トヨタ自動車は5月17日、日本仕様としては第3世代、海外モデルでは第5世代となる新型スープラを発売した。
車種展開
3リットル直6ターボエンジン搭載
RZ(690万円)
2リットル直4ターボエンジン搭載
SZ-R(590万円)
SZ(490万円)
以上の3タイプを設定。生産は基本プラットフォームおよびパワートレインを共用する第3世代のBMW Z4と同様、マグナ・シュタイヤー社のグラーツ工場(オーストリア)で実施し、海路にて運ばれた後、トヨタ自動車元町工場を経由して日本のユーザーに納車される。
なお、外板色"マットストームグレーメタリック"のRZグレードにおいて、本年度生産分24台の商談申し込みを、5月17日13:00から6月14日までの約1カ月間、Web限定で受け付ける。商談順は、抽選の上、新型スープラが参戦する第47回ニュルブルクリンク24時間耐久レースの決勝当日(6月22日~23日)に発表する予定だ。
▲トヨタ・スープラRZ 価格:8SAT690万円 全長4380×全幅1865×全高1290mm ホイールベース2470mm 車重1520kg 乗車定員2名 写真のボディカラーは造形の持つ力強さを引き立たせる新規開発色のマットストームグレーメタリック
TOYOTA GAZOO Racingが展開するスポーツカーシリーズ「GR」の第1弾グローバルモデルで、かつBMWとの包括提携による初の商品となる新型スープラは、まず車両パッケージとして、ピュアスポーツカーとしての基本素性が徹底追求される。具体的には、卓越したハンドリングや安定したコーナリング姿勢を実現する目的でホイールベース、トレッド、重心高の3要素を最重要ファクターとして捉え、ホイールベースは2シーターに割り切ることで86よりも100mm短い2470mmを実現。また、ホイールベースとトレッドの比は他の量産スポーツカーと比較してもトップレベルに小さい1.55を達成し、優れた回頭性に寄与させる。さらに、重心高は水平対向エンジンを搭載する86よりもさらに低い数値を成し遂げた。同時に、コーナリング性能にとって重要な要素の1つである前後重量バランスについても、理想とされる50:50の配分を実現する。
▲ホイールベースは2シーターに割り切ることで86よりも100mm短い2470mmを実現 またホイールベースとトレッドの比は他の量産スポーツカーと比べてトップレベルに小さい1.55を達成した
エクステリアについては、スポーツカーとしてのパッケージ・レイアウトの特徴を十分に活かしたデザインで構築する。造形コンセプトは「Condensed Extreme L6 FR "TOYOTA" Sports」(Condensedは"凝縮された"、Extremeは"過激な"の意)。直6FRロングノーズ・ショートキャビンシルエットを基本に、サイドビューはショートホイールベースと大径タイヤによりタイヤの存在感を強調。また、2シーターらしいタイトなキャビンとワイドトレッドからなるスーパーワイドスタンスでスポーティ性を主張する。一方、理想的な位置に配されたエンジンを内包するボディの凝縮感ある基本立体は、エアロダイナミクスの中でもリフト(揚力)の発生を抑えることに特化した形状にデザインし、フロントとリアの空力バランス、重量バランスともにスポーツカーとしての最適特性を具現化した。さらに、空気抵抗低減に寄与するダブルバブルルーフの採用、ヘッドランプの位置を車両内側に寄せることでフェンダーのボリュームを豊かに見せ、凝縮したボディデザインとする手法など、2000GTや先代スープラ等からのTOYOTAスポーツヘリテージを継承している。外装色に関しては、スポーティで鮮やかなライトニングイエロー、造形の持つ力強さを引き立たせる新規開発色のマットストームグレーメタリックといったオプション設定色2色を含む全8色を設定した。
▲インパネ形状はハイスピード時の見晴らし性や車両の姿勢変化のつかみやすさを考慮した上下に薄く水平に軸の通ったデザインで構成する
