物心がついたときから日本車といえばフェアレディZかスカイラインGTだった。最初に買った日産車がスカイラインGTS(R31)だったので、Zよりもスカイラインに数では親しんだ。なかでもR32からR34まで第2世代のGT-Rをこよなく愛した。GT-RはR35を含め都合5台を所有している。
R35はスカイラインとは名乗ってくれなかったけれど、R35に採用されたプレミアムミッドシップパッケージがV6エンジンを初めて積んだV35スカイライン用FMパッケージの進化版(水野和敏さんコンセプト)であったことを思い出せば、スカイラインとのつながりを維持していたと言っていい。自分にとってR35もまた“スカイライン”の範疇にある。
それゆえR35の国産車離れしたパフォーマンス、それもツルシで因縁のポルシェと対等レベルに立ち向かうことのできるスポーツ性能に感激した。個人的にはそのGT性の高さにも強く惹かれていた。初期型を所有していたが長距離を速く、楽に、気持ちよく駆け抜ける真のGTだったと思う。今では、とくに基準グレードは、そんなGT性をいっそう高めている。
R35はパフォーマンスカー日本代表として、今では“スカイライン時代”をも含め、胸を張って世界のクルマ好きに「日本にはGT-Rがある」、と言えるようになった。これもGT-Rが常に心をときめかせてくれる大きな要因である。グローバル・スーパーカー級のロードカー性能を実現したR35の果たした役割はとてつもなく大きいと思っている。
西川淳(にしかわじゅん)/奈良県生まれ。クルマを歴史、文化面から技術面まで俯瞰して眺めることを理想とする自動車ライター。大学では精密機械工学部を専攻。輸入車やクラシックカーなど趣味の領域が得意ジャンル。AJAJ会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員