日産フェアレディZ 新車ニュース
7thモデルとなる新型「Z」の量産バージョンがアメリカで世界初公開された。1年前に発表されたプロトタイプとの違いはわずかだが、商品企画担当の田村宏志氏は「前回お見せしたZプロトは、95%くらいの完成度でした」と教えてくれた。
エクステリアはプロトそのまま。日本刀をイメージした引き締まったプロポーションは実に魅力的だ。
量産モデルになって変わったのは、車高、タイヤ&ホイール(BSポテンザS007+レイズ製鍛造アルミ)、ブレーキキャリパー、フロントスポイラー(GT-Rの知見をフィードバックしたという)、リアウイング、ヘッドライト(オレンジのウインカーが見える)、そしてリアバンパー横のリフレクターだ。
ボディカラーはモノトーン3色に加えて、新色となるセイランブルーとイカヅチイエローを含む2トーン(スーパーブラックルーフとの組み合わせ)6種の計9タイプ。
柔らかな印象だったZプロトに対して、量産モデルはシュッと引き締まって見える。これは細部がリアルになった効果だろうか。歴代モデルのオマージュが随所に盛り込まれたスタイリングは、新型の大きなアピールポイントである。
室内は12・3インチのフルデジタルディスプレイ(3種類の表示モードが選べる)とセンター配置のアナログ3連メーターの組み合わせ。2nd&3rdモデルを彷彿させる横基調のインパネは、「伝統」と「革新」が融合した印象。プロトとの差はセンターの空調グリルのデザイン程度。カップホルダー前のシートヒーター/リアゲートオープナースイッチ、そして空調コントロール下に見えるUSBポートも、プロトにはなかった。
ちなみにシートはシンプルな形状に見えるが、GT-Rで培ったノウハウをフィードバックした逸品。ホールド性/フィット感とも大きく引き上げられている。
エンジンは3リッターのV6ツインターボ。アメリカ仕様は400ps/475Nmのパフォーマンスを誇る。スカイライン400Rにも搭載される「VR30DDTT」だが、ターボにリサーキュレーションバルブを加え、レスポンスを引き上げたZ専用セッティングだ。日本仕様は405ps仕様になる。
トランスミッションは6速MTと9速ATの2種。MTは現行モデル用の改良版。強化型クラッチディスクと新設計シンクロナイザーシステム、そして新たなシフトプロファイルが採用された。ちなみにVR30DDTTエンジンとMTの組み合わせはZが初となる。
ATは新開発の9速。素早いレスポンスに加えて、幅広いギアレンジが特長だ。モード切り替え(ノーマル/スポーツ)は、ATに加えて、エンジンやステアリング、更にVDC制御を総合的に変更する最新仕様だ。
アメリカ仕様は、北米で販売されるスポーツカーの必須アイテムといわれている「ローンチコントロール」をMT(パフォーマンスグレード)/ATとも設定。日本仕様への導入も期待したい。
ボディサイズは全長×全幅×全高4379×1844×1316mm。プラットフォームは2550mmのホイールベースから理解できるように現行FR-Lプラットフォームの進化版だ。エンジンのパフォーマンスアップに合わせた剛性アップに加えて、厳しさを増す衝突安全性能にシッカリ対応。サスペンションは前ダブルウィッシュボーン、後マルチリンクの組み合わせ。現行モデルをベースに、ジオメトリー変更(直進安定性向上)と、モノチューブダンパー(ロードホールディング向上)を採用。さらにZでは初採用となる電動パワーステアリングが組み込まれ、フロントタイヤのワイド化(245→255)が実施された。ハンドリングが総合的に高められているのは間違いない。
今回の発表では安全/運転支援デバイスの詳細は発表されなかった。フロントバンパー下やルームミラー付近のセンサー、ステアリングスイッチなどから推測すると、最新のクルマに必要なアイテムは装着されているようだ。
気になるのは、日本向けの「フェアレディZ」だが、正式発表は今冬を予定している。デビューは、2022年1月の東京オートサロンが濃厚だろう。価格は北米向けが「4万ドルから」、ただしこれはベース仕様の廉価グレード。日本向けは全車ほぼフル装備になるはず。価格は500万円前後からと予想している。
グレード=パフォーマンス
全長×全幅×全高=4379×1844×1316mm
ホイールベース=2550mm
エンジン=VR30DETT型3リッターDOHC24Vツインターボ
最高出力=350hp/5800rpm
最大トルク=475Nm/5000rpm
トランスミッション=6速MT/9速AT
サスペンション=前:ダブルウィッシュボーン/後:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前:255/40R19/後:275/35R19
駆動方式:FR
乗車定員:2名