米国GMは2021年4月22日(現地時間)、キャデラック初の電気自動車「リリック(LYRIQ)」をオンライン発表し、さらに上海モーターショー2021(4月19日~28日)では実車のプロトタイプも公開した。
リリックの米国での受注予約は本年9月にスタートし、生産はテネシー州スプリングヒル工場で2022 年第1四半期から、発売は2023年モデルとして2022年前半から開始する予定。車両価格は5万9990ドル(約655万円)~に設定する。また、中国山東省に居を構える上海通用汽車SAIC-GMの煙台工場での生産も行われ、中国での予約受注は本年後半、発売は2022年初旬を予定している。
キャデラック・ブランドを新しい時代に導く新世代ラグジュアリーEVとして企画されたリリックは、新開発のEVプラットフォーム「アルティウム(Ultium)」に、12モジュールで構成した容量100kWhのバッテリーパックをフロア下に搭載。最高出力340ps/最大トルク440Nm(キャデラック推定値)を発生するモーターはリアに配し、後輪を駆動する。フル充電での航続距離は、300マイル(約483km)以上を実現するように設計した。なお、昨年に発表されたプレスリリースでは、フロントにセカンドドライブユニットを組み込んだパフォーマンスAWDも用意すると予告しており、さらなる高性能モデルの設定も期待される。
充電に関しては、公共の充電ステーションなど190kWの高速直流(DC)急速充電にも対応しており、10分の充電時間で走行距離を約76マイル(約122km)延長することが可能。また家庭での充電では、19.2kWの充電モジュールにより、1時間で最大52マイル(約83km)走行できる電気が蓄えられるという。
ドライビング機構に最新システムを精力的に導入した点も見逃せない。具体的には、アクセルペダルの操作だけで加減速や制動をコントロールできる「ワンペダルドライビング」のほか、次世代のGM独自の回生ブレーキシステム「Variable Regen on Demand(バリアブル・リジェン・オン・デマンド)」を採用。ドライバーはステアリングホイールに配する感圧パドルを使って、どれくらいのスピードで減速し、完全に停止するのかを制御できる。さらに、対象の道路における完全ハンズフリー運転支援システム「スーパークルーズ」も設定した。
エクステリアについては、キャデラック・ブランドの新世代EVにふさわしい新しいデザインアプローチやプロポーションなどによって、斬新なクロスオーバーSUVスタイルに仕立てたことが訴求点だ。まずフロント部は、表情豊かな“ブラッククリスタル”グリルや演出効果を備えた点灯シーケンスの細長くスリムなLEDシグネチャーライティングなどが目を惹く。また、サイドビューは張りのあるラインとクリーンなサーフェスで構成したパネル面や低くなだらかに傾斜するルーフラインが印象的。そしてリアセクションは、スリムなLEDを組み込んだスプリットテールランプデザインやルーフから流れるように続くスポイラーなどによって、存在感あふれる後ろ姿を創出した。足もとにはスプリット6スポーク20インチアロイホイールを標準で、ダイナミクスプリットスポークリバースリム22インチアロイホイールをオプションで装着する。ボディサイズは全長4996×全幅1976×全高1623mm/ホイールベース3094mmという立派な体躯に設定した。
内包するインテリアは、ドライバーの視野全体に広がる対角33インチのアドバンスドLEDディスプレイを採用したことがトピック。また、デュアルプレーン拡張現実(AR)対応ヘッドアップディスプレイやスーパーバイズド(監視を伴う)リモートパーキングなどの新技術も採用する。さらに、キャビンルームに侵入する騒音を効果的に抑制する次世代アクティブノイズキャンセレーションシステムやヘッドレストスピーカーを含む19個のAKGスタジオ製スピーカーオーディオシステム、スマホを活用したKeyPassデジタル車両管理アプリなどを設定した。
なお、当初の予約では外装色をサテンスティールメタリックまたはステラーブラックメタリックから、また内装色をスカイクールグレーまたはノワールから選ぶことが可能だ。
肝心のリリックの日本導入に関してだが、ゼネラルモーターズ・ジャパンは後日、改めて時期などを発表するとアナウンスしている。