SUBARUは2021年9月10日、第2世代となる新型WRXの米国仕様を世界初公開した。
約7年ぶりでのフルモデルチェンジとなる新型WRXは、2017年10月開催の東京モーターショーで披露されたVIZIVパフォーマンスコンセプトのイメージを投影したうえで、パフォーマンスカーとしての価値、そして実用的なセダンとしての価値を革新的に進化させた、新世代のSUBARU AWDパフォーマンスカーに昇華させたことが特徴である。
まずエクステリアは、パフォーマンスカーにふさわしい大胆でアグレッシブなスタイリングを創出して、走りの愉しさを表現。具体的には、ヘキサゴングリルを起点とした立体的で彫りの深いマスク、ワイド&ローを強調するフロントバンパーのデザイン、コの字型造形の印象的なLEDヘッドランプ(デイライト内蔵)、力強く張り出したフェンダー、ハイデッキ処理の存在感あふれるリアビューなどを採用して、止まっていながら今にも走り出しそうな躍動感を演出する。同時に、空力特性も最大限に重視。フロントおよびリアフェンダーのスポーツサイドガーニッシュやサイドシルスポイラーなどに空気の流れを整えるヘキサゴンパターンの空力テクスチャーを組み込み、さらにフロントフェンダーとリアバンパーの後部にはエアアウトレットを設けて、パフォーマンスカーならではのデザインとコーナリング時や高速走行時の操縦安定性を両立させた。ボディ寸法は全長183.8×全幅71.9×全高57.8インチ(約4669×1826×1468mm)/ホイールベース105.2インチ(約2672mm)に設定。従来(日本仕様のWRX S4で同4595×1795×1475mm/2650mm)よりひと回り大きいサイズとなっている。
内包するインテリアは、シックなブラックのカラーリングを基調としたうえで、レッドステッチを配するなどしてアグレッシブかつスポーティなキャビン空間を創出。また、インストルメントパネル中央には様々な機能を集約した大型で高精細な11.6インチ・センターインフォメーションディスプレイを組み込む。GTトリムには、新設計・新デザインのレカロ製シートを装備した。一方でパッケージングについては、前後席それぞれのショルダールームを広げ、合わせて従来より延長したホイールベースによって後席空間を大幅に拡大。また、トランクは従来と同様にベビーカーやゴルフバッグが入る容量を確保し、さらに6対4分割可倒の後席トランクスルー機能を内蔵した。
パワーユニットには新世代の2.4リットル水平対向4気筒DOHC直噴ターボエンジンを搭載。最高出力は271hp、最大トルクは258lb-ft(350Nm)を発生する。組み合わせるトランスミッションには、改良版の6速MTと“Subaru Performance Transmission(スバル・パフォーマンス・トランスミッション)”と称する8速仕様のリニアトロニックCVTを設定。駆動機構はMTに進化したビスカスLSD付きセンターデファレンシャル方式AWDを、CVTにVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)を採用した。さらに、ドライブモードセレクト機能を備えたグレードでは、LSDトルクを制御することでさらに回頭性を高めるAWDスポーツモードを導入している。
基本骨格に関しては、WRXとして初めてスバルグローバルプラットフォームを採用し、フルインナーフレーム構造や構造用接着剤を組み合わせることで、ボディやシャシーをいっそう高剛性化する。また、ボディ剛性の高さを活かして路面からの入力に対する足回りのしなやかな動きを実現するために、前マクファーソンストラット/後ダブルウィッシュボーンで構成するサスペンションのジオメトリーを最適化。従来型に対して実用ストロークを伸ばし、接地性や安定感を向上させた。一方、シューズには新デザインの18インチアルミホイール+245/40R18タイヤを設定。操舵機構には、モーターアシスト軸とドライバーのステアリング操作軸を別軸とした2ピニオン方式の電動パワーステアリングを組み込んだ。
先進安全機能のバージョンアップにも抜かりはない。Subaru Performance Transmission 搭載車には、画角を拡大した新世代アイサイトXを装備。電動ブレーキブースターを組み合わせることでプリクラッシュブレーキの作動領域をいっそう広げ、交差点などでの衝突回避をサポートする。さらに、ステレオカメラの広角化によって認識範囲を拡大。従来型では先行車を捕捉できなかった急なカーブでも追従走行を継続するほか、割り込み車両をより早いタイミングで認識できるようにセッティングした。
なお、新型WRXの日本仕様は従来通り「WRX S4」の車名を冠して本年10月下旬に正式発表となる予定。また、高性能バージョンのSTIモデルも、開発が鋭意進行中である。