【最新モデル試乗】RXは全身「いいもの感」が漂うレクサスの世界標準。500hの走りに惚れた!

レクサスRX 価格▷664万〜900万円 試乗記

レクサスRX500h・Fスポーツ・パフォーマンス 価格:6SAT 900万円。500hは2.4リッター直4ターボ(275ps)と前後モーター(フロント87ps/リア103ps)の組み合わせ。無類にパワフルでレスポンス良好。エンジンはV8に似た快音を奏でる。WLTCモード燃費は14.4km/リッター

レクサスRX500h・Fスポーツ・パフォーマンス 価格:6SAT 900万円。500hは2.4リッター直4ターボ(275ps)と前後モーター(フロント87ps/リア103ps)の組み合わせ。無類にパワフルでレスポンス良好。エンジンはV8に似た快音を奏でる。WLTCモード燃費は14.4km/リッター

RXはレクサス躍進の立役者。商品力は圧倒的

 レクサスは、事実上「唯一の存在」と紹介できるジャパン・プレミアムである。
 ブランド誕生は1989年(日本展開は2005年)。現在は世界中で、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなど、長い歴史を誇る欧州メーカーのライバルと認知されている。しかし、発足当初はそれなりの苦労があった。アメリカでは初代LS(1989年)が、圧倒的な静粛性と日本の「おもてなし」を採り入れたサービス体制で成功。新たな参入者に対しても門戸を開く風土がプラスに作用し、早い段階でブランドイメージを確立した。しかし、歴史や伝統を大切にする欧州市場では、なかなか浸透しなかった。

 欧州でのレクサス浸透の立役者はRXだった。1998年に登場した1stモデルは、プレミアムSUVという斬新なコンセプトと、そのスタイリングが彼の地の人々の琴線に触れた。

 RXは累計販売台数が365万台に達するレクサスの最量販モデル。レクサス自身が「ブランド全体のコアモデル」と表現する重要なモデルに成長した。RXの歴史は、レクサスのサクセスストーリーとオーバーラップする。

RX真正面

RXリア

新型はグローバルモデルの性格を一段と強調。500hの走りは圧巻!

 新型は数えて5代目の全面刷新モデル。日本での発売は2022年11月だが、その前にカナダ工場での生産開始が報じられるなど、販売の軸足はグローバル、とくに北米市場である。
 ボディサイズは全長×全幅×全高4890×1920×1700〜1705mm。4.9mに迫る全長や旧型比で25mmワイド化され1.9mをオーバーする全幅は、日本で使うには「ちょっと過大」。これも海外マーケットを主軸に据えたことの影響といえそうだ。

 当初のラインアップはハイパワーHVの500hを筆頭に、プラグインHVの450h+、純エンジンとなる350の基本3モデル構成。日本市場で販売主力と目される標準HVは、当面未設定だ。

 試乗車は、ターボ付き2.4リッターエンジンと6速ATを用いた新たなハイブリッド・システムを採用し、後輪を「eアクスル」で駆動する4WDの500h。18.1kWh容量のバッテリーを搭載して86㎞というプラグインレンジを発表する4WDのPHEV、450h+。そしてシリーズ中で唯一のFWD仕様も設定するターボ付き2.4リッターユニットを8速ATと組み合わせて搭載する350の3台。つまり、現在のラインアップのすべての心臓を味わった。

 全車のエンジンが4気筒という点は、これまでの4世代にはない特徴。従来はV6エンジンが設定され、それがプレミアムSUVの基準とされてきたことを思うと、時代の流れを感じる。

350 01

350 02

 350はバージョンLのFWD仕様に試乗。物理スイッチが削減され、ダッシュボード周辺がスッキリしているのは昨今のプレミアム車に共通する味わい。そうした中にあっても最新RXは操作性が光る。操作を行うためのアイコンが大きく、しかもディスプレイ上に常駐表示されるのは好印象。一方、ステアリングスイッチの操作説明が、意図せず手が触れただけでたびたびメーター内に表示される点は閉口した。

450 01

450 02

 走りは上質。350でも日常シーンには十二分な動力性能の持ち主だし、2.5リッターユニットと前後ツインモーターを備えたPHEVの450h+の電動車ならではの振る舞いは魅力的。いずれもRXに期待される洗練と、スムーズさが大いに楽しめた。

500 01

500 02

 新型の走りの主役はやはり500hである。500hは、アクセルワークに対してつねに加速のつながり感がよく、0→100km/h加速が6.2秒というデータが示すように絶対的といっていいほど速い。従来のハイブリッドのイメージを覆すスポーティさが大いに印象的だ。しかも不自然でない範囲でV8エンジンを彷彿させるようなサウンドが耳に届く。巧みな制御によってバランスのいい走りを提供してくれた。

 21インチと巨大なシューズは、路面状況によっては時にやや重々しく、好ましくない「存在感」を主張するシーンもあった。だが、さまざまな電子デバイスを備えながら、ドライバーにそれを意識させないのは見事。最新技術が「黒子」に徹しながら、フットワークをバランスよく仕立てていた点は素晴らしい。
 シリーズ中で500hだけはリア操舵ステアリングを採用。最小回転半径が5.5mに留まっているのも、大柄なボディだからこそうれしく思えたポイントである。

 新型は、大柄なボディを生かして抑揚に富み、存在感の高いスタイリングを創造。見ても乗っても誰もが即座に「いいモノ感」「が味わえる。完成度は歴代トップ。しかも500hを筆頭に魅力的な走りを実現した。グローバルでのブランド・コアモデルという位置づけをさらに確固たるものにする1台である。

500インパネ

500シート

レクサスRX主要諸元

500真横

グレード=500h・Fスポーツ・パフォーマンス
価格=6SAT 900万円
全長×全幅×全高=4890×1920×1700mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1650/リア:1675mm
車重=2100kg
エンジン=2393cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=200kW(272ps)/6000rpm
最大トルク=460Nm(46.9kgm)/2000〜3000rpm
モーター最高出力=フロント:64kW(87ps)/リア:76kW(103ps)
モーター最大トルク=フロント:292Nm(29.8kgm)/リア:169Nm(17.2kgm)
WLTCモード燃費=14.4km/リッター(燃料タンク容量65リッター)
(市街地/郊外/高速道路:11.8/14.3/15.8km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/50R21+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m

フォトギャラリー

SNSでフォローする