アウディの電動SUVおよびSUVクーペの「e-tron」シリーズがマイナーチェンジ。車名を「Q8 e-tron」シリーズに変更するとともに、パワートレインを改善して航続距離を延長。日本での発売は本年夏以降を予定。発売に先駆けて全国のe-tronディーラーを巡る「Audi Q8 e-tron Roadshow」を実施
アウディ ジャパンは2023年3月1日、新しい電動SUVの「Q8 e-tron」と電動SUVクーペの「Q8スポーツバックe-tron」を発表し、本年夏以降に発売すると予告した。
車種展開は以下の通り。
Q8 50 e-tron クワトロ Sライン:1099万円
Q8 55 e-tron クワトロ Sライン:1275万円
Q8スポーツバック 55 e-tron クワトロ Sライン:1317万円
今回発表されたQ8 e-tronシリーズは、従来のe-tronおよびスポーツバックe-tronから車名を変更して電動SUVおよびSUVクーペのトップモデルであることを表す“Q8”のネーミングを加えたマイナーチェンジモデルで、同時にパワートレインの改良や内外装の仕様変更などを実施して、アウディのプレステージ電動SUVおよびSUVクーペとしての訴求力をいっそう高めたことが特徴である。
エクステリアについては、アウディの電気自動車を定義するデザイン言語をさらに推し進めた、新しいフロントおよびリアデザインを採用。具体的には、2次元デザインのアウディのフォーリングスやブラックのマスクで囲む開口の小さい新アレンジのシングルフレームグリルの装着、前後バンパーやライト類のデザイン刷新、Bピラーおよびフロントドアガラスフレーム後方へのAudi/Q8エンブレムの配備などを実施する。エアロダイナミクス性能の改善も図り、前後ホイールへのスポイラーの装着やフロントスポイラーの拡大、フロントグリルへの電動シャッターおよびセルフシーリングシステムの配備などを行って、空気抵抗係数(Cd値)はQ8 e-tronで従来の0.28から0.27に、Q8スポーツバックe-tronで従来の0.26から0.24に向上した。装備面では、マトリクスLEDヘッドライト/ダイナミックターンインディケーターやハイグロスパッケージ、ボディカラー同色エクステリアミラーハウジング、9J×20アルミホイール5アームダイナミックデザイン コントラストグレー+255/50R20タイヤなどを標準で採用。Q8 e-tronにはアルミニウム製ルーフレールも組み込む。オプションとしてデジタルマトリクスLEDヘッドライトやブラックAudi rings&ブラックスタイリングパッケージ、バーチャルエクステリアミラー、パノラマサンルーフ、9.5J×21アルミホイール10スポークローターデザイン アンスラサイトブラックポリッシュト(Audi Sport)+265/45R21タイヤなども設定した。ボディサイズは全長4915×全幅1935×全高1635(Q8 e-tron)/1620(Q8スポーツバックe-tron)mmと、従来比で15mm長く、5mm高い設定で、2930mmのホイールベースは従来を踏襲。ボディカラーはミストブラックM/グレイシアホワイトM/プラズマブルーM/ウルトラブルーM/マデイラブラウンM/ソネイラレッドM/クロノスグレーM/デイトナグレーPEのほか、スペシャルボディカラーのAudi exclusiveを選択可能とした。
インテリアに関しては、ブラックを基調に最新のMMIタッチレスポンスオペレーティングシステムおよび2つの高解像度大型ディスプレイを配したアウディバーチャルコックピットやスマートフォンインターフェース、マットブラッシュトアルミニウムダークのデコラティブパネル、ドアシルトリムS/S lineロゴ、ストレージパッケージ、アウディサウンドシステム(10スピーカー)、2ゾーンデラックスオートマチックエアコンディショナー、マルチカラーアンビエントライティング、コンフォートセンターアームレスト(フロント)などを標準で装備。オプションとして、インテリアパッケージやサイレンスパッケージも用意する。また、ペットボトル由来のリサイクル原料等を使用するダイナミカを素材に採用したシート(ダイナミカ/レザー S lineロゴ入り表地、フロントはスポーツシート)や、自動車の混合プラスチック廃棄物を革新的なプロセスにより再利用したシートベルトバックルカバー、リサイクル素材を使った断熱材および制振材とカーペットなどを採用することで、環境にも配慮。ラゲッジスペースは後席使用時でQ8 e-tronが569リットル、Q8スポーツバックe-tronが528リットルの容量を確保した。
パワートレインについては、従来と同様に50 e-tronと55 e-tronを設定する。50 e-tronはリチウムイオンバッテリーの総電力量を従来より24kWh増やして95kWhとし、前後2基のモーターはブーストモードでシステム最高出力250kW、システム最大トルク664Nmを発生。一充電航続距離はWLTCモードで従来比+89kmの424km、交流電力量消費率はWLTCモードで236Wh/kmを実現する。一方、55 e-tronはリチウムイオンバッテリーの総電力量を従来より19kWh増の114kWhとし、前後2基のモーターはブーストモードでシステム最高出力300kW、システム最大トルク664Nmを発揮。一充電航続距離はWLTCモードで従来比+78kmの501km、交流電力量消費率はWLTCモードで239Wh/kmを成し遂げた。なお、55 e-tronでは従来のバッテリー製造工程で生まれる電極材の隙間をスタッキング方式と呼ぶ折り重ねるように配置する方法に変更することで隙間を極力なくし、同時にセル内の化学物質の配合を刷新して、従来比でバッテリー寸法やモジュール数を変更することなくエネルギー密度の向上を達成している。
充電性能に関しては、2ユニットともに150kWまでの急速充電に対応。アウディ ジャパンがポルシェ ジャパン、フォルクスワーゲン ジャパンと事業展開しているPremium Charging Alliance (PCA) のサービスや、アウディe-tronディーラーが設置を進めている150kW急速充電器の利便性を享受できるように配慮する。55 e-tronでは150kW急速充電器を使用した場合、10→80%までを34分で充電可能とした。
なお、アウディ ジャパンはQ8 e-tronシリーズの発売に先駆けて、全国のe-tronディーラーを巡る「Audi Q8 e-tron Roadshow」を3月4日より実施。このイベントのために、日本仕様に先駆けて欧州仕様のQ8 e-tronを空輸したという。さらにアウディ ジャパンは、e-tronシリーズの高性能バージョンに位置する従来のe-tron Sおよびスポーツバックe-tron Sから切り替わる「SQ8 e-tron」および「SQ8スポーツバックe-tron」を、本年第4四半期以降に発表すると予告している。