ルノー・カングー・リミテッド・ディーゼルMT 価格:6MT 282万円 試乗記
多くのユーザーに親しまれているルノーのハイトワゴン、カングーは、フランスでは新型を発表済み。日本では現行型としては最後の限定車、リミテッド・ディーゼルMTが発売された。ラストモデルは、これまでのカングーとは大きく異なる点がある。モデル初のディーゼルエンジン搭載車なのだ。
リミテッド用1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボは、欧州仕様用ユニットをベースに、日本の排出ガス規制に適合するよう改良が施された。最高出力116ps、最大トルク260Nmを発生する。既存のガソリン車(1.2リッターターボ/115ps、190Nm)比で出力はほぼ同等、トルクは70Nmも太い。トランスミッションは6速MTだ。
外観はブラック仕立てのバンパーとスチールホイールに加え、LEDデイタイムランプ、リミテッドのエンブレムを特別装備。シンプルで使いやすいインテリアはこれまでどおりだ。ちなみにディーゼルのMT仕様は、フランスで最もポピュラーなカングーである。ちょっぴり「お仕事グルマ」イメージの外観を含め、ファンには魅力たっぷりのモデルといえる。
静粛性は上々。ボクは現行型がデビューした直後に、欧州でディーゼルのMT仕様に乗った経験がある。そのときと比べるとかなり静かになった。走り出してしまえば、ディーゼル特有の音はほとんど聞こえない。
アイドリング付近のトルクが細いので、発進はややエンジン回転を上げぎみにしてクラッチをつないだほうがベター。その後はディーゼルらしい粘り強さが味わえる。2000rpmあたりでターボが効いてからは、ガソリン車とは別次元の太いトルクでぐいぐい加速していく。車両重量はガソリンMTより90kg重いが、まったくその差を感じない。
4000rpmを超えるとディーゼル音が気になってくるものの、通常はそこまで回す必要はない。早めの変速で速度を上乗せしていくドライビングが楽しい。燃費も優秀。優しく走れば19.0km/リッターというカタログ燃費に近い数値をマークすることも可能だろう。
フットワークは相変わらず素晴らしい。車高が高いのに「重心の低さ」を感じる独特のフィーリングだ。ワインディングロードは得意。山道を走る機会が、むしろ楽しみになる。
もちろん定評の乗り心地も受け継がれており、優しい座り心地のシートの効果もあって、リラックスして距離を重ねることができる。その乗り味に、ディーゼルエンジンのゆったりしたリズム感がベストマッチする。
現行カングーのモデルライフの最後に用意された、最高のプレゼントのように映った。
グレード=リミテッド・ディーゼルMT(限定400台)
価格=6MT 282万円
全長×全幅×全高=4280×1830×1810m
ホイールベース=2700mm
トレッド=フロント:1525×リア:1510
車重=1520kg
エンジン=1460cc直4OHCディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=85kW(116ps)/3750rpm
最大トルク=260Nm(26.5kgm)/2000rpm
WLTCモード燃費=19.0km/リッター(燃料タンク容量60リッター)
(市街地/郊外/高速道路=16.9/19.1/20.0km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トレーリングアーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=195/65R15+スチール
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
主な燃費改善対策=未公表
専用装備:前後ブラックバンパー+ブラックドアミラー/ブラックホイールセンターキャップ&ブラックボルトカバー/専用バッジ/LEDデイタイムランプ/バックソナー
主要装備:エクステンデッドグリップ/6エアバッグ/ESC/ECOモード/クルーズコントロール/ヒルスタートアシスト/オートライト&雨滴感応式ワイパー/ハロゲンヘッドライト/前後フォグランプ/サイドプロテクションモール/電動格納式ヒーター付きドアミラー/UVカットガラス/プライバシーガラス/ファブリックシート/可倒式助手席/6対4分割可倒式リアシート/本革巻きステアリング/防塵フィルター付きオートAC/4スピーカー/3連式オーバーヘッドボックス/トノボード/シートバックテーブル
ボディカラー:ブルーエトワールメタリック
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万7200円