取材でGT-Rに乗ると、いつだって心躍る。GT-Rの魅力は、とにかく圧倒的なパフォーマンス。それにつきる。クルマにとって重要な本質である「速さ」をひたすら追求し、それを極めたところに心惹かれる。
GT-Rを買えるだけの経済力はまだないが、それでもこういうクルマが現実として存在すること自体に“夢”がある。そして、GT-Rが日本で生まれたことに誇りを感じる。高性能をウリとする海外の列強にも、性能の部分でひと泡吹かせてきたのだから、痛快極まりない。それでいて内容のわりに価格がべらぼうに高いわけではないところもたいしたものだ。それにしても、いま思えば発売当初の777万円という価格がなんとバーゲンプライスだったことか。
実際にドライブしても、踏んで速いのはもちろんだが、それだけじゃない奥の深さを感じる。そこに演出的なものはない。ただただ性能を磨き上げたというストイックな姿勢に惹かれる。しかも実車はとても刺激的に仕上がっている。他にはないドライビングプレジャーがある。
これほどのクルマは他のメーカーが作ろうと思ってもそうそう作れるものではない。存在も性能もヒストリーも、GT-Rはすべてが素晴らしい。この先もR35は輝き続けるに違いない。日産はなんとかGT-Rをなくさないで欲しい。もちろん次期型にも期待している。
岡本幸一郎(おかもとこういちろう)/1968年、富山県生まれ。幼少期にクルマに目覚め、小学校1年生で街を走るクルマの車名すべて言い当てるほどになる。大学卒業後、自動車専門誌の編集などを経てフリーランスへ。AJAJ会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員