三菱自動車は2021年11月8日、インドネシアでクロスオーバーMPV「エクスパンダー(XPANDER)」の改良モデルを発表した。
インドネシアの乗用車生産拠点であるミツビシ・モータース・クラマ・ユダ・インドネシアで生産するエクスパンダーは、2017年にインドネシアで販売を開始して以来、アセアンや中東、さらに中南米、南アジア、アフリカと販売市場を拡大。2019年にはシリーズの最上位モデルとなるSUV志向の「エクスパンダー クロス」を追加し、2021年10月末までにシリーズ合計の累計販売台数が約37万2000台を記録する、三菱の主力海外生産モデルである。今回のマイナーチェンジでは、内外装デザインの刷新や環境性能の向上、機能装備のバージョンアップなどを実施し、魅力度をよりいっそう高めたことが特徴だ。
まず外装では、フロントの“ダイナミックシールド”デザインを変更。低重心なイメージの水平基調のバンパーや立体的なスキッドプレートを新たに採用する。また、新世代のヘッドライトユニット形状としてTシェイプヘッドランプを新たに組み込み、上級グレードには視認性に優れるLED式を導入した。一方、リアセクションでは新造形のコンビネーションランプおよび横基調のリアバンパーにより、ワイドで安定感のあるスタンスを創出。さらに、面発光によるTシェイプランプを組み込むとともに、従来のテールランプとバックランプに加えてストップランプをLED化し、夜間の被視認性を向上させた。そしてサイドビューでは、最上級グレードのタイヤとホイールを17インチにサイズアップし、合わせてアルミホイールには2トーン切削光輝仕上げのラウンドリムタイプを採用。また、フロントオーバーハングを従来比で75mm、リアオーバーハングを同45mm延長し、上級感のあるプロポーションに仕立てる。さらに、従来比で全高を15~20mm高めることで、クラストップレベルの最低地上高となる220~225mmを確保したことも、マイナーチェンジの訴求点だ。ボディカラーは、リアルな金属感で力強い印象を与えるブレードシルバーメタリックを新たに追加。ほかにクォーツホワイトパール、グラファイトグレーメタリック、ジェットブラックマイカ、レッドメタリック、ディープブロンズメタリックをラインアップしている。
内包するインテリアは、インストルメントパネルを水平基調で見切りの良いデザインに刷新。また、ステアリングはスポーティで力強い印象を与えるデザインとしながら、ドライバーが使いやすいグリップサイズと形状に変更する。さらに、アームレストやドアトリムに合成皮革とリアルステッチをあしらったソフトパッドを採用して上質感をアップ。ほかにも、風量レベルや温度設定がひと目でわかる液晶表示の空調パネルやグラフィックデザインを変更したハイコントラストメーターを新装備し、視認性をさらに向上させた。
走行性能の面では、4A91型1499cc直列4気筒DOHC16V・MIVEC直噴ガソリンエンジン(104hp/141Nm)と組み合わせるトランスミッションに、高効率CVTを新たに採用したことがトピック。アクセル高開度では多段変速のようなエンジン回転数の制御によって力強くキレのある加速感を成し遂げ、アクセル低開度ではCVT特有の滑らかな変速によってエンジン性能を最大限に引き出して低燃費と高い静粛性を実現する。また、エンジン自体には外部EGRを新たに設定し、エンジン出力性能を維持しながら低燃費化を具現化した。一方で制動機構には、新たにスイッチ操作だけで確実に停車できる電動パーキングブレーキを採用。信号待ちや渋滞での停車時にブレーキペダルから足を離しても停車状態を継続するブレーキオートホールド機能も組み込み、ドライバーの負担を軽減している。
シャシーの改良も注目点で、フロントではストラット取付け部の剛性の向上を、リアではショックアブソーバーのシリンダーサイズの拡大を実施。合わせて前後ともに高性能バルブを新採用し、よりフラットで快適な乗り心地を実現した。
機能面では、センターコンソールにスマートフォンを置くことができるよう大容量のオープントレイを設置。また、600mlのペットボトルを4本収納できるアームレストを追加するなど、収納スペースを充実させる。後席のホスピタリティにもこだわり、アームレスト装着車にはフロアコンソール背面にType-AとType-CのUSBポートを1つずつ追加。さらに、2列目シートのアームレストにカップホルダーを設定するなど、利便性をいっそう高めている。