進化する正統派FRクーペ、スープラがマニアを魅了する本当の理由

トヨタ・スープラRZ 復活版は「理想のFRスポーツ」をコンセプトに掲げたBMWとの共同開発車 最新RZは最高出力が387psに向上 ボディと足回りのリファインでハンドリングを改善
トヨタ・スープラRZ 復活版は「理想のFRスポーツ」をコンセプトに掲げたBMWとの共同開発車 最新RZは最高出力が387psに向上 ボディと足回りのリファインでハンドリングを改善

トヨタ・スープラRZ 価格:8SAT 731万3000円 試乗記

最新型はBMWとの共同開発車。すべての完成度が高い

 スープラは、GRブランドのオリジナルモデル第一弾として復活した。BMWとの共同開発には今も賛否があると聞く。自動車産業はビジネスであり収益性はスポーツカーでも無視できない。トヨタは「スポーツカーを持続的に提供する」というビジョンを掲げている。その目的に対してBMWと組むことが最適解だと判断したのだ。その決断をボクは高く評価している。

 エクステリアは筋肉質なフォルム。近未来を感じさせるだけでなく、先代(A80系)や往年のトヨタ2000GTのイメージを上手にオマージュした造形である。インテリアは上下に薄いインパネと幅の広いコンソールがスポーツカー空間を構築。スイッチ類にBMWテーストが残るが、操作系の多くはスープラ専用アイテムでまとめている。

 エンジンは直列6気筒の3ℓターボと直列4気筒の2ℓターボ(出力違いで2タイプ)、トランスミッションは全車8速ATのみの設定。プラットフォームはアルミニウム/スチールの骨格構造。ボディ剛性はカーボンモノコックのレクサスLFAを上回る。サスペンションはフロントがダブルジョイントストラット、リアはマルチリンク式で、一部グレードに電子制御ダンパーやアクティブデファレンシャルが組み込まれる。

パワーウエイトレシオ:3.95kg/ps  0→100km/h加速は4.1秒でクリアー
パワーウエイトレシオ:3.95kg/ps 0→100km/h加速は4.1秒でクリアー
2997cc直6DOHC24Vターボ 387ps/5800rpm  500Nm/1800~5000rpm 圧倒的なパワーとシャープなレスポンスを追求 シルキーな味わいが魅力
2997cc直6DOHC24Vターボ 387ps/5800rpm 500Nm/1800~5000rpm 圧倒的なパワーとシャープなレスポンスを追求 シルキーな味わいが魅力

最新モデルは出力向上、走りがさらに洗練!

 スープラも86と同じように「スポーツカーは進化が大切」を実践している。2019年のデビューから僅か1年(2021年モデル)でメカニズムには大きくメスが入った。
 RZの3ℓエンジンは直噴インジェクターの噴射圧アップやターボ、エキゾーストマニホールド、圧縮比の変更により最高出力が340psから387psに向上。初期モデルより回すほどにパンチが増す特性になった。パフォーマンスだけでなくスポーツエンジンらしいメリハリや盛り上がりなど官能性能もアップしている。

 フットワーク面はボディフロント回りの剛性アップとサスやアクティブデファレンシャルのセットアップを変更した。アップデート効果は絶大である。クイックすぎてシビアだったステアリング系は薄皮一枚プラスされたような穏やかさが生まれ、結果として直進安定性が向上。クルマの挙動変化を活かした自然で連続性のある動きによりハンドリングも初期型のピーキーさが影を潜めた。

 最新モデルの走りは、全体的に緊張していた筋肉がほぐれ、強さの中にしなやかさがプラスされた印象。スポーツカーとしてのポテンシャルはもちろんGT性能も引き上げられた。まさに「成長」という言葉がふさわしい。前回の改良からそろそろ1年が経過する。次の一手が楽しみである。

筋肉質フォルムは迫力たっぷり 往年のトヨタスポーツ各車の面影も宿る
筋肉質フォルムは迫力たっぷり 往年のトヨタスポーツ各車の面影も宿る
前255/35ZR19/後275/35ZR19ミシュラン+鍛造アルミ RZはアダプティブ電制ダンパー標準
前255/35ZR19/後275/35ZR19ミシュラン+鍛造アルミ RZはアダプティブ電制ダンパー標準
排気エンドは直径100mmのヘアライン仕上げ 排気音は澄んだスポーツサウンドを奏でる
排気エンドは直径100mmのヘアライン仕上げ 排気音は澄んだスポーツサウンドを奏でる
室内は機能的な造形 ステアリングはグリップの太いスポーツ形状 RZの標準室内色はイグニッションレッド
室内は機能的な造形 ステアリングはグリップの太いスポーツ形状 RZの標準室内色はイグニッションレッド
シートはアルカンターラと本革のコンビ仕様 着座位置が低い純スポーツカーポジション
シートはアルカンターラと本革のコンビ仕様 着座位置が低い純スポーツカーポジション
液晶メーターは回転計を中央配置 速度はデジタル表示 ヘッドアップディスプレイ標準
液晶メーターは回転計を中央配置 速度はデジタル表示 ヘッドアップディスプレイ標準
トランスミッションは8速AT パドル標準 スポーツモード時シャープな変速が楽しめる
トランスミッションは8速AT パドル標準 スポーツモード時シャープな変速が楽しめる

トヨタ・スープラ 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=RZ
価格=8SAT  731万3000円
全長×全幅×全高=4380×1865×1290mm
ホイールベース=2470mm
トレッド=前:1595/後:1590
車重=1530kg
エンジン=2997cc直6 DOHC24Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=285kW(387ps)/5800rpm
最大トルク=500Nm(51.0kgm)/1800~5000rpm
WLTCモード燃費=12.0km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=8.1/12.6/14.6km/リッター)
サスペンション=前:ストラット/後:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=前:255/35ZR19/後:275/35ZR19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最小回転半径=5.2m
●主な燃費改善対策:直噴エンジン/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/アイドリングストップ
●主要装備:AVS(アダプティブバリアブルサスペンション)/前ブレンボ製17inアルミモノブロック4ポッド対向キャリパー/アクティブデファレンシャル/直径100mmヘアライン仕上げデュアルテールパイプ/19インチ鍛造アルミ/6灯式LEDヘッドライト/マットブラック塗装ドアミラー/プリクラッシュセーフティ/ステアリング制御付きレーンディパーチャーアラート/ブラインドスポットモニター/アダプティブハイビーム/レーダークルーズコントロール/クリアランスソナー/リアクロストラフィックアラート/本革巻きステアリング/パドルシフト/スポーツペダル/スポーツモード/ローンチコントロール/8.8インチTFTメーター/ヘッドアップディスプレイ/アルカンターラ&本革スポーツシート/シート電動調節機構/シートヒーター/カーボンオーナメントパネル/アルミドアスカッフプレート/トヨタ・スープラコネクトHDDナビゲーションシステム/JBLプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)/DCM(専用通信機)/左右独立温度調節式オートAC
●ボディカラー:ホワイトメタリック
※価格はすべて消費税込み 

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