【GR86+BRZ詳細解剖】キーワードは「継承と進化」、新型の進化ポイントと2台の違いをズバリ紹介

2nd・GR86とBRZは完成度を高めた1stモデルをベースに全面刷新 GR86(2021年10月発表/11月発売予定)はRZ/SZ/RC BRZはS/Rでラインアップを構成 GR86のRCはシンプル装備のベース車両
2nd・GR86とBRZは完成度を高めた1stモデルをベースに全面刷新 GR86(2021年10月発表/11月発売予定)はRZ/SZ/RC BRZはS/Rでラインアップを構成 GR86のRCはシンプル装備のベース車両

トヨタGR86+SUBARU BRZ プロフィール紹介

コンセプトは「継承と進化」。エモーショナルな造形に進化

 2ndモデルに進化したGR86/SUBARU・BRZは、従来と同じくトヨタとスバルの共同開発によって生まれた。開発コンセプトは「継承と進化」。9年の熟成によって完成形となった「1stモデルのバランスの良さ」をそのままに、新時代のスポーツカーとして全方位の「性能アップ」が行なわれた。

 スタイリングは力強い。「よりFRらしく」、「よりエモーショナル」な造形に仕上がっている。従来はトラディショナルな印象が強かったが、新型は令和時代のスポーツカーらしい先進性とクーペらしい躍動感がプラスされた。Aピラーからトランクまでのラインやドア周りに旧型の面影が残るが、全般的に新鮮な印象を受ける。

 2台の大きな違いはフロントマスク。GR86はGRブランド共通の「ファンクショナルマトリックスグリル」、BRZはスバル共通の「ヘキサゴングリル」を採用する。
インテリアは、水平基調のインパネと多機能型デジタルメーターを採用。機能性の高さと新世代スポーツらしいデジタルを上手に融合した。質感も高められ「大人のスペシャルティ」としての魅力も増している。デザインは2台共通。細部(カラーコーディネイトや加飾)の仕様違いにより各々のキャラクターをアピールしている。

2387cc水平対向4DOHC16V 235ps/7000rpm 250Nm/3700rpm ボア×ストローク94×86mm 旧型比18ps/38Nmパワフル
2387cc水平対向4DOHC16V 235ps/7000rpm 250Nm/3700rpm ボア×ストローク94×86mm 旧型比18ps/38Nmパワフル
GR86はGRブランド共通の「ファンクショナルマトリックスグリル」 デイタイム灯はL字型デザイン
GR86はGRブランド共通の「ファンクショナルマトリックスグリル」 デイタイム灯はL字型デザイン
BRZは「ヘキサゴングリル」を採用 GR86と比較してラウンディッシュな印象 デイタイム灯はコの字形状
BRZは「ヘキサゴングリル」を採用 GR86と比較してラウンディッシュな印象 デイタイム灯はコの字形状

新型はエンジンを2.4リッターに拡大。各部の設定は2台で異なる!

 2ndモデルで大きく進化したのがエンジンだ。2台はハイパワーを追求したスポーツカーではない。だが「もう少し力が欲しい」と言うユーザーの本音と、厳しさを増す環境/燃費規制への対応から、排気量を2リッターから2.4リッターにアップ。出力/トルクを旧型の207ps/212Nm(MT)から235ps/250Nmに引き上げた。自然吸気を継承したのは、レスポンス/自然なフィーリング/伸び感にこだわった結果だ。トランスミッションは6速MT/6速ATの二本立て。もちろんエンジン出力アップに合わせて最適化されている。

 シャシーもパワートレインの進化に合わせて大きくレベルアップした。基本構造こそ従来型を踏襲しているものの、スバルの次世代プラットフォーム「SGP」で採用された「インナーフレーム構造」と「構造用接着剤」を水平展開。車両重量アップを材料置換(アルミ化、スチールの薄肉化)により抑えながら、剛性を大きく向上した。重心高も従来比で5mm下げられ、低重心に一段と磨きをかけた。

 サスペンションはフロントがストラット、リアはダブルウィッシュボーンの組み合わせ。体幹を鍛えた車体に合わせてセットアップを刷新した。主要グレードのタイヤは従来比1インチアップの17/18インチを履く。17インチ(215/45R17)は旧型から継承されたミシュラン・プライマシーHP、18インチ(215/40R18)は86GR/BRZ・STIスポーツにも採用されたミシュラン・パイロットスポーツ4になる。

GR86・RZ GR86は「スポーツ性能に特化したダイレクトで気持ちのいい走り」を目指して開発 ボディカラーは全7色 写真のスパークレッドはGR86専用 RZはリアフォグ標準
GR86・RZ GR86は「スポーツ性能に特化したダイレクトで気持ちのいい走り」を目指して開発 ボディカラーは全7色 写真のスパークレッドはGR86専用 RZはリアフォグ標準
BRZ・S 価格:6MT 326万7000円/6SAT 343万2000円 BRZは「誰もが楽しめる究極のFRスポーツ」が開発テーマ ボディカラーは全7色 写真のWRブルーはBRZ専用 
BRZ・S 価格:6MT 326万7000円/6SAT 343万2000円 BRZは「誰もが楽しめる究極のFRスポーツ」が開発テーマ ボディカラーは全7色 写真のWRブルーはBRZ専用 
RZ/Sは215/40R18ミシュランPS4+7.5Jアルミ S Z/Rは215/45R17ミシュラン・プライマシーHP+7.5Jアルミ装着 RCは16inタイヤ+スチールの組み合わせ アルミはGR86がマットブラック BRZはマットグレー仕上げ
RZ/Sは215/40R18ミシュランPS4+7.5Jアルミ S Z/Rは215/45R17ミシュラン・プライマシーHP+7.5Jアルミ装着 RCは16inタイヤ+スチールの組み合わせ アルミはGR86がマットブラック BRZはマットグレー仕上げ

