BYD ATTO3(アットスリー) 価格:440万円 試乗記
BYDは世界販売トップのBEVブランド
バッテリーメーカーとしてスタートした中国のBYDは、2003年に自動車業界に参入。いまや世界を席巻するまでに急成長した。日本ではあまり知られていないが、2022年1月~6月のBEVとPHEVの合計販売台数は64万台に達し世界一、という規模を誇る。
BYDは2022年7月に日本市場に3モデルのBEVを導入することを発表、2023年1月末からまず主力モデルのATTO3(アットスリー)の販売がスタートする。ATTO 3は、2022年2月に中国で発売されたばかりのミドルサイズSUVだ。
対面するとスタイリッシュな容姿が印象的。インテリアもユニークなデザインと色使いが印象深い。曲面構成のインパネ中央には、縦向きか横向きかを任意に選べる大画面タブレット状ディスプレイを装備。そこに必要な諸機能が集約されている。
デザインは、元アウディのデザイナーが担当したと聞いた。エアコン送風口、シフトレバー、ドアノブの造形やドアポケットのひも状アクセントなど、随所に遊び心のあるデザインが取り入れられているのが楽しい。
室内はルーミー。車内の床面はフラットで、後席も含め十分な居住空間が確保されている。シートの厚みや作りもしっかりとしている。ウインカーレバーが日本車と同じステアリングコラム右側にあることに驚いた。いかに日本市場を重視しているかがうかがえる。荷室容量は後席使用時440リッターと十分だ。
航続距離は485km! 走りは超スムーズで先進的
ATTO 3は、独自開発による「ブレードバッテリー」を搭載した「e-Platform 3.0」を採用している。バッテリーは耐久性に優れ、充電を繰り返しても長い寿命を誇り、安全性も高いリン酸鉄リチウムイオン電池を採用。58.56kWhの容量により、485kmのWLTCモード航続距離を実現している。
車両重量は1750㎏と比較的軽い。フロントに搭載した150kW(204ps)と310Nmを発生するモーターにより前輪を駆動する。0→100km/h加速タイムは7.3秒が公表値だ。
走りはスムーズそのもの。動力性能を誇示するタイプのEVではないし、スポーツモードを選択しても、大きく加速感が変化するわけではないが、EVらしく静かで、低速から力強い走りが十分に味わえる。
回生ブレーキの強さは2段階で選べる。ただし、ワンペダルドライブできるほど減速度が強まるわけではない。また、演出的にあえて残しているのかもしれないが、加減速時に車内で電気的な音がかなり聞こえた。
足回りは、そつなくまとまっていて十分に乗り心地はいい。ハンドリングは俊敏でもダルでもなく、何も気にせずコントロールできるようにセッティングされている印象を受けた。
ATTO 3の価格は440万円。内容を考えるとかなりリーズナブルだ。日本勢や欧州勢にとっては、少なからず強敵になりそうである。
BYD ATTO3 主要諸元
グレード=ATTO 3
価格=440万円(2023年1月末発売)
全長×全幅×全高=4455×1875×1615mm
ホイールベース=2720mm
トレッド=未公表
車重=1750kg
モーター型式=交流同期電動機
モーター最高出力=150kW
モーター最大トルク=310Nm
一充電走行距離=485km(WLTCモード)
駆動用バッテリー=リン酸鉄リチウムイオン電池(ブレードバッテリー)
駆動用バッテリー総電力量=58.56kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=235/50R18+アルミ
駆動方式=2WD
乗車定員=5名
最小回転半径=未公表
0→100 km/h加速=7.3秒
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