【最新モデル試乗】多彩な制御の電動4WD、日産ノートX・FOURの注目すべき減速時の挙動

日産ノートX・FOUR 新型はアウトランダーPHEVと同タイプの高出力リアモーター(50kW/68ps)搭載 緻密な駆動力制御により雪道だけでなくすべての走行シーンで安定性が向上
日産ノートX・FOUR 新型はアウトランダーPHEVと同タイプの高出力リアモーター(50kW/68ps)搭載 緻密な駆動力制御により雪道だけでなくすべての走行シーンで安定性が向上

日産ノートX・FOUR 価格:244万5300円 試乗記

新型は後輪モーター出力を旧型比で約15倍パワフル化!

 オーラが登場し、新型ノート・シリーズのラインアップが華やかになった。今回は3月にデリバリーがスタートしたeパワーの4WD仕様、X・FPURを紹介しよう。
 新型もプロペラシャフトを持たず、リアモーターで後輪を駆動する電動4WDだ。ただし新型はリアモーターの出力と役割が旧型とは異なる。従来モデルのリアモーターは3.5kW/15Nmだった。対して、新型は50kW(68ps)/100Nm。出力は約15倍である。旧型の4WD駆動は発進時のみ。通常走行はFFという「簡易」4WDだった。新型は最高速までカバーする「正真正銘」の4WDになった。

 発電用の直列3気筒1.2リッターエンジン(60kW=82ps/103Nm)、フロントモーター(85kW=116ps/280Nm)、リチウムイオンバッテリーなどはFFモデルと同じ。新型はパワフルなリアモーターを緻密に制御し、独自の走りを追求したオールラウンダーである。

 見た目の違いはごくわずか。リアのエンブレム、縦置きから横置きに変更されたマフラー、わずかに引き上げられた最低地上高(120から125mmに)程度。インテリアはメーター細部のみと、間違い探しレベルだ。乗るとどうか?

新型はすべての路面で走行性能をアップ X・FOURのブレーキング時の安定した姿勢は印象的
新型はすべての路面で走行性能をアップ X・FOURのブレーキング時の安定した姿勢は印象的
外観上4WDの識別点はエンブレム程度 最低地上高は125mmの設定
外観上4WDの識別点はエンブレム程度 最低地上高は125mmの設定

圧倒的なフラット感と安定性。とくに減速時の挙動は絶品!

 動力性能は体感的に「FFよりちょっぴり力強いかな」といいう水準。ただし4WDによるトラクションのよさはもちろん、加速時の姿勢がフラットに保たれるので安定感の高さはすぐにわかる。
 驚いたのは減速時だ。普通はブレーキを踏むとクルマは前のめりの姿勢になるが、X・FOURは基本的にはフラットな姿勢のまま減速する。この感覚、ブレーキング時に荷重が前に移動してもリア荷重が抜けにくいRRレイアウトのポルシェ911とソックリ。X・FOURは回生ブレーキを高度に制御して911と同感覚の挙動を実現したという。

 フットワークは車両重量(FF比120kg増)を活かしたしっとりとした動きのサスペンションにより、重厚感のある乗り味だ。ハンドリングはFF比でステアリング舵角が明らかに少なく、4輪で舵を切っている感覚とエコタイヤとは思えない高い接地性が印象的。アンダーステア知らずのオンザレールの走りを実現した。新プラットフォームの高い基本性能に加えて、モーターならではの緻密な駆動力制御が4本のタイヤの能力を十二分に引き出している。

 X・FOURは雪道などでの利便性だけでなく、オンロードでの走りも大幅にレベルアップしている。FFとは違う魅力を備えた1台だ。個人的にはeパワー+4WDの魅力をいっそう鮮明にしたモデル展開(たとえばクロスオーバーSUVなど)も期待したい。

