筆者はまさにR32 GT-Rでクルマの姿勢コントロールを磨いた。オーバーステア、アンダーステアも、操作いかんで自在に再現できる懐の深さに、自身の腕が上がったと錯覚。
大パワー/トルクを駆動力としていかにロスせずに路面に伝えられるか、タイヤと路面と速度も関係するが、ドライビングというものの奥深さを教えられた。それなりに身につけた事で”今がある”と思っている。
筆者にとって最も重要なレース活動では、1992年~93年N1耐久シリーズ(現スーパー耐久)が記憶に残っている。ALTIA FALKEN GT-Rを駆り2年連続シリーズチャンピオンを獲得。GT-R同士の戦いから勝ち得た意義深いモノだ。
日本自動車研究所、通称谷田部の1周5.5キロのオーバルコースで、1990年代当時に流行った最高速テストでは334km/hの最高速度記録もR32 GT-Rと共に成し得た。
GT-Rに育てられ慣れているハズの筆者としても、R35の過激な速さ脅威だった、と告白する。
桂伸一(かつらしんいち)/1959年、東京生まれ。現役レーサーでありモータージャーナリスト。ニュル24時間レースには8回出場し、アストンマーチンのワークスドライバーとしてクラス優勝に貢献。AJAJ会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員