日本が世界に誇れるスポーツモデルといえば、現在でも五指に余るモデル名を挙げることができる。けれども、そうした中にあって歴代GT-Rたちは、ちょっとばかり”別格”に値する存在であると感じている。
そんな印象を持つ最大の理由は、GT-Rはそのいずれもが例外なく、「誕生の後にも一切手を緩めることなくりファインが加えられてきた」というこれまでの実績に基づいている。
規模の大小こそ存在するものの、日本のメーカーが送り出すスポーツカーは、量販を前提にしている。その関係だろうか、ひとたび世に提案されたのは良いものの、当初想定した販売台数がクリア出来来ないと判断されると、たちまち「打ち切り」の判断が下された例が珍しくない。
けれどもGT-Rは違う。歴代モデルはつねに改良の策を模索し、実際に後期モデルになるほどに走りの水準が向上してきた。そもそも、世の中でもスポーツモデルに興味を示す人はほんのひと握り。GT-Rはそんなひと握りの人に対して、つねに羨望の気持ちを抱かせる策を知り尽くしているのだ。
「最新のGT-Rこそ最良のGT-R」、このブランドには、まさにそんなフレーズが当てはまる。このモデルならば裏切られることはない。日本車としては稀有な信頼感を持つGT-Rを愛おしくさえ思う。
河村康彦(かわむらやすひこ)/1960年、東京生まれ。工学院大学機械工学科卒業後、自動車専門誌の編集を経てフリーランスへ。CD誌には1980年代から寄稿。卓越したドライビングスキルと技術的な背景を含めた総合的な分析能力には定評がある