【こだわりのエンジン車】世界で最も美しいクーペ、レクサスLCと2UR型マルチシリンダーV8の絶妙マッチング

レクサスLC500・Sパッケージ LCのルーツはコンセプトカー「LF-LC」(2012年発表) 500はフロントミッドに5リッターV8(477ps)搭載 Sパッケージのルーフは軽量CFPR製 LDH(レクサスダイナミックハンドリング)標準
レクサスLC500・Sパッケージ LCのルーツはコンセプトカー「LF-LC」(2012年発表) 500はフロントミッドに5リッターV8(477ps)搭載 Sパッケージのルーフは軽量CFPR製 LDH(レクサスダイナミックハンドリング)標準

レクサスLC500・Sパッケージ 価格:10SAT 1450万円 試乗記

官能のパワーとV8サウンド。最後の5リッター自然吸気は絶品

 ボア94mmの名機、トヨタUR系V8エンジンは、レクサスLC500が搭載する5リッターの2UR-GSE型を最後にその役目を終える気配が濃厚だ。
 2UR型を自然吸気エンジンとして最初に味わったのは2007年にデビューしたISFだった。ISFはドイツのライバル(AMGやBMW・M)に勝るとも劣らないスペックと、官能的なフィールでユーザーを魅了した。中でも高回転域で高らかに響き渡るエグゾーストノートは、耳に心地よく響く官能的なナイスサウンドだった。

 マニアックな5リッター・V8自然吸気エンジンが、世界で最も美しいクーペ、LCに積まれたのは2017年。477ps/7100rpm、540Nm/4800rpmのスペックと、世界最速の変速スピードを誇る10速ATの組み合わせは、印象的な造形にふさわしいパフォーマンスをもたらした。レクサスの「リボーン」を牽引したこのラグジュアリークーペには、3.5リッターV6とモーターを組み合わせたハイブリッド仕様の500hもラインアップされ、デビュー当初は個人的にハイブリッドのほうがLCのキャラクターにふさわしい、と思っていた。だが、V8の500にじっくりと乗って考えが変わった。

全長×全幅×全高4770×1920×1345mm 車重1950kg LCは理想的な前後重量配分と低重心で走りを追求 足回りは4輪マルチリンク式 パワーウェイトレシオ:4.09kg/ps
全長×全幅×全高4770×1920×1345mm 車重1950kg LCは理想的な前後重量配分と低重心で走りを追求 足回りは4輪マルチリンク式 パワーウェイトレシオ:4.09kg/ps
4968cc・V8DOHC32V(2URーGSE型) 477ps/7100rpm 540Nm/4800rpm 大排気量NA独特の味わいは秀逸
4968cc・V8DOHC32V(2URーGSE型) 477ps/7100rpm 540Nm/4800rpm 大排気量NA独特の味わいは秀逸

とびきり優雅で贅沢な走り。今のうちにこの魅力を味わおう!

 2UR-GSE型V8は、同じレクサスのLFA用V10と並ぶ、日本が生んだ最高のマルチシリンダーNAユニットである。とにかく踏み込む瞬間がたまらなく気持ちがいい。いまとなっては驚くほどのパワースペックではないし、実際、思い切りアクセル踏み込んだところで速さはスーパースポーツの域には届かない。だが、それがかえっていい。エンジンフィールをじっくり楽しめるからだ。小気味いい10速ATもこのエンジンに合っている。

 通常は豊かなトルクを感じながらゆったりとクルージングを楽しみ、状況に応じてV8の本領を堪能する。LC500には、とびきり贅沢で優雅なドライビングプレジャーがある。しかもエンジンサウンドが絶品。絶妙に調律された珠玉のV8サウンドは、それだけでも500を選ぶ価値がある。
 LC500は、内燃機関の音と心地よさを、いまのうちに思い切り楽しんでおきたい……、そんなユーザーにぴったりのスペシャルモデルだ。クーペもいいが、4層構造のソフトトップを採用したコンバーチブルも魅力的である。

