仏アルピーヌは2021年5月21日(現地時間)、F1モナコグランプリにおいてアルピーヌと現代アーティストのフェリペ・パントネ(Felipe Pantone)がコラボレーションして製作したA110の特別仕様車「アルピーヌA110×フェリペ・パントネ(ALPINE A110×Felipe Pantone)」を発表した。生産台数は4台で、その内の3台を販売。車両価格は12万5000ユーロ(約1655万円)に設定する。残念ながら日本での販売は予定されていない。
今回アルピーヌがタッグを組んだフェリペ・パントネは、1986年にアルゼンチンで生まれ、現在はスペインを拠点に活躍する気鋭のアーティストで、これからの現代アート界を担うネクストジェネレーションアーティストとして世界中で注目を集めている。その作風は、レトロとウルトラモダンなデザインが融合した、これまでにないグラフィカルで斬新なアレンジが特徴。コンピュータを駆使しながらタイポグラフィーと3Dでグラフィックイメージを創出したうえで、実際の作品制作にはスプレーペンキやマスキングなどアナログな手法を用い、体を使って表現するストリートアーティストとしての一面も見せる。近年では、欧州の有名ギャラリーのほかに、アメリカのMesa Contemporary Arts(MCA)センターなどでも作品を展示。また、クルマやモーターサイクル、時計、スポーツウェア、スニーカーなど、大手メーカーとコラボレーションした作品も精力的に手がけている。本年4月には、アルピーヌのF1マシンをベースにした「アルピーヌF1×フェリペ・パントネ」を発表した。
A110を使った今回のコラボでは、事前にパントネがアルピーヌ・ブランドの特徴と歴史を研究し、またA110にも長い時間をかけて試乗する。その結果、パントネはA110に対してモダンやダイナミック、エレガントというキーワードを提示した。
実際のペイント作業は数週間に渡り、パントネの手法に則って手作業で行われる。ベース車は292hp/320Nmのパワー&トルクを発生する1798cc直列4気筒DOHC16V直噴ターボエンジンを搭載した高性能バージョンのA110S。外装色の基調にはパントネのシグネチャーカラーであるブラックとホワイトを用い、そこに幾何学的で多様なグラフィックを前後と左右のパネル面に配する。車両が静止している状態でも、スピード感をイメージできるデザインが印象的だ。また、フロントフェンダー後方にはパントネのサインを描き、さらに室内には車名やシリアル番号、パントネのサインを刻印する専用プレートを装着した。
「アルピーヌA110×フェリペ・パントネ」は前述の通り3台を販売するが、手作業によるグラフィックは微妙に異なるという。パントネいわく、コラボレーションモデルのエクスクルーシブ性をより高める目的でアレンジを変えたそうだ。