インパネはFF仕様と共通 メーターとセンターパネルを一体化した造形 プロパイロットはナビなどとセットop(42万200円) 操縦性は高水準 オンザレールの安定感が魅力
インパネはFF仕様と共通 メーターとセンターパネルを一体化した造形 プロパイロットはナビなどとセットop(42万200円) 操縦性は高水準 オンザレールの安定感が魅力
本革シート(セットop33万5500円)はドレープパターンの上質設計 乗り心地はFF車よりも全域でフラットな印象
本革シート(セットop33万5500円)はドレープパターンの上質設計 乗り心地はFF車よりも全域でフラットな印象
メーターはバイザーレスのフル液晶 左側に各種情報を表示
メーターはバイザーレスのフル液晶 左側に各種情報を表示
走行セレクターはモダンな造形 操作性良好 駐車ブレーキは電動式
走行セレクターはモダンな造形 操作性良好 駐車ブレーキは電動式
走行モードはノーマル/エコ/スポーツの3種 コンソールに切り替えを配置
走行モードはノーマル/エコ/スポーツの3種 コンソールに切り替えを配置
プロパイロット(全車速対応ACC)の制御は的確&スムーズ
プロパイロット(全車速対応ACC)の制御は的確&スムーズ
ニッサンコネクトナビは高機能 アラウンドビューモニターはセットop
ニッサンコネクトナビは高機能 アラウンドビューモニターはセットop
液晶インテリジェントルームミラーはop ワイドな視界を提供
液晶インテリジェントルームミラーはop ワイドな視界を提供
スマホのワイヤレス充電スペースはセレクター前方に設定
スマホのワイヤレス充電スペースはセレクター前方に設定
1198cc直3DOHC12V(82ps/103Nm)は発電用 駆動用モーターはフロント(116ps/280Nm)/リア(68ps/100Nm)の組み合わせ
1198cc直3DOHC12V(82ps/103Nm)は発電用 駆動用モーターはフロント(116ps/280Nm)/リア(68ps/100Nm)の組み合わせ
ヘッドライトはハロゲン標準 写真の4連プロジェクターLEDはopアイテム
ヘッドライトはハロゲン標準 写真の4連プロジェクターLEDはopアイテム
タイヤは185/60R16サイズ 2トーン切削アルミはセットop(33万5500円)
タイヤは185/60R16サイズ 2トーン切削アルミはセットop(33万5500円)

日産ノートX・FOUR 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=X・FOUR
価格=244万5300円
全長×全幅×全高=4045×1695×1490mm
ホイールベース=2580mm
トレッド=フロント:1490×リア:1535mm
車重=1340kg
エンジン=1198cc直3DOHC12V(レギュラー仕様)
最高出力=60kW(82ps)/6000rpm
最大トルク=103Nm(10.5kgm)/4800rpm
モーター=交流同期電動機(フロントEM47/リアMM48型)
最高出力=フロント85kW(116ps)/2900~10341rpm/リア50kW(68ps)/4775~10024rpm
最大トルク=フロント:280Nm(28.6kgm)/0~2900rpm/リア100Nm(10.2kgm)/0~4775rpm
WLTCモード燃費=23.8km/リッター(燃料タンク容量36リッター)
(市街地/郊外/高速道路=23.1/25.8/22.9km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=185/60R16+スチール
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=4.9m
主な燃費改善対策:ハイブリッド/アイドリングストップ/可変バルブタイミング/ミラーサイクル/電動パワーステアリング
主要装備:ヒルスタートアシスト/インテリジェントエマージェンシーブレーキ/標識検知機能(進入禁止、最高速度、一時停止)/車線逸脱警報/ふらつき警報/踏み間違い衝突防止アシスト/前後ソナー/インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)/フロントIRカット&スーパーUVカット断熱グリーンガラス/プライバシーガラス(リア3面)/ハイビームアシスト/インテリジェントオートライト/電制シフト/プッシュパワースターター/e-POWERモードスイッチ/EVモード/インテリジェントキー/オートAC/6対4分割リクライニングリアシート/イモビライザー/前席エアバッグ/運転席ニーエアバッグ/前席サイドエアバッグ&カーテンエアバッグ/スチールホイール+フルカバー
装着メーカーop:プロパイロット&日産コネクトナビ(ナビリンク機能付きプロパイロット+SOSコール付きプロパイロット緊急停止支援システム+ステアリングスイッチ+日産コネクト専用車載通信ユニット+移動物検知機能付きインテリジェントアラウンドビューモニター+インテリジェントルームミラー+後側方衝突防止&車両検知警報+USB電源ソケット+ワイヤレス充電器ほか)42万200円/本革シート+16インチアルミ+LEDヘッド&フォグランプ+本革巻きステアリング+ピアノブラック調フィニッシャー+リアセンターアムレスト33万5500円/クリアビューパッケージ(ワイパーデアイサー+リアLEDフォグランプ)2万2000円
ボディカラー:オリーブグリーン
※価格はすべて消費税込み

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