SUBARUクロストレック 価格▷242万〜299万円 試乗記
クロストレックはXVのモデルチェンジ版。とはいえ、その「立ち位置」は従来と大きく異なる。XVはインプレッサの派生モデルだったが、新型はクロストレックが主でインプレッサは派生モデル……つまり「クロスオーバー最適設計」なのだ。
プロポーションはキープコンセプト。新時代スバルデザイン、「ボールダー」を表現した造形は、スポーティなフォルムと存在感を強めたクラッディングの組み合わせ。ボディサイズは全長×全幅×全高4480×1800×1580mmと取り回し性に優れる。
インテリアはスバル最新のインターフェイスを導入。そのうえで鋭角デザインのドアトリムや斜めのモチーフを採用したカップホルダーなど遊び心をプラスした。
パワートレーンは純ガソリン車が消え、2リッター・NA(145ps)+1モーター(13.6ps)のパラレルハイブリッド「e-BOXER」だけになった。ハード的には先代と共通だがソフトは第3世代に進化している。モーターをより積極的に活用する制御により、通常域となる3000rpm前後までの過渡領域の力強さが確実にアップ。さらにアシストの仕方も自然になった。静粛性もハイレベルである。入念なノイズ低減に加えて不快な音域が上手くカットされおり、アクセル操作に対して無駄にエンジンが唸るガッカリ感は大幅に減っている。
フットワークも確実に進化。ひと言でいうと「キミはスポーティハッチなのか?」だ。デュアルピニオン式EPSの採用で軽い操舵力ながら滑らかで骨太なフィーリングを実現。ハンドリングはAWDを忘れるノーズの入りのよさ、4輪を効果的に使って曲がる安心感、グラっと傾く感じがないクルマの動きなど、SUVであることを本当に忘れてしまう。ドライバーとクルマの心地よい一体感は、旧型インプレッサのスポーティグレード、「STIスポーツ」を軽く超えるレベルだ。
快適性も大きくアップした。といっても、単に柔らかくなったわけではない。乗員に無駄な動き(視線だけでなく体全体)をさせない工夫、ショックを吸収する際の減衰の進化(ズン→トンくらいの違い)、ビビり/振動だけでなく不快な音全体の抑制によりスッキリ&さわやかな乗り心地を実現。これらはルーフパネルとブレースの間に減衰性を持った弾性接着剤(高減衰マスチック)の採用や、フレームから一新した仙骨を支えるシート構造なども大きく貢献している。
スポーティで快適な走りの進化は、「街乗り方向に振ったのね?」と思われがちだが、実は違う。オフロードユースもバッチリだ。200mmの最低地上高とXモードを活かしたAWDシステムにより、従来モデル以上に安心して楽にオフロード走行をこなしてくれる。
新型クロストレックは、一部で「XVのマイナーチェンジ⁉」、「代わり映えがしない」という意見を聞く。しかし乗ると別物の仕上がり。個人的には、伸び代は、新旧レヴォーグ並み、つまり驚くほど大きいと感じた。これが次世代スバルスタンダードである。
グレード=ツーリング(4WD)
価格=CVT 262万円
全長×全幅×全高=4480×1800×1580mm
ホイールベース=2670mm
車重=1590kg
エンジン=2リッター水平対向4DOHC16V
エンジン最高出力=107kW(145ps)
エンジン最大トルク=188Nm(19.2kgm)
モーター最高出力=10kW(13.6ps)
モーター最大トルク=65Nm(6.6kgm)
WLTCモード燃費=15.8km/リッター
駆動方式=4WD