フォルクスワーゲンが米国ラスベガスで開催されたCES2023でデジタルカモフラージュを施した新型EVセダン「ID.7」のプロトタイプを初披露。量産モデルのワールドプレミアは2023年第2四半期を予定
フォルクスワーゲン グループ オブ アメリカは2023年1月4日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで1月5日~8日に開催された家電エレクトロニクスショー「CES2023」に出展する新型EVセダン「ID.7」のプロトタイプを初公開した。
フォルクスワーゲンはEV専用プラットフォームのMEB(モジュラー エレクトリックドライブ マトリックス)を採用した電気自動車を、ID.シリーズとしてラインアップ。すでにCセグメントのハッチバックのID.3や、CセグメントのクロスオーバーSUVモデルのID.4、クーペSUVのID.5、DセグメントSUVのID.6、ミニバンのID.Buzzをリリースしている。今回公開されたID.7はシリーズの第6弾となるブランド初のBEVセダンで、セグメントとしてはアッパーミドルクラスに位置。また、市販時にはID.シリーズのフラッグシップモデルになるという。
フォルクスワーゲンとしては6年ぶりの出展となるCESで公開されたID.7プロトタイプは、エレクトロルミネセンス技術によりスマートな光のエフェクトを生み出すデジタルカモフラージュを纏って披露される。導電性の塗膜と絶縁性の塗膜を含む40層からなるペイントは、車両の計22の領域で個別に制御でき、塗装の最上位の層より下層(エレクトロルミネセンス)では電気が供給されて発光。サウンドシステムと連動させれば、個々のエリアをリズムに合わせて光らせることができる。また、フードと両サイドには二次元バーコードを配し、物理世界とデジタル世界の間のインターフェイスを提供する仕組みとした。
スタイリング自体は、ID.ファミリーのデザインランゲージを踏襲するとともに、エネルギー消費の削減と航続距離の延長に貢献するフロントセクションやルーフを採用して、エアロダイナミックなセダンフォルムを構築する。フロントエンドに配置されたエアインテークは流れる空気を車両の側面から後方へと導き、整流効果をアップ。また、後方に向かって傾斜していくルーフは、空気抵抗の削減に寄与する。ショートオーバーハングやロングホイールベース(2970mm)によって、走行時の操安性を高めたことも特徴だ。
インテリアに関しては、前述のロングホイールベース化により広い居住空間を確保したうえで、新しいディスプレイコンセプトやAR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイ、15インチ(38センチ)の大型スクリーン、イルミネーテッドタッチスライダーといった先進アイテムを導入する。また、インテリジェントベントを備えた新しい空調コンセプトを採用。キーに基づいてドライバーが近づいていることを検出し、ドライバーが車両に乗り込む前に夏の暑い日には車内を冷やし始め、寒い日には車内を暖める。さらに、ダイナミックかつ広範囲に動いてできるだけ早く室内の空気を制御する新設計の「Smart Air Vents」を設定。車内に乗客がいる際は空気を直接体に向けたり、間接的に車内を換気したりする。これらの機能は新しい大型ディスプレイでいつでも確認でき、ユーザーごとに個別に保存することも可能だ。ほかにも、音声コマンドを使用して特別なリクエストを有効にすることができ、例えばユーザーが「ハロー、フォルクスワーゲン、手が冷たい!」と発するとステアリングヒーター機能が作動して、同時に暖かい空気が手に向けられる機能を組み込んでいる。
電動パワートレインの詳細については現時点では未発表だが、空力設計コンセプトを体現した結果、航続距離はWLTPモードで最大700kmを実現するとのこと。フラッグシップモデルだけに、先進安全運転システムに関しても最新機能の採用が予想される。
なお、ID.7の量産モデルは2023年第2四半期にワールドプレミアを果たす予定で、ID.4に続くグローバルモデルEVとして欧州、北米、中国に投入される計画。日本への導入も検討されている。