 とはいえ正直にいうと、もう少し小さめのボディ、ISとの組み合わせがパワーフィール的にはベターだと思う。実際、北米市場ではIS500という2UR型を積んだ限定車が登場した。日本市場への導入を切に望む。たとえそれが最後の2UR型となったとしてもだ。

インパネはドライバー側と助手席側を分割した造形 365mm径ステアリング周囲に走りに関係するコントロール系を集約した機能的な設計 各部の作りは上質で入念
インパネはドライバー側と助手席側を分割した造形 365mm径ステアリング周囲に走りに関係するコントロール系を集約した機能的な設計 各部の作りは上質で入念
シートはスポーツ形状 素材は本革とアルカンターラのコンビ仕様 前席はヒーターとベンチレーション機能内蔵 後席は完全2分割形状 荷物スペースに最適
シートはスポーツ形状 素材は本革とアルカンターラのコンビ仕様 前席はヒーターとベンチレーション機能内蔵 後席は完全2分割形状 荷物スペースに最適
メーターは視認性に優れたフル液晶 走行モードに応じ表示が変化 写真は回転計を際立たせたスポーツ状
メーターは視認性に優れたフル液晶 走行モードに応じ表示が変化 写真は回転計を際立たせたスポーツ状
トランスミッションは10速AT 滑らかさと世界最速のシフトスピードを誇る パドル標準
トランスミッションは10速AT 滑らかさと世界最速のシフトスピードを誇る パドル標準
タイヤはフロントが245/40R21/リアは275/35R21の前後異サイズ フロントブレーキは6ポッドキャリパー
タイヤはフロントが245/40R21/リアは275/35R21の前後異サイズ フロントブレーキは6ポッドキャリパー
Sパッケージはアクティブリアスポイラー標準 緻密な造形処理によりエレガントさとハイレベルな空力特性を両立
Sパッケージはアクティブリアスポイラー標準 緻密な造形処理によりエレガントさとハイレベルな空力特性を両立
エグゾーストエンドはリアバンパーにビルトインしたスタイリッシュ形状 排気サウンドは魅惑的 心ときめく
エグゾーストエンドはリアバンパーにビルトインしたスタイリッシュ形状 排気サウンドは魅惑的 心ときめく

レクサスLC500・Sパッケージ 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=500・Sパッケージ
価格=10SAT 1450万円
全長×全幅×全高=4770×1920×1345mm
ホイールベース=2870mm
トレッド=フロント:1630mm×リア:1635mm
車重=1950kg
エンジン=4968cc・V8DOHC32V(プレミアム仕様)
最高出力=351kW(477ps)/7100rpm
最大トルク=540Nm(55.1kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=8.4km/リッター(燃料タンク容量82リッター)
(市街地/郊外/高速道路:5.0/8.9/11.2km/リッター)
サスペンション=前後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/40RF21/リア:275/35RF21+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
最小回転半径=5.4m
主な燃費改善対策=筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
主要装備=レクサスセーフティシステム+(プリクラッシュセーフティ+レーンキーピングアシスト+オートマチックハイビーム+レーダークルーズコントロール)/ブラインドスポットモニター/リアクロストラフィックアラート/バックガイドモニター/サウンドジェネレーター/ギア比可変ステアリング/リアパフォーマンスダンパー/アクティブリアウイング/LDH(レクサスダイナミックハンドリングシステム)/CFRPルーフ/アルカンターラ&セミアニリン本革スポーツシート/TFT液晶メーター/レクサスLCプレミアムサウンドシステム/フロント対向6ポッド&リア4ポッドブレーキシステム/フルLEDヘッドライト/ワイドディスプレイ&ナビシステム/電動チルト&テレスコピックステアリングコラム/アナログクロック
装着メーカーop=カラーヘッドアップディスプレイ8万8000円/寒冷地仕様1万7600円
ボディカラー=ラディアントレッドコントラストレイヤリング(op16万5000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万4280円

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