アストンマーティンが旗艦グランドツアラーのDBSのファイナルモデル「DBS770アルティメット」を発表。5.2リットルV12ツインターボエンジンは770psに出力アップ。生産台数は499台限定で、すでに完売
英国アストンマーティンは2023年1月18日(現地時間)、旗艦グランドツアラーのDBSのファイナルモデル「DBS770アルティメット(DBS770 Ultimate)」を発表した。
アストンマーティン・ブランドのフラッグシップクーペ/オープン(ヴォランテ)に位置するDBSの最終バージョンとなるDBS770アルティメットは、その名が示す通り、5204cc・V型12気筒DOHC48Vツインターボエンジンの最高出力を通常の725psから、ターボチャージャー最大過給圧の7%アップや吸気系および点火系の改良などによって770ps/6500rpmにまで引き上げたことが特徴。最大トルクの900Nm/1800~5000rpmは既存スペックを踏襲する。一方、ZF製8速ATのトランスミッションはパワーアップに即した専用セッティングを施し、かつシフト操作とドライバーとの一体感を強化。駆動系にはカーボンファイバー製プロペラシャフトや機械式リミテッドスリップディファレンシャルを配し、シューズには専用21インチアロイホイール+前265/35R21/後305/30R21ピレリP-Zeroタイヤを装着して、後輪にパワーを伝える。性能面では、最高速度が340km/h、0→100km/h加速がクーペ3.4秒/ヴォランテ3.6秒を実現した。
シャシーおよびボディ面の改良も図り、フロントクロスメンバーの強化とより厚みを増したリアアンダートレイによって、全体的なねじり剛性は3%向上。フロントエンドの横方向の剛性も25%引き上げられる。また、ダンパーに専用のキャリブレーションを施すなどして、アダプティブ・ダンピングシステム(ADS)を強化した。さらに、操舵機構には新しいソリッドマウント・ステアリングコラムを、制動機構にはカーボンセラミックブレーキ(CCB)を採用している。
エクステリアに関しては、ラジエーターに流れる空気量を増やして冷却性能を高める目的で、クラムシェルボンネットに大開口のU字型エアベントを配備。また、2つのエアベントを統合した新形状のフロントスプリッターを採用する。さらに、2×2ツイルカーボンファイバーのロア&アッパーボディパッケージやウィンドスクリーンサラウンド、ミラーキャップ、フェンダールーバー、大型化した専用リアディフューザーなどを標準で装備し、DBSの筋肉質なボディパネルをさらに際立たせて、均整の取れたスタンスを創出した。一方、足もとの21インチアロイホイールはヴァルキリー(Valkyrie)やヴィクター(Victor)といったハイパーカーからインスピレーションを受けたマルチスポーク形状でデザイン。合わせてフルサテンシルバー、フルサテンブラック、ダイヤモンド切削+サテンブラックの3種類の仕上げを用意して、足もとの存在感を引き立てた。
内包するインテリアは、スポーティかつ高品質な既存のDBSのコクピットデザインを継承しつつ、アルティメットならではの個性を際立たせる演出を随所に施す。シートは縦方向のキルティングとパフォレーテッドパターンを特徴とする、フルセミアニリンレザーおよびアルカンターラ張りのスポーツプラスシートを装着。オプションとして、アストンマーティンのパフォーマンスシートも選択できる。また、コントラストカラーを配するウェルトとステッチを備えた特注のトリムスプリットや、テーラーメイドのストラップ、カーボンファイバー製のギアシフトパドルを採用。さらに、センターアームレストにはDBS 770 Ultimateロゴをレーザー刻印したバックルバッジを、ドアシルにはシリアルナンバー入りの専用シルプレートを特別装備した。
なお、DBS770アルティメットの生産台数はクーペが300台、ヴォランテが199台の計499台限定で、ほかのアストンマーティン車と同様に「Q by Aston Martin」のビスポークオプションを選択して世界に1台の仕様に仕上げることも可能だが、すでに499台は完売。ユーザーへの納車は本年第3四半期の開始を予定している。