キャデラックXT4スポーツ 価格:9SAT 640万円 試乗記
扱いやすいキャデラック、などと書いてもピンとこない読者がまだいらっしゃるかもしれない。いや、世間的にはそういうものだろう。当のキャデラックにすれば「もう20年近く、改革路線をメインにしてきたのに」、かもしれないが……。
重厚長大はすでに過去の話。2003年に登場したCTS以降、欧州車イメージの乗り味を持ったサルーンやSUVが、この老舗高級ブランド、キャデラックの主軸である。とはいえ日本では「大型モデルが中心」というイメージが根強く残っている。とくにSUVカテゴリーは全長5300mmオーバーのエスカレードが牽引してきたため、正直なかなかとっつきにくかった。全長を4800mm台に抑えた2nd・SRX以降、ようやく日本のユーザーの食指も動くようになったのだ。
SRXは、いまやXT5と名を変え進化を果たした。その弟分ともいえるのが新型XT4である。ボディサイズは全長×全幅×全高4605×1875×1625mm。日本の道路環境でもジャストなSUVだ。レクサスならちょうどNX(同4640×1845×1645mm)と同クラスになる。
XT4は、左ハンドルであり、かつハイブリッドなどエコパワートレーンがないことを除けば、スペックや装備は日欧のプレミアムモデルと競合する。試乗車のスポーツ(640万円)や最上級グレードのプラチナム(670万円)を選べば、大抵のラグジュアリー装備は標準となる。
メカニズムは最新仕様。新開発の2リッター直4ターボと9速ATを組み合わせ、FFベースのオンデマンド式4WDシステムで約1.8トンの車体を動かす。最高出力230ps&最大トルク350Nmというスペックはクラス最高レベル。ドイツはもちろん英国のスポーツブランドにも勝っている。
最新キャデラックの走りに、旧来の「アメ車」の印象はまったくない。快活でしかもスポーティだ。キャデラック初となるコンパクトセグメントのSUVだけに並々ならぬ意欲を感じた。後輪にトルクベクタリングを備えたフットワークは、驚くほど達者。ワインディングロードでは「アメ車とは思えない走りだ」と口走ってしまった(自分自身も先入観に冒されたままだったと反省した……)。
2リッターエンジンは、とても静粛。右足を強めに踏み込むと4気筒の音と振動を感じるが実に洗練されている。乗り心地もスムーズ。高速巡航も安定している。試乗時の燃費は12km/リッター台。驚くほど経済的とはいえないが、ここにも旧来のアメ車イメージはない。
グレード=スポーツ
価格=9SAT 640万円
全長×全幅×全高=4605×1875×1625mm
ホイールベース=2775mm
トレッド=フロント1600×リア1600mm
車重=1760kg
エンジン=1997cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=169kW(230ps)/5000rpm
最大トルク=350Nm(35.6kgm)/1500〜4000rpm
WLTCモード燃費=未公表(燃料タンク容量61リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ディスク
タイヤ&ホイール=245/45R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=未公表
主要燃費改善項目=未公表
主要装備=フロントオートマチック歩行者対応ブレーキ/リアオートマチックブレーキ/レーンキープアシスト&車線逸脱警告/サイドブラインドゾーン&レーンチェンジアラート/リアクロストラフィックアラート/リアペデストリアンディテクションアラート(警告振動機能付き)/アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)/HDサラウンドビジョン/オートマチックパーキングアシスト/グロスブラックメッシュグリル/レッドブレーキキャリパー/リアカメラミラー/LEDヘッドライト/インテリビーム(ハイビーム自動切り替え)/ホイールアーチモール/クロームエキゾーストエンド/ルーフレール/エンハンスド8インチカラー液晶メーター/ヘッドアップディスプレイ/ハンズフリーパワーテールゲート/本革シート/前席電動調節&マッサージ機能/前後席シートヒーター/ステアリングヒーター/メモリーパッケージ/デュアルゾーンオートAC/スポーツコントロールAWD/リアルタイムダンピングサスペンション/20インチアルミ/通信型ナビ
ボディカラー:オータムメタリック(op13万2000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル料金は1万7300円