現存するアストンマーティン最古のモデル「A3」の誕生100周年を記念したヴァンテージ・ロードスターの特注モデルが登場

パーソナライゼーション・サービス部門の「Q」が手がけたアストンマーティン・ヴァンテージ・ロードスターのスペシャルモデル「Q by アストンマーティン・ヴァンテージ・ロードスター」がデビュー。生産台数はわずか3台

　英国アストンマーティンは2021年6月24日（現地時間）、ヴァンテージ・ロードスター（Vantage Roadster）の特別仕様車「Q by アストンマーティン・ヴァンテージ・ロードスター（Q by Aston Martin Vantage Roadster）」を設定し、3台限定で製作すると発表した。

　今回の特別仕様車は、現存するアストンマーティン最古のモデル「A3」の誕生100周年を記念したトリビュートエディションで、通常モデルのヴァンテージ・ロードスターをベースに、パーソナライゼーション・サービス部門の「Q」が、A3をオマージュして内外装に特別な仕立てを施したことが特徴である。なお、同車は老舗ディーラーのアストンマーティンHWMのオーダーによって製作される特注のビスポークモデルに位置している。

　現存するA3は、アストンマーティンが量産を開始する前に製作した5台のプロトタイプカーの3番目のモデルで、アストンマーティン共同創業者であるライオネル・マーティンが使用していた。スリムなレーシングボディには、最高出力11hpを発生する1.5リットル4気筒サイドバルブエンジンを搭載。1922年に開催された「Essex Motor Club Kop Hill Climb」レースで優勝したほか、ライトカー・カテゴリーにおけるいくつかのスピード記録を達成する。なかでも、1923年にブルックランド・サーキットにおいて84.5mph（約136km/h）の速度を記録したことは、当時大きな話題を集めた。
　このA3は後に社外に流出していたが、2002年に行われたオークションに出品され、アストンマーティン・ヘリテージ・トラスト（AMHT）が多額の資金を投じて落札。そして、戦前のアストンマーティンのレストアを手がけるスペシャリストのエキュリー・ベルテッリによってオリジナルにできる限り忠実に復元され、現在に至っている。

　Q by アストンマーティン・ヴァンテージ・ロードスターにおけるA3へのオマージュは、内外装の随所で表現されている。まずエクステリアでは、光沢アルミニウム・サラウンドとブラックのスクエアメッシュを備えたフロントグリルに、アストンマーティンのヘリテージバッジを配して印象的なマスクを創出したことがトピック。また、サイドフェンダーパネルには、A3の露出したアルミニウム・ボンネットとそれを固定したボンネット・ストラップからヒントを得た、特別なサドルレザー・ストラップを配備する。さらに、パネル面は前述のエキュリー・ベルテッリの手によって丹念に磨き上げられ、オリジナルのA3に装着されていた“NO_3”のロゴを刻印した。そして、A3に数多く採用していたブロンズのアイテムを再現するために、ブロンズ塗装のブレーキキャリパーを特別装備。合わせて、専用のグロスブラック仕上げ20インチ軽量鍛造ホイールも装着した。

　インテリアに関しては、マイクロパフォレーテッド仕上げの縦溝シートやリア収納スペースに刺繍された伝統的なAston Martinスクリプト（1921年にアストンマーティンが使用していたものと同じスクリプト）などを特別装備。また、オブシディアン・ブラックの内装には、チェストナット・タン・レザーのアクセントとチェストナット・タンのコントラストステッチを施す。さらに、A3の内装の特徴である真鍮パーツからヒントを得たアイテムとして、特別仕様のロータリースイッチを採用。これらは、特別に真鍮から鋳造され、当時の雰囲気を再現した。センターコンソールに配したエンボス加工のヘリテージAston Martin ロゴやAMHTおよびアストンマーティンHWMのロゴを刻んだ専用プレートなども、所有欲をそそる演出である。

　パワーユニットはベースモデルと共通で、3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボエンジンをフロントミッドにマウント。トランスミッションにはZF製8速オートマチックギアボックスを組み合わせている。