マクラーレンは、ある意味でフェラーリ以上にモータースポーツに軸足を置いてきた企業だ。なにしろ、60年に迫る歩みのなかで、ロードカーの本格的な量産体制が整ったのは2010年のこと、その歴史はわずか12年に過ぎないのである。
2010年、MP4/12Cと名付けられた彼らの“処女作”はカーボンモノコックにV8エンジンをミッドシップ。エアロダイナミクスを活用したラグジュアリーなスーパースポーツカーとしてデビューした。その後もマクラーレンは一貫してこの方針を堅持してきたが、2021年にはV6エンジンにプラグインハイブリッド・システムを組み合わせた新世代モデルのアルトゥーラを発表。電動化時代に向けて新たなスタートを切った。その詳細は本誌をご覧いただくとして、ここでは、マクラーレンの未来戦略をご紹介しよう。
長年の方針を改め、マクラーレンはSUVを開発する模様だ。きっかけはミハエル・ライタースのCEO就任。ポルシェ・カイエンやフェラーリ・プロサングエの開発に携わった彼はSUV作りのプロ。そんなライタースの招聘がなにを意味するかは、いわずもがなだ。
なぜ、マクラーレンはSUVを手がけるのか? その最大の理由は収益性の高さにある。SUVの発売がランボルギーニやアストンマーティンの経営規模を格段に拡大したのはご存知のとおり。環境対応などで巨額の開発費が必要ないま、マクラーレンにも“ドル箱”SUVが求められているのだ。外誌の報道によれば、マクラーレン初のSUVないし4ドアモデルはEVとなる可能性もあるらしい。
※【本誌取材ノート】は雑誌『CAR and DRIVER(カー・アンド・ドライバー)』掲載記事と連動したコンテンツです