Addio fatto da Lamborghini Motor V12 aspirato! 新車ニュース
一つの時代が終わろうとしている。「究極」という名のアヴェンタドールが発表された。正確には「LP780−4ウルティメ」。その数字が示す通り、780hpを誇る自然吸気V型12気筒エンジンを積んだモデルであり、2011年の登場から10年の長きにわたってフラッグシップを務め上げたアヴェンタドールの最後を記念する限定車である。生産台数は世界限定600台(クーペ350台/ロードスター250台)になる。
アヴェンタドールはシリーズ累計1万台を突破した成功作(ジャパンプレミアに展示されたウルティメの車体番号は10600だった)である。年間生産台数は約1000台。この手のスーパーカーがデビュー当初から最後まで旺盛な需要に支えられたことは驚異的だ。アヴェンタドールは史上、最も成功した12気筒ミドシップカーと言っていい。
ウルティメの日本での販売予定分はあっという間に完売となったらしい。どうしてそこまで注目されたのか。SVJに比べると派手なウィングもつかず、一見、大人しく見えるこのモデルが?
答えはランボルギーニ自身が明言している。ウルティメは最後のピュアな自然吸気V12エンジン搭載モデルなのだ。
2011年3月。それまでのムルシエラゴに代わるフラッグシップモデルとして登場したのがアヴェンタドールLP700−4だった。“700”は最高出力を、“4”は4WDであることを意味した。画期的だったのはエンブレム以外、全てを刷新したフルチェンジであったこと。L539ユニットと呼ばれる6.5リッターの自然吸気V12エンジンは、創立期から改良に改良を重ねて使い続けたV12をようやく全面刷新した新世代エンジンだった。ちなみにアヴェンタドールの生産台数が1万台を超えたということは、それ以前のランボルギーニ全12気筒モデルと同じ台数を生産したことを意味する。僅か10年というライフスパンは短い気もするが、L539ユニットが終焉を迎えたのも不思議ではない。それだけの功績をランボルギーニにもたらしたのだ。
L539ユニットの足跡を振り返ろう。当初700hpで出発したL539は順調に進化を遂げた。ブランド50周年を記念したアニヴェルサリオで初のパワーアップ(720hp)を経験すると、限定車SV(750hp)、マイナーチェンジ版のS(740hp)、再びの限定車SVJ(770hp)へとエスカレート。ユニット単体ではトラック専用モデルのエッセンツァSCV12の830hpが最強である。
ボクは多くのアヴェンタドールを1000km以上の長距離テストに連れ出している。700hp時代からエンジンの存在感は際立っていた。精緻なエンジンフィールは右足を深く踏み込ませ、その強烈な加速は、前方に吸い込まれるイメージ。なかでも回転を上げるにつれて増す力感は恐怖を感じさせるほどのレベルだった。間違いなく人類史上、最高のロードカー用12気筒エンジンである。
L539NAユニットはアヴェンタドールと共に今年でその役目を終える。ピュアな自然吸気12気筒エンジン搭載の終焉をランボルギーニが明言したからだ。では、アヴェンタドール後継車のパワートレーンはどうなるのか?
一時は限定車シアンFKP37や復活したカウンタックLPI800-4のようにスーパーキャパシタ(コンデンサ=蓄電池)の容量をかなり増やしたハイブリッドパワートレーンになるとみられていた。シアンはそのマーケットテストだったのだ。しかしここにきてランボルギーニははスーパーキャパシタ方式では社会環境の要請に応えられないと判断している。次世代はプラグインハイブリッドに移行するようだ。
ウルティメの発表に先立って、ランボルギーニCEOのステファン・ヴィンケルマンはオンラインでのインタビューに応じ、アヴェンタドール後継モデルにも12気筒エンジンが搭載されることを明言した。つまり次世代フラッグシップは12気筒のプラグインハイブリッドになる。
以前から将来の電動化は避けられないとランボルギーニの首脳は口にしていた。が、モータライズするもののエンジン自体は自然吸気だ、とも語っていた。けれどもウルティメの発表では自然吸気12気筒が終わると微妙に言い方を変えている。
折しもトップがステファノ・ドメニカリから再びのステファン・ヴィンケルマンへ交代。過給機付きダウンサイズ12気筒+電気モーターという可能性も浮上してきたというわけか・・・。
いずれにせよ次世代モデルの登場が待ち遠しい。発表はおそらく2022年春となるだろう。