ZR-Vは、ホンダのSUVの中でヴェゼルとCR-Vの間を埋める位置づけ。ヴェゼルの拡大版でもなければCR-Vの縮小版でもない、まさにシビックのSUV版らしい性格の持ち主といえる。とはいえシビックとZR-Vでは外見の印象はかなり違う。ZR-Vは、ホンダ車っぽくない印象すらある。ただしインテリアはハニカム柄のダッシュをはじめ共通性は高い。
ZR-Vのボディサイズは全長×全幅×全高4570×1840×1620mm。シビック(同4550×1800×1415mm)より幅と高さがひと回り大きい。サイズとしてはCR-Vに近いものの視覚的には引き締まった印象で、あまり大きさを感じさせない。全体のフォルムがスポーティにまとめられていること、前後席ともあまりアップアイトなポジションとせず、後席も低めに座らせること、さらにドア開口まわりの形状を乗降性を多少犠牲にしても剛性確保を優先したことなど、シビックに通じるテーストでまとめている。
ラゲッジスペースは両車とも広さ十分。ZR-VはSUVとしての使い勝手に考慮してリアシートを倒すとかなりフラットなスペースとなるのがありがたい。
2台はパワートレインも共通性が高い。とくにe:HEVが2.0リッターとされたのは歓迎すべき。おかげでシビックと同じくZ^RVも十分すぎるほどの動力性能と低燃費を実現しており、むしろ低速時のピックアップはシビックをしのぐほど。ヴェゼルの1.5リッターe:HEVとは別物だ。
また、シビックはFFのみだが、ZR-Vには4WDが設定されている。同様のシステムを搭載するホンダの他モデルの印象からすると、かなり高性能であることが期待できる。オンロードでのドライブフィールはFF、4WDともシビックと同じく軽快で小気味のよい走りを楽しめる。その上でFFはより軽快感が際立つ。
価格はシビックに対し、ZR-Vの方が戦略的。装備がほぼ同等のe:HEVの上級グレード比でZR-Vのほうがややリーズナブル。ZR-Vは実質装備のe:HEVモデルも選べる。ZR-Vの正式発売は2023年4月。すでに正式予約がスタートしており、納車まで相当の時間を要するという。ZR-Vが気になる方は、早めにディーラーに出向くことをお勧めする。