ホンダZR-V 価格▷294万9100〜411万9500円 試乗記
ZR-Vは、ホンダ久々のブランニューSUVである。ただし販売スタートは2023年4月。当初の予定では「2022年の秋発売」だったのだが延期された。その理由は、「慢性的な半導体不足や不安定な海外情勢などの複合的要因受け、すでに他モデルの納車待ちの顧客を優先するため」という。
とはいえZR-Vは、全国のディーラーで正式予約がスタート。公道でのテストドライブの機会を得た。搭載されるパワーユニットは2種。2リッターの4気筒直噴ガソリンエンジンを組み込んだ、「e:HEV」を名乗る2モーター式のハイブリッドと、1.5リッターのターボ付き直噴4気筒ガソリンエンジンとCVTの組み合わせだ。
ZR-Vは、CR-Vの販売が2022年末で終了されたことから一部ではその後継といわれている。だが全長×全幅が4570×1840mm、ホイールベースが2655mmというサイズは、ホイールベースこそ5mmの差に過ぎないがやや小ぶり。日本でも扱いやすい設定だ。実は、北米を中心とするいくつかのマーケットではCR-Vはすでに次期モデルへと移行済み。日本でのZR-VはCR-Vとは別キャラクターと考えた方が自然である。
スタイリングはナチュラル感覚。縦桟グリルのフロントマスクが目を引くが、後ろ姿や全体のプロポーションは「SUVの標準系」といった印象。インテリアは、シビックを彷彿させる。パンチングメタルを施したワイドなエアアウトレットやダイヤル式の空調スイッチ、そしてそれらを含んだ水平基調で薄いダッシュボードの仕上がりが、そう感じさせる要因だ。
設定価格などから「ハイブリッドのほうが上級でメインのモデル」という意図も感じられるが、まずは純エンジン車でスタートした。1.5リッターターボでも動力性能の不足感は皆無。CVTながらラバーバンド感が少ないことも好印象を後押しする。「脱エンジン」の姿勢を明確にするホンダだが、このメーカーが手がける内燃機関の仕上がりは優れたものであることを改めて実感した。WLTCモード燃費は14.6km/リッター(X・FF)だ。
ハイブリッドモデルに乗り換える。最初に実感するのが、静粛性の高さ。e:HEVは日産のe-POWERと同様に、モーターによって駆動力を発生させるシリーズハイブリッド運転が基本だ。そこでの静粛性と滑らかな加速感は大きな特徴であり、美点である。WLTCモード燃費は22.0km/リッター(Z/FF)をマークする。
SUVでありながら4輪の接地感に富んだフットワークも好印象。ただし乗り味の上質さという点では、やや揺すられ感が強い。とくに、純エンジン車は常時ひょこひょことした挙動が気になった。クルージング時のフラット感もe:HEVに軍配が上がる印象だ。
ZR-Vは、アクティブなライフスタイルをサポートするフレッシュな存在である。
グレード=e:HEV・Z(FF)
価格=389万9500円
全長×全幅×全高=4570×1840×1620mm
ホイールベース=2655mm
車重=1580kg
エンジン=2リッター直4DOHC16V
エンジン最高出力=104kW(141ps)
エンジン最大トルク182Nm(18.6kgm)
モーター最高出力=135kW(184ps)
モーター最大トルク=315Nm(32.1kgm)
WLTCモード燃費=22.0km/リッター
駆動方式=FF