日産自動車は2022年1月14日、東京オートサロン2022において新型フェアレディZの日本市場向けモデルを初公開。合わせて、最初の販売モデルとなる特別仕様車の「Proto Spec(プロトスペック)」を発表した。
注目のProto Specから解説していこう。同車は2020年公開の「フェアレディZ プロトタイプ」から着想を得て製作した特別仕様車で、外装色は4代目のZ32のイメージカラーを彷彿させるイカズチイエローとスーパーブラックのルーフカラーで彩る。イカズチイエローは雷からインスピレーションを受けた鮮烈なイエローを表現するために、高彩度イエロー顔料とゴールドに輝く人工パールフレークを用いた4層構造で仕立てた。一方、足もとにはチタニウムゴールドの専用カラーを採用したレイズ製19インチアルミ鍛造ホイール(前9.5J×19、後10J×19。タイヤは前255/40R19 96W/後275/35R19 96W)を装着。前4ポッド/後2ポッドの4輪対向ピストンブレーキのアルミキャリパーは、特別なイエローで塗装した。
先進技術にヴィンテージ感を巧みにプラスした2シーター構成のインテリアは、イエローセンターストライプ/イエローステッチ/イエローアクセントラインを配した本革・スエード調ファブリックコンビ表皮のシートを特別装備するとともに、インストルメントパネルやドアトリム、MTシフトブーツ、ニーパッドなどにも専用カラーステッチを施す。スポーツドライビングをアシストする12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイ、グリップ部の操作性のよさに加えてスイッチ類の見やすさにも配慮したディープコーン形状のステアリングホイール、握りやすさと操作感を追求した新シフトレバー、3つのエリアに分けて機能性を高めたセンターコンソール、インパネ上部に配備した3連メーター(ブースト計/ターボスピード計/電圧計)などのデザインは、基本的に標準仕様と共通だ。
パワーユニット関しては、標準仕様と同じく、新開発のVR30DDTT 型3リットルV型6気筒ツインターボエンジンを搭載。最高出力は405ps/6400rpm、最大トルクは48.4kg・m/1600~5600rpmを発生する。組み合わせるトランスミッションには、大トルクのVR30DDTTエンジンに対応するためにクラッチディスクとギアトレインを強化し、合わせて新設計のシンクロナイザーシステムの採用やシフトプロファイルの変更を実施した進化版の6速MTと、幅広いギアレンジによりダイレクトで素早いレスポンスを実現した新開発のパドルシフト付フルレンジ電子制御9速AT(9M-ATx)を設定した。
Proto Specの車両価格は、6速MTと9速ATともに696万6300円に設定。販売台数は限定240台で、本年6月下旬ごろにリリースを開始する。なお、Proto Specの注文はオンラインで実施し、フェアレディZ メルマガへの会員登録が必要。注文の応募開始は2月7日の予定で、240台を超える応募があった場合は抽選の上、当選者を決定する計画だ。
日本市場向け標準モデルの内容に話を移そう。車種展開はVR30DDTTエンジン+6速MTを搭載するフェアレディZ/フェアレディZ バージョンS/フェアレディZ バージョンST、VR30DDTTエンジン+9速ATを搭載するフェアレディZ/フェアレディZ バージョンT/フェアレディZ バージョンSTで構成。ボディサイズはいずれも全長4380×全幅1845×全高1315mm、ホイールベース2550mmに設定する。オートサロンの会場では、セイランブルーのボディカラーとスーパーブラックのルーフを纏い、内装にはレッドのアクセントを配した本革・スエード調ファブリックコンビ表皮シートを装着する9速ATモデルを展示していた。
オートサロンの会場ではもう1台、オレンジのボディカラーを纏ったフェアレディZ「CUSTOMIZED PROTO(カスタマイズドプロト)」も披露される。CUSTOMIZED PROTOは初代フェアレディZに設定した、伝説の名機S20エンジンの搭載を意味する4バルブ/3キャブレター/2カムを表す車名を冠した「Z432」、しかもそのレーシングバージョンの「Z432R」をオマージュして製作。Z432Rのグランプリオレンジを彷彿させるボディカラーに、2分割式としたフロントグリル、センター部をブラックで塗装したボンネット、幅広タイヤを収めるオーバーフェンダー、ブラック塗装のスポークタイプアルミホイール、レーシーなサイドストライプ、ダックテール形状の大型リアスポイラー、縦2本出しで構成したマフラーエンドなど、特別なアレンジを施す。あくまでも参考出品だが、日産のスタッフは「ショーの評判によっては市販化も検討したい」とコメントしていた。