インテリアについても、スポーツカーとしての特性を徹底追求してアレンジする。インパネ形状は、ハイスピード時の見晴らし性や車両の姿勢変化のつかみやすさを考慮した、上下に薄く水平に軸の通ったデザインで構成。また、ドライバー正面に集中配置された、スポーツドライブに必要な視認・操作系のエレメント(メーター、ヘッドアップディスプレイ、パドルスイッチ、ステアリングスイッチ等)をタイトに包括し、この流れをドアトリムやコンソールのニーパッドまで繋げることで、ドライバーをコンパクトに包み込む新しいコクピット様式を実現した。さらに、タコメーターやシフトインジケーターなどスポーツ走行時に必要な情報をセンターに集約し、小径ステアリング越しに自然にフォーカスできるメーターレイアウト(8.8インチ高精細カラーモニター)を採用。シートには、腰部を中心に身体を確実に保持するホールド性にこだわったハイバックタイプを装備する。内装色に関しては、スポーティで上質な赤色でドライバーを囲って新しいコクピット様式を強調するイグニッションレッドと、素材感のコントラストで引き締まった空間を演出するブラックの2タイプを設定した。
▲旗艦エンジンのB58型2997㏄直6DOHCツインスクロールターボ 最大トルクの500N・m(51.0kg・m)を1600rpmという低回転で発生する
メカニズムについてもトピックが目白押しだ。ボディに関しては、太くストレートに通した骨格をベースに、アルミニウムと鉄を適材適所に用いた骨格構造や異なる素材同士の接合強度を追求したことで、86の約2.5倍にもなる高い剛性を実現。懸架機構には、バネ下重量の低減や高い組み付け剛性、精微な車両コントロールを追求して新設計した前マクファーソンストラット/後マルチリンク式サスペンションをセットし、一部グレードにはアダプティブバリアブルサスペンションシステム(AVS)を設定する。搭載エンジンには、歴代スープラのアイデンティティであるストレート6レイアウトを継承したB58型2997㏄直6DOHCツインスクロールターボ(340ps/51.0kg・m)と、スポーティドライブを気軽に楽しめる2種類のB48型1998㏄直4DOHCツインスクロールターボ(SZ-R用が258ps/40.8kg・m、SZ用が197ps/32.6kg・m)をラインアップ。トランスミッションには、8速スポーツシーケンシャルシフトマチック(8速スポーツAT)を組み合わせた。また、コーナー進入時は回頭性と安定性を高バランスさせたロック率を選択し、アクセルを踏み込んでコーナーを脱出する際はロック率を高めて最大限のトラクション性能を発揮するアクティブディファレンシャルも設定。制動機構には、軽量ブレーキディスクおよび軽量アルミキャリパーを採用してバネ下重量を低減した前後ベンチレーテッドディスクを組み込む(RZにはレッド塗装の前ブレンボ製4ポッド対向ブレーキキャリパー/大径ベンチレーテッドブレーキディスク/大容量ブレーキパッドを装備)。また、タイヤはRZに前255/35ZR19+後275/35ZR19、SZ-Rに前255/40ZR18+後275/40ZR18サイズのミシュランPILOT SUPER SPORTを、SZに前225/50R17+後255/45R17サイズのランフラットタイヤを装着した。
▲トヨタ・スープラSZ-R 価格:8SAT590万円 全長4380×全幅1865×全高1295mm ホイールベース2470mm 車重1450kg 搭載エンジンは258ps/40.8kg・mを発生するB48型1998㏄直4DOHCツインスクロールターボ
先進の予防安全技術とコネクティッドサービスの採用についても抜かりはない。予防安全技術では、昼間の歩行者に加え自転車の運転者を検知して衝突回避支援または被害低減を図るプリクラッシュセーフティ(ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)、隣車線の死角を走る車両を検知するブラインドスポットモニター、前方車両の追従走行を支援するレーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、車線を逸脱しそうな際にステアリング操作をアシストするレーンディパーチャーアラートなどを全車に標準装備。また、車載通信機DCM を全車に標準搭載し、スープラ専用のコネクティッドサービス「Toyota Supra Connect」を提供する。さらに、GAZOO Racingのテクノロジーをフィードバックした車両情報記録装置の「TOYOTA GAZOO Racing Recorder」を販売店装着オプションで用意した。