トータルバランスが大切。運転の楽しさも忘れない。 ファミリーで使う……という際に大事なのは、ひとつの性能に特化するのではなくトータルバランスに優れていること。ドライバーだけでなく全員が快適に過ごせるフットワークと空間設計、多人数乗車でも力不足を感じさせないパワートレーン、そして充実の快適/安全装備に注目したい。もちろんドライバーが「移動のための運転手」にならないように、ドライビングファンが備わっている要素も重要である。
ハリアーはRAV4の基本コンポーネントを活用し、独自の内外装で仕上げた都会派SUV。「少し背伸びをすれば買える高級車」である。現行モデルは独自の個性を従来以上に明確化した。エクステリアは格上のプレミアムクロスオーバーに負けない美しいクーペスタイル。インテリアは質感や仕立てのよさが光る。居住性はデザイン重視の割り切りもあるが、ユーザーの期待に応えるフル4シータースペースを確保。走りはスムーズさと快適性を重視した味わい。パワートレーンは2リッターガソリンと2.5リッターハイブリッド、駆動方式はFFと4WD、GA-K型プラットフォームを含めメカニズムはRAV4に準じるが、ハリアー独自のセットアップと、各部のアップデートでRAV4とはひと味違う大人っぽいイメージを演出した。豊田章男社長がこだわる「味作り」の成果である。「重厚でしっとり、自然に曲がる」感覚は上質。ハリアーはSUVの皮を被った上級サルーン、「現代版ハイソカー」と呼びたいラグジュアリーカーである。
ヴェゼルは取り回し性に優れたジャストサイズSUV。全長は4330mm。2ndモデルも期待を裏切らない魅力モデル。スタイリッシュなエクステリア、シンプルで機能的な内装、広くて実用的なパッケージが光る。パワートレーンはハイブリッド(e:HEV)中心の設定。フットワークは旧型同様の軽快さを守りながら全方位レベルアップ。いま最もホンダらしい1台。
どこかオシャレな雰囲気が漂うフランス流の多目的乗用車(MPV)。リアドアはスライド式。パワートレーンは実用に徹した1.5リッターディーゼルターボ+8速AT。サスペンションに特別な仕掛けはないが、古きよきフランス車を思わせる優しい乗り味と運転の楽しさが味わえる。2列シート/乗車定員5名だが、没個性化傾向の国産ミニバンに飽きたユーザーにはお勧めだ。
現行マツダ車で唯一の3列シートモデル。3列目はミニバンと比べるとスペース的にやや狭いが、大人でもきちんと座れ、安全性もしっかり確保されている。パワートレーンは豊富にラインアップされるが、お勧めは力強く、経済的な2.2リッターディーゼルターボ(200ps/450Nm)。どの席に座っても快適性が高いので、SUVながらファミリーカーとして十分満足できる。
5位:Mercedes-Benz GLB
GLBは、全長4650mmのボディに3列シートの組み合わせ。日本用に開発したかのような巧みなパッケージのクロスオーバーSUVだ。外観はメルセデスらしい雰囲気。インテリアは開放感たっぷりで広々としている。3列目シートは応急用だがキッズには十分。走りは穏やかな乗り味だ。パワートレーンはガソリン/ディーゼルに加え、ホットなAMGを設定する。