日産フェアレディZ 価格/524万1500〜646万2500円 試乗記
歴代最強の3リッターV6ツインターボは心躍る実力
フェアレディZは、1969年、「アメリカ市場のニーズに適した新しいスポーツカーを作る」という強い想いで誕生した。以来、長い歴史を誇る。最新モデルが7代目のRZ34型である。
エクステリアは、日本刀をイメージした引き締まったプロポーションと歴代モデルのオマージュ(フロントは初代、リアは4代目)を織り込むことで、過去と未来をバランス。インテリアは機能的なレイアウトだ。
エンジンは405ps/475Nmを発揮する3リッター・V6ツインターボ(VR30DDTT型)。スペックはスカイライン400Rと共通だが、実際に乗ると「似て非なるもの」という印象。歴代最強の絶対性能はいうまでもないが、いい意味でターボを感じない。段付きのないトルク感と鋭いアクセル応答性、そして思わず回したくなる伸びの良さとサウンドに心が躍る。官能的で繊細な特性はZ独自の味付けである。
トランスミッションは6速MTと9速AT。MTは先代の改良版。硬質なタッチながらもスッとシフトが入る。ドライビングのリズムが取りやすい。ATは新開発。シフトの繋がりの良さはもちろん、エンジン特性とのマッチングはMTよりも上。MT/ATの選択は悩みどころのひとつだ。
最新Zは最高のダンスパートナー、自在に操れる!
フットワークは熟成方向の進化を果たした。車体はフロントセクションとリア開口部周囲をほぼ新設計、サスペンションもジオメトリ変更とモノチューブショックアブソーバー、さらにラックアシストEPSの採用と刷新されている。操舵力は最近のクルマの中では重め。いいベアリングに変えたかのような滑らかさと抵抗感のないスッキリしたフィールを備えている。
ハンドリングは豪快なFRのキャラクターを継承。だが、決して粗削りではない。コーナリングの一連の流れに連続性があること、そしてまるで前後重量配分が適正されたかのようなバランスの良さが特徴だ。先代はウエット路面などで「いつ破綻するの?」とドキドキしたが、新型はつねに冷静でいられる。とはいえ、400psオーバーのFRなのでラフなアクセル操作は禁物。クルマは不安定方向(=オーバーステア)になる。だがその時の動きも唐突な物ではない(最後はVDCが作動)。つまり、安心を担保しつつもFRの旨味が味わえる味付けである。タイヤは18/19インチをグレードに応じて装着。18インチは穏やかなクルマの動き、19インチは応答性の鋭さが楽しめる。
最新7代目は飛び道具のような新技術こそないが、知り尽くしたリソースを活かし切ることで「1+1=3」のような進化を遂げた。型式が先代と同じ「Z34」なので、口が悪い人は「大幅改良レベル」と評価しているようだが、個人的には「Z35」と呼びたい完成度である。現代はスポーツカーに対して厳しい環境下。その中で歴史を途絶えさせることなく、未来へと襷を繋げたことは、大きな意味がある。
日産フェアレディZ主要諸元
グレード=バージョンST
価格=6MT/9SAT 646万2500円
全長×全幅×全高=4380×1845×1315mm
ホイールベース=2550mm
トレッド=フロント:1555/リア:1565mm
車重=1590(AT:1620)kg
エンジン=2997cc・V6 DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=298kW(405ps)/6400rpm
最大トルク=475Nm(48.4kgm)/1600〜5600rpm
WLTCモード燃費=MT:9.5/AT:10.2km/リッター(燃料タンク容量62リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:MT:6.4/9.9/11.6/AT:6.6/10.9/12.6 km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:255/40R19/リア:275/35R19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最小回転半径=5.2m
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