はっきりと異なる2台の味付け

 走りの味付けはGR86とBRZで異なる。開発初期はダンパー/EPS制御程度と変更部位は僅かだった。だが開発の最後の最後(通常ではありえないタイミング)でキャラクター分けを鮮明にした。バネ/ダンパー/スタビライザー/EPS制御のセットアップを変えるとともに、フロントナックル(GR86:スチール/BRZ:アルミ)やリアスタビライザー取り付け方法(GR86:サブフレーム/BRZ:ボディ直付け)、リアトレーリングアームブッシュも独自とした。さらにエンジンのECU制御も各々の別仕様となる。2台を乗り比べると“明確”な差が存在する。

 2ndモデルは安全性も改善された。従来型には未設定だった運転支援システムが採用され、ATモデルに「アイサイト」を標準装備。カメラの形状から推測するとバージョン3相当。現時点ではMTへの設定がないが、現在開発中、しかるべきタイミングで設定されるはずだ。

GR86・RZの室内 インパネ形状は両車共通 フラット基調デザインで視界を実現 ステアリングは小径革巻き 新型はヒップポイントが低くなりドライビングポジションを改善
GR86・RZの室内 インパネ形状は両車共通 フラット基調デザインで視界を実現 ステアリングは小径革巻き 新型はヒップポイントが低くなりドライビングポジションを改善
シートはサポート性/座り心地を改良したバケット形状 フレームや取り付け部の剛性も見直された GR86/BRZで形状は共通 細部のカラーコーディネートが異なる
シートはサポート性/座り心地を改良したバケット形状 フレームや取り付け部の剛性も見直された GR86/BRZで形状は共通 細部のカラーコーディネートが異なる
後席スペースは旧型と同等 ややタイトだが実用性高水準 シートバックを前倒しするとタイヤ4本が積めるトランク一体スペースが出現
後席スペースは旧型と同等 ややタイトだが実用性高水準 シートバックを前倒しするとタイヤ4本が積めるトランク一体スペースが出現
メーターはデジタル表示 回転計を中央配置 トラックモードを選ぶとレーシーに変化
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左右独立温度調節式2ゾーンAC標準 スイッチは操作性に優れたレイアウト
左右独立温度調節式2ゾーンAC標準 スイッチは操作性に優れたレイアウト
全車スピーカーのみ標準のオーディオレス仕様 ナビはop
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フロントフェンダー/フード/ルーフは軽量アルミ製 ボディは強靭なインナーフレーム構造
フロントフェンダー/フード/ルーフは軽量アルミ製 ボディは強靭なインナーフレーム構造
足回りは前ストラット/後ダブルウイッシュボーンの4輪独立 走りの味付けは2台で異なる
足回りは前ストラット/後ダブルウイッシュボーンの4輪独立 走りの味付けは2台で異なる

SUBARU BRZ・S 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=S
価格=6MT 326万7000円/6SAT 343万2000円
全長×全幅×全高=4265×1775×1310mm
ホイールベース=2575mm
トレッド=1520/1550mm
最低地上高=130mm
車重=1270(AT1290)kg
エンジン=2367cc水平対向4DOHC16V(プレミアム仕様)
最高出力=173kW(235ps)/7000rpm
最大トルク=250Nm(25.5kgm)/3700rpm
WLTCモード燃費=11.9(AT11.7)km/リッター(燃料タンク容量50リッター)
(市街地/郊外/高速道路=8.0/12.8/14.2(AT7.2/12.7/14.9)km/リッター)
サスペンション=前ストラット/後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=215/40R18+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
最小回転半径=5.4m
●主な燃費改善対策:筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/ロックアップ機構付きトルクコンバーター(AT)
●主要装備:トルセンLSD/Vタワーバー/前後スタビライザー/アクティブサウンドコントロール/水冷式エンジンオイルクーラー/アルミ製フロントフード&ルーフパネル&フロントフェンダー/フロントバンパーダクト(空力テクスチャーパターン)/前後エアアウトレット/サイドシルスポイラー/ダックテールトランクリッド/デュルテールパイプ/フルフロアアンダーカバー/フルLEDヘッドライト/クルーズコントロール/本革巻きステアリング&シフトノブ&ハンドブレーキレバー/TRACKモードスイッチ/アルミパッド付きスポーツペダル/左右独立温度調節式オートAC/BOXERメーター(7インチカラー+LCD液晶)/キーレスアクセス&プッシュスタート/8スピーカー/ウルトラスエード&本革コンビシート/ブランノーブ表皮メーターバイザー/スバルリアビークルディテクション(後側方警戒支援システム)/アイサイトコアテクノロジー(AT)

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