いよいよマセラティがサーキットレースに復活! MC20をベースとしたGT2マシンの「MC20 GT2」を披露。6月にベルギーで開催されるスパ24時間レースでの正式発表に向け、イタリアンのパルマサーキットでシェイクダウンを敢行
伊マセラティは2023年3月7日(現地時間)、GT2クラスの新型レーシングカーの「MC20 GT2」を公開し、合わせてイタリアのパルマサーキットにおいてシェイクダウンを行ったと発表した。
MC20 GT2は、マセラティの新世代スーパースポーツであるMC20をベースに、FIAのグループGT2に準拠して開発したレーシングカーで、2004年にレースデビューを飾った、エンツォ・フェラーリのコンポーネントを流用するレーシングカーのMC12の実質的な後継モデルに位置する。
企画および設計に関しては、マセラティ・エンジニアリングとチェントロ・スティーレ・マセラティが共同で担当。基本骨格には軽量・高剛性のカーボンファイバー製センターモノコックを採用し、ここに高いねじり剛性と曲げ剛性を有するシャシーを組み合わせる。また、専用設計のフロントスプリッターや調整可能なリアウィングなどの空力パーツに、これらの空力パーツとの相乗効果を高めるボトムパネルを組み込み、合わせて迅速なパーツ交換の実現を狙ってクイックリリースで取り外し可能なアレンジを施した。
ミッドシップ配置のパワーユニットには、点火システムにMTC (マセラティ・ツイン・コンバスチョン) ツインスパークおよびパッシブプレチャンバーを採用した3リットル・V型6気筒DOHC直噴ツインターボエンジンを搭載。出力面はまだ未公表だが、ベースユニットの最高出力630ps/最大トルク730Nmと比べて「より高いレベルにある」とアナウンスする。一方、トランスミッションはベース車の8速DCTに代えて、専用設計の6速シーケンシャルに換装。さらに、足回りには調整可能なショックアブソーバーやアンチロールバーを、操舵機構には専用セッティングの電動パワーステアリングを組み込んだ。
頑強なロールバーを配したコクピットは、カーボンファイバー製のダッシュボードにパドルシフト付きのレーシングステアリング、レースに必要な情報を的確に表示する10インチディスプレイなどを装備。シートにはカーボンファイバー骨格のフルバケットタイプを装着している。
パルマサーキットにおけるシェイクダウンでは、イタリア国旗のトリコローレにマセラティコルセのブルーを加えた迷彩柄のカラーリングでカモフラージュしたMC20 GT2のプロトタイプが疾走する。マセラティのテストドライバーで、MC12を駆ってFIA GT選手権でも優勝を飾ったことのあるアンドレア・ベルトリーニ氏は「私たちは今、新たな素晴らしいクルマで、再びサーキットに復帰しようとしている。たくさんのテストドライブを行ったが、初期のフィードバックはポジティブなものだった。GTカーのステアリングを握ることは本当にエキサイティングなことで、関係者全員が非常に熱心でモチベーションが高いことがよくわかった」とコメント。さらに、「私たちはライバルに立ち向かうクルマを造るだけではなく、ハンドリング、快適性、パフォーマンスの面において、ジェントルマンドライバーにとって理想的なクルマを開発することに注力している。このクルマでしか味わえない感覚を、ぜひ味わってほしい」と述べる。さらに、「ここ数カ月はシミュレーターで集中的に作業してきたが、今回の走行ではそのシミュレーターで行なってきたことが最大限に現実のものとなっている事実が確認できた。これからもサーキットで勝つために、過酷なテスト走行を続けていく」と付け加えた。