496cc直3DOHC12Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力=106kW(144ps)/4400〜5000rpm
最大トルク=250Nm(25.5kgm)/2400〜4000rpm
モーター最高出力=フロント:150kW(204ps)/4501〜7422rpm/リア:100kW(136ps)/4897〜9504rpm
モーター最大トルク=フロント:330Nm(33.7kgm)/0〜3505rpm/リア195Nm(19.9kgm)/0〜4897rpm
WLTCモード燃費=18.4km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:16.1/20.5/18.3 km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/Ⓡマルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/55R19+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m

フォトギャラリー

 

Follow