ホンダ・シビック・タイプR 価格▷499万7300円 試乗記
スタイルはレーシングイメージ満点。乗る前からワクワクする!
乗る前からこれほどワクワクした国産車は久しぶりだ!!
タイプRを眺めると、その勇壮な出で立ちにレーシングムードが一気に高まる。ボリューム満点のグラマラスなスタイリングは、265/30ZR19のファットなタイヤを収めるためだ。
過去のFWDモデルでこれほどワイドなタイヤを標準装着した例はない。それはミシュランも同様で、タイプR専用開発タイヤになる。果たしてそこから生まれるグリップ力、運動性から、どんなコーナリング特性を示すのか期待に胸が高鳴る。
タイプRは、走りを極めた存在だ。外観は前述のように265タイヤの装着のために片側だけで40㎜拡大したブリスターフェンダーに圧倒される。もちろんフロント、サイド、リアは上下のスポイラー(ディフューザー)で武装され、超高速域での整流とダウンフォースによって空力バランスを整える。
イメージスケッチがそのまま具現化されたスタイル。メーカー純正でここまで迫力と美しさをクールにまとめた1台も珍しい。造形へのこだわりはタイプRだからこそ。
カーペットとバケットシートの赤に興奮を覚えつつ乗り込む。ステアリングの位置を調整してポジションを合わせて、クラッチを踏み込む。短いストロークだが、動きは軽く極めてスムーズな6速MTのシフトレバーを左上の1速へ。古典的な3ペダルのクラッチをそろりとリリースすると、絶妙なエンジン回転制御で難なく走り始めた。
2リッターターボはさすがホンダ作品。操縦性も絶品
前輪を駆動する4気筒2リッターターボは世界最強クラスの330ps/420Nmを誇る。踏めば瞬時に7000rpmに達するレーシーな味わい。だがフレキシビリティも抜群だ。低回転から粘り強く渋滞はもちろん、街乗りの流れを平然とリードする。扱いやすい特性だが、アクセルの踏み始めは過敏な領域もある。
通常走行でもシフトダウン時はレブマッチが自動制御。1速まで完璧な回転合わせをする。まるでプロが操作したかのようにだ。だから、制御をOFFにしない限り運転技術は上達しない!?
大注目のハンドリングは、オーバークオリティといえるほど。265サイズの4輪が路面を捕える圧倒的な接地感に頬が緩む。ステアリング切ったときのダイレクトな応答と旋回速度の高さはロードカーの域を超えて、サーキット専用車の感覚に近い。
首都高速の箱庭でも高い実力は感じられるが真髄を発揮するのは、峠道をある程度のペースで駆け抜けたとき。ドライバーがココと思いステア操作すると、意図した以上に!? 曲がる感覚でコーナーに吸い込まれる。これをロードカーで感じられるところが新鮮だ。
生まれ故郷のひとつ、鈴鹿サーキットではまさに水を得た魚。FWDスポーツらしく舵角の方向に強引に引っ張って行く。
EV化が叫ばれ、ホンダももちろんその方向に向いている。一方で、エンジン車の魅力をとことん追求したタイプRをいま世に放つところもホンダらしい。
ホンダ・シビック・タイプR主要諸元
グレード=タイプR
価格=499万7300円
全長×全幅×全高=4595×1890×1405mm
ホイールベース=2735mm
トレッド=フロント:1625/リア:1615mm
車重=1430kg
エンジン=1995cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=243kW(330ps)/6500rpm
最大トルク=420Nm(42.8kgm)/2600〜4000rpm
WLTCモード燃費=12.5km/リッター(燃料タンク容量47リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:8.6/13.1/15.0 km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=265/30ZR19+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=4名
最小回転半径=5.9m
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