ホンダ・シビック 価格:319万~353万9800円 新車ニュース
シビックは1972年の1stモデル登場以来、ほぼ半世紀にわたって「進化と熟成」を重ねてきた。現在、世界10工場で生産、170以上の国と地域で発売されている。累計販売台数は 2700万台以上(2020年時点)、ワールドワイドにおける「ホンダの顔」の1台である。しかし日本では、最近ちょっぴり影が薄くなっていた事実は否めない。
そのシビックが「誕生50年」に向けフルチェンジした。新型は11thモデルになる。すでにセダンは北米市場でお披露目済み。日本仕様は、世界初公開の5ドアハッチバックだ。グレード展開はLXとEXの2タイプ。次の50年に向けてのスタートラインとなる新型を紹介しよう。
開発コンセプトは歴代モデルが継承してきた「親しみやすさ」と、単なる実用モデルとはひと味違う「特別な存在感」の融合である。開発陣は「2020年代における〈一服の清涼剤〉のような存在にしたい」と語る。
エクステリアはキープコンセプト。より伸びやかになったプロポーション、ロー&ワイドを強調したスタンス、シンプルな面構成と各部の造形など、最新ホンダ・デザインのトレンドを踏襲し、シビックらしいスポーティで軽快なスタイルでまとめた。ボディサイズは全長×全幅×全高4550×1800×1415mm。旧型比で全長は30mm長く、全幅は共通、全高は5mm低い。ホイールベースは旧型比35mm長い2735mmである。
インテリアはフィット/ヴェゼルと同様の水平基調。ノイズレスなデザインを採用しつつ、コクピット感覚を高めたセンターコンソールの造形と上質なディテール処理で、シビックらしさを強調した。メーターは液晶式、空調ルーバーはアウトレットメッシュと呼ぶデザインだ。「デザイナー家電」を思わせる「いいモノ感」が漂う。
居住性はワールドカーらしく高水準。外観から想像するとデザイン優先に感じるが、室内に身を落ち着けると広さを実感する。後席のひざ回りは従来比35mm拡大され、ヘッドクリアランスの余裕も十分、広いガラスエリアによる開放感、視界のよさも気持ちいい。
発表時点でのパワートレーンは、1.5リッター直4VTECターボ。スペックは182ps/240Nm。トランスミッションはCVTと6速MTで、CVT車の最大トルクは20Nm向上した。エンジニアは「立ち上がりの応答性やアクセル踏み込み時の追従性、加速の伸び感、音と加速の一体感といったドライバビリティ向上のために各部をアップデートした」と語る。MT/CVTともエンジン特性を活かすために最適化した最新版だ。
2022年には、ハイブリッド(2モーターのe:HEV)を追加予定。関係者は「フィット/ヴェゼルとは異なる、〈シビックらしい〉ハイブリッド」だという。
足回りは前ストラット式、後マルチリンク式の4輪独立。フットワークは旧型を発展させ、「質の高い軽快感」を実現するために、アルミサブフレームを採用。徹底して磨き込んだ。各部のフリクション低減、リアコンプライアンスブッシュの容量拡大など変更個所は多岐にわたる。
ボディは前後環状構造や格子状フレーム配置、アルミ材・高ハイテン材の採用、構造用接着剤の最適使用などを実施し、ねじり剛性は現行比19%アップした。
開発は基本性能を欧州の走行環境で鍛え上げ、地域のニーズや交通事情に合わせた味付けを施した。シビックらしいライントレース性、操舵と挙動の一体感を備えたハンドリング、道を選ばない乗り心地のバランスに期待が高まる。
安全運転支援システムは、ハードの刷新とホンダセンシング・エリート(自動運転レベル3対応)の技術を水平展開した次世代型ホンダセンシングを採用。リアルワールドを意識した、きめ細かい性能進化/機能追加が行われている。
新型で大きく変わったのは「日本でのシビックの扱い」だろう。ハッチバックとしては7thモデル以降、久々の日本生産で複数のグレードを展開する。しかも発表から発売のタイムラグはほぼなく、開発陣の思いも非常に強い。久々に「シビックらしいシビック」が登場した。