ダイハツは2021年11月1日、“アクティブ・ユースフル・コンパクト”を謳う小型車規格SUVのロッキーに新開発の「e-SMART HYBRID」を搭載するハイブリッドモデルを設定し、合わせて新開発の1.2リットルガソリンエンジンを2WDモデルに採用して、同日より発売した。
車種展開は以下の通り。
■e-SMART HYBRID搭載車
X HEV・2WD:211万6000円
Premium G HEV・2WD:234万7000円
■1.2リットルガソリンエンジン搭載車
L・2WD:166万7000円
X・2WD:181万円
Premium G・2WD:205万8000円
■1リットルガソリンターボエンジン搭載車
L・4WD:194万4800円
X・4WD:208万6700円
Premium G・4WD:231万8200円
なお、月間販売目標台数は2000台、内HEVは700台を計画している。
新開発の「e-SMART HYBRID」から解説していこう。
ダイハツ独自開発のe-SMART HYBRIDは、エンジンで発電し、その電力を使用してモーターで駆動するシリーズ式ハイブリッドを採用する。発電専用エンジンは、ボア73.5×ストローク94.0mmに設定したWA-VEX型1196cc直列3気筒DOHC12Vユニットで、最高出力は82ps/5600rpm、最大トルクは10.7kg・m/3200~5200rpmを発生。これにE1A型モーター(最高出力78kW/最大トルク170Nm)とリチウムイオン電池(容量4.3Ah)を組み合わせて、前輪を駆動する。トランスアクスルは発電・駆動用のモータージェネレーター(MG)と、減速機構およびディファレンシャル機構からなる動力伝達機構で構成し、また2つのモーターを並列配置することでシステム全体をコンパクトにまとめた。さらに、アクセルペダルの踏み加減を調整するだけで車速をコントロールできる「スマートペダル」を設定。出足の力強い加速が特徴の「ノーマルモード」と燃費に優しい「エコモード」が選択可能で、低速ではクリープ走行を残すことで街乗りや駐車時の扱いやすさにも配慮する。従来通りの運転フィールを求めるユーザー向けに、スマートペダルOFFでの走行もできるようにした。
静粛性の向上を図ったことも訴求点。停車時と低速域でエンジンを稼働させずにバッテリーだけでモーターを駆動する機構に加え、ダッシュサイレンサーの三層化やフードサイレンサーの遮音性向上、エンジンアンダーカバーへの吸音材の追加といった遮音性能の向上や制振材の改良を図り、従来以上に高い静粛性を確保する。肝心の燃費性能は、クラストップレベルの28.0km/リットル(WLTCモード)を達成。また、性能とコストをバランスさせたバッテリー容量やトランスアクスルの内製化などにより、ハイブリッドシステムを搭載するコンパクトSUVではクラス最廉価を実現した。
デザイン面に関しても、専用のアレンジを施す。外装ではガンメタリック塗装のフロントグリルや5穴タイプの17インチアルミホイール(切削)および16インチアルミホイール、e-SMART HYBRIDエンブレムなどを専用装備。内装では、専用アクティブマルチインフォメーションメーター(パワーメーター・エネルギーフローモニター・バッテリー残量・平均燃費・瞬間燃費・航続可能距離・外気温・スマートアシスト・故障/停止警告・メンテナンス情報・時計モードなど)を組み込む。また、機能面ではヘッドランプ点灯延長機能やウェルカムランプ機能、車両接近通報装置を標準で採用した。
2WDモデルに採用する新開発の1.2リットルガソリンエンジンに話を移そう。
ボア×ストロークを73.5×94.0mmのロングストロークに設定したWA-VE型1196cc直列3気筒DOHC12Vユニットは、e-SMART HYBRIDに採用するWA-VEX型と同じく、高タンブルストレートポートやデュアルポート+低ペネトレーション噴霧を導入して燃焼効率を高めたうえで、暖気性能を向上させる2系統冷却システムを設定。また、レイアウトを工夫することで1リットルエンジンクラスのエンジン幅(クランク軸方向)を実現し、コンパクトな車体への搭載を可能とする。最高出力は87ps/6000rpm、最大トルクは11.5kg・m/4500rpmを発生。トランスミッションにはスプリットギヤを用いたD-CVTを組み合わせ、燃費性能はクラストップレベルの20.7km/リットル(WLTCモード)を実現した。なお、4WDモデルは従来と同様に1KR-VET型996cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラー付ターボエンジン(98ps/14.3㎏・m)を採用している。
安全・安心機能の進化を果たしたことも、改良版ロッキーのトピックだ。スマートアシストには、新世代のステレオカメラを採用。衝突警報機能および衝突回避支援ブレーキ機能が夜間の歩行者検知に対応し、合わせて標識認識機能では最高速度と一時停止の標識認識種類を加える。さらに、路側逸脱警報機能やふらつき警報機能を追加し、予防安全機能はダイハツ車最多の19個に発展した。
一方で走行機能の面では、旋回時で車両が外側に膨らんでいると検知した場合に内輪にわずかな制動力を加えることで旋回方向を補正し、コーナリングの安定化に寄与する機能を追加したCTA(コーナリングトレースアシスト)を設定。また、電動パーキングブレーキ(オートブレーキホールド機能付)の採用により、全車速追従機能付ACCに停車保持機能が加わる。さらに、外部給電機能(AC100V・1500W/非常時給電システム付)を新たに採用した。