ダイハツは2021年12月20日、軽乗用車のアトレーワゴンを全面改良し、4ナンバー(商用車)規格の「アトレー」に刷新して発売した。
車種展開は以下の通り。
X・2WD:CVT156万2000円
X・4WD:CVT171万6000円
RS・2WD:CVT167万2000円
RS・4WD:CVT182万6000円
デッキバン・2WD:CVT191万4000円
デッキバン・4WD:CVT206万8000円
第6世代となる新型アトレーが4ナンバー化したのは、軽キャブワゴンのユーザー層および使用パターンの変化が背景にある。ユーザー層では、子育て層がタントやウェイクなどに流れて減り、子離れシニア層が全体の60%あまりを占めるようになる。また、使用パターンでは日常の買い物が減ってレジャーや仕事をメインに使う人が多くなった。この状況を鑑みたダイハツは、キャブオーバーのパッケージングが最大限に活かせる、つまり広い居住・荷室空間と最大350kgの積載量を確保できる4ナンバー規格への移行を決断したのである。ちなみに、4ナンバーのアトレーが市場に放たれるのは、2002年1月に4代目アトレーでカタログから外れて以来、約20年ぶりのことだ。
新型アトレーは、同時に新型に移行した11代目ハイゼットカーゴと基本コンポーネントを共用する。どちらも4ナンバー規格の商用車ということになるが、アトレーは「使い尽くせるマルチBOX」をテーマに、家と職場に次ぐ自分だけの“第三の居場所”を目指して開発。レジャーなどに対応した、乗用車感覚の装備や質感にこだわった内外装デザインを採用し、ビジネスユースをメインとするハイゼットカーゴとの差異化を図る。また、4ナンバー化したことから従来はハイゼットカーゴのみの設定だった「デッキバン」を、装備の拡充やターボエンジンの搭載を施しながら新たに設定した。
エクステリアでは、全グレードにLEDヘッドランプとLEDフォグランプを標準で装備し、さらにメッキのフロントグリルやフォグランプベゼルといった加飾パーツ、ブラックのフロントロアバンアー/サイドストーンガード/リアバンパーガーニッシュ、新12インチフルホイールキャップなど、専用アイテムを豊富に組み込む。また、機能面ではイージークローザー・両側パワースライドドア(ウェルカムオープン機能付)やキーフリーシステム&プッシュボタンスタートをクラス初採用。ボディカラーはトニコオレンジメタリック、シャイニングホワイトパール、オフビートカーキメタリックという3タイプの新色を含む全6タイプをラインアップした。
内包するインテリアでは、メッキオーナメント・シルバー加飾付ステリングホイールやメッキインナードアハンドル(フロント)、シルバー加飾メーターパネル/センターエアコンレジスター、メッキエアコンレジスターノブ、シルバー加飾付シフトノブ、メッキシフトレバーボタン、メッキシフトリングなどを装備して上質感をアップ。計器盤には、視認性の高い2眼メーター&TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを組み込む。また、先進のダイハツコネクトを軽商用車に初めて展開。合わせて、9インチと6.8インチの2種類のディスプレイオーディオを新設定した。一方、シート表皮にはフルファブリック素材を採用。後席には、水平格納式のセパレートタイプを導入した。
レジャーなどに対応したリアおよびラゲッジ空間のアレンジも訴求点だ。サーフボードや汚れたアウトドア用品を積んでも掃除がしやすいイージーケアマット、様々な荷物の取り付けや固定に便利な荷室ナット(ユースフルナット)およびマルチフック、車中泊時などで換気ができて快適な車内空間を確保するポップアップ機構付リアガラス、後席での快適性を向上させるボトルホルダーやデッキサイドポケットなどの収納スペース、ラゲッジボードを組み合わせることでワーケーション等に最適なスリット付デッキサイドトリムなどを設定している。
基本骨格に関しては、商用車で初めてDNGAを展開したことがトピック。ホイールベースを2450mmに設定した新設計のプラットフォームを採用したうえで、アッパーおよびリアアンダーボディ骨格の構造を最適化してボディ剛性を高める。懸架機構は前マクファーソンストラット式コイルスプリング/後トレーリングリンク車軸式コイルスプリングで構成し、乗り心地や操縦安定性の向上を図った。
パワーユニットには従来の熟成版のKF型658cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボエンジン(最高出力64ps/5700rpm、最大トルク9.3kg・m/2800rpm)を搭載するが、組み合わせるトランスミッションには新開発のFR用CVTを採用する。新CVTは小型化を徹底することで、軽商用車の床下スペースへの搭載を実現。また、変速比幅を拡大するとともに発進時をLOWギア化して、力強い発進性能を成し遂げる。さらに、駆動力が途切れることがない無段階変速により、スムーズな加速を達成。従来の4速ATと比べて静粛性も向上した。そして、駆動機構にはFRの2WDのほかにクラス初となる電子制御式4WDを採用。使用パターンに即して2WD/4WD AUTO/4WD LOCKの3モードがスイッチ操作で切り替えられ、4WD AUTOモードでは路面に合わせて最適な前後駆動力配分を行う。燃費面では、WLTCモードで14.7km/リットルと優秀な数値を実現した。
予防安全機能「スマートアシスト」の進化も注目ポイントだ。最新のステレオカメラを搭載したうえで、制御機能として車線逸脱抑制制御機能や路側逸脱警報機能、ふらつき警報、標識認識機能(進入禁止/最高速度/一時停止)、サイドビューランプ、ADB(アダプティブドライビングビーム)を追加。また、衝突回避支援ブレーキ機能・衝突警報機能の対応速度を向上させ、従来の車両・歩行者に加えて二輪車・自転車も追加し、夜間の歩行者検知も可能とする。さらに、リアに設置したカメラの映像を映し出すスマートインナーミラーをクラス初採用した。