BMWとメルセデス・ベンツはプレミアムの代表。どちらもブランド力が高く、多くの人に欲しいと思わせる強い力を持っている。とはいえ上位セグメントでは固定客が多いのに対し、3シリーズやCクラスといったDセグメント以下は、実車を見て、さらに乗り比べて気に入ったほうを購入するユーザーが少なくないらしい。それゆえいかに特色をアピールして目を引くかに力を入れている。
イメージ的にかつてはBMW=スポーティ、メルセデス=重厚という固定観念があった。しかしそれは当てはまらなくなってきている。近年は、むしろ逆になったように感じられるほどだ。現行206系Cクラスのとくに後輪操舵を装備したモデルは、当初、普通の人が普通には乗れないほど動きがシャープで驚いた。逆にいうと、これほど早い動きをピタリと破綻させることなく成立させていることに、さすがはメルセデスと思ったものだ。ちなみに普通の人にはシャープすぎる、と前述したものの、そのあたりを分かった上で乗る分にはそれはそれで問題なかったようにも思う。
3シリーズは、懐の深い走りが持ち味。挙動の乱れにくいセッティングが施されている。当初はクーペフォルムの4シリーズとの差別化もあってか、全体的に少々ゆるさや粗さが見受けられたが、最新版は寛容さを維持しながら正確なハンドリングを実現している。ドライビングダイナミクスのよさは、SUVに対する優位性の光る部分であり、あえて背の低いクルマを選ぶユーザーの期待に、両車はよい形で応えている。
プレミアムモデルは、クルマの基本が実にしっかりと作り込まれているからブランド品なのである。