新型メルセデス.ベンツCクラスのライバル比較(BMW3シリーズ/アウディA4/レクサスIS)
Cクラスには身内にもライバルが存在する
個人的には新型Cクラスの最大のライバルは、PHEV未導入の現時点では身内に居ると思っている。乗り味の点では旧型Cクラスであり、運転支援システムなど最新の技術や高速走行時の安定性に関しては現行Eクラスだ。実用的なプレミアムサルーン領域において、新型Cクラスは一つの完成形。しかもメルセデスのブランドイメージは高い。
そう考えると、他ブランドのライバルと比較するユーザーは、比較的少ないかもしれない。とはいえ、ライバル各車も魅力たっぷりだ。中でもBMW3シリーズ、アウディA4、レクサスISは光る個性を持っている。
ブランドのアイデンティティを表現。乗り味でライバルの個性が光る
最新装備だけを比べるとデジタル化の進んだCクラスの圧勝である。ヘッドライトの明るさ一つをとっても他のモデルはまるで敵わない。では新型Cクラスにつけ入る隙は本当にないのか?
一つある。それは乗り味だ。新型の乗り味は、旧型Cクラスとほぼ同等。デジタル化ほどの明確な進化はなかった。これまでのライバル関係が、ドライブフィールに関してはそのまま成立する。
例えば3シリーズの、劇的なまでに前輪とステアリングホイールを握る両手がダイレクトに繋がった感覚は、Cクラスには望むべくもない。クルマとの一体感を重視する向きには3シリーズの方がしっくりくるはずだ。ラインアップも豊富。ガソリンは直4と直6、ディーゼルに加え、PHEVも選べる。
A4にはCクラスとは正反対の軽快さが備わっている。重厚さが薄いが、動きのすべては軽やかだ。それでいて速度を上げていくにつれて安定感を増す。FFモデルもなかなかだが、クワトロ独特のドライブフィールは格別。愛車とのカジュアルな付き合い方を好むユーザーにはアウディが向いている。
ISはフルモデルチェンジ並みの改良を受けて、熟成がいっそう進んだ。装備や仕様に目新しさこそないものの、FRスポーティサルーンならではのドライブフィールが嬉しい。各部の質感も高く、これまで長く欧州車に乗ってきたようなユーザーでも満足させるサムシングを秘めている。
ライバルは3台だけではない。純粋にスポーツセダンが欲しいならジャガーXEやアルファロメオ・ジュアリアもいい。