ワークスチューン特集/STI BRZ&フォレスター・STIパフォーマンスパーツ装着車 試乗記
STIは、かつてのWRC(世界ラリー選手権)への本格参戦や、魅力的なコンプリートモデルの開発を通じて熱烈なファンを獲得している。その最新作が、「誰もが楽しめる究極のFRスポーツ」をテーマに開発された2nd・BRZのSTIパフォーマンスパーツ装着車である。
BRZは、派手なデカールでコスメチューン。いわゆる「スワンネック」形状のドライカーボン製大型リアスポイラーや、STIのイメージカラー(チェリーレッド)をあしらったフロントのスカートリップ、サイドシル後端のアンダースポイラーでエアロチューンを実施。迫力あるマットグレー色のBBS製ホイール、大口径エンドパイプが目を引く「フォーマンスマフラー」など、多数のパーツが装着されていた。満艦飾という印象である。「ここまではちょっとやり過ぎ」と感じるなら、好みに応じて取捨選択が可能。その点がディーラーでオーダー&装着できるSTIパフォーマンスパーツの強みだ。
STIパフォーマンスパーツは、このブランドが提唱する“運転がうまくなるクルマ”という哲学を具現化するアイテムを揃えている。運動性能の質感をリファインするフレキシブルドロースティフナーだ。「ボディへの余分な入力を逃がす」という考え方に基づく独自アイテムで、新型はリアだけに設定。それは「新型は剛性が非常に高く、フロントに装着すると硬くなりすぎてバランスが崩れるだけだった」からだという。
試乗車をドライブして印象的だったのは、ステアリング操作に対する回頭感が、ベース車以上にシャープと思えたこと。新型は2.4リッターボクサー( 235ps/250Nm)の搭載でパワーアップし、加速レスポンスがアップした。その点と見事にバランスしているように感じられた。
フォレスターは、1.8リッターターボ(177ps/300Nm)を搭載したスポーツ・グレードをベースに、フロントスポイラーセットや、ガーニーフラップがアドオンされたルーフスポイラーを装着。足元はブラックカラーの18インチアルミでまとめられていた。走り好きのマニアが見れば「本格派」と思えるたたずまいである。
とはいえSUVらしいボリューム感あふれる基本スタイルのため、その走りに「機敏な動き」を連想する人は少ないだろう。だが、実際に乗ってみると別物だった。 ステアリング操作に対するレスポンスは思いのほかシャープ。剛性感に富んだフットワークはレベルが高い。前述のドロースティフナーや横方向に対しては強く、縦方向にはしなやかな特性を備える独自のフレキシブルタワーバーの効果が生かされているに違いない。
同時にフォレスターで印象的だったのはパフォーマンスマフラー。昔ながら(?)の不等長排気を強調する「ボクサーサウンド」を明確に発する。昨今の「静かなスバル」に物足りなさを感じていたユーザーにとって、低くビートを刻む音色は「感動もの」に違いない。なお、このマフラーは現在オーダーが殺到し、生産が間に合わない状